『日々の映像』

2000年05月15日(月) 小渕前首相逝去

 気さくな人柄で親しまれた小渕恵三前首相が逝去された。62歳であまりに早すぎる死である。この人ほどいろいろあだ名をつけられた人はいまい。しかし、人の評価は、時間が経たなければ分からないと思う。

 最初のあだ名は「冷めたピザ」であった。これは海外の報道機関が「刺激的なタイプの人間ではない」ということを揶揄して付けたものだ。刺激的タイプが良いとは限らない。小渕前首相は、巨大与党を作り上げ、数々の難しい法案を成立させていった。この面では熱いピザではなかったか。

 「真空総理」と名付けたのは中曽根元総理だった。これは「人の言うことを良く聴く」ということになる。鈴木敏文イトーヨーカ堂社長は「聞き上手で他人の意見を取り入れるのが上手い。断固たる決意をそれを実行に移す行動力を併せ持っていた」(5/15 日経)と評価していた。

 「凡人」と名付けたのは田中真紀子さん。しかし、竹下派の分裂後第一派閥に返り咲き首相候補となったのであるから、凡人改め非凡の人と評価されよう。「96年10月の衆院選、面倒見の良い小渕氏を頼って同派入りを希望した新人候補21人を当選させ、衆議院50人、参議院38人、合わせて86人を一気に第一派閥に返り咲いた」(5/15 読売)

 「鈍牛」と言う言葉もあった。丑年生まれの小渕前首相は「牛へのこだわりが強かったという。「むやみに争いをしない」と言う意味もあるようだ。争いを避け、調整に最大限のエネルギーを費やす。その疲労が蓄積し、病に倒れたようだ。

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石田ふたみ