『日々の映像』

2000年05月19日(金) 心と体の不思議な関係

 医学の進歩と共に心と体の不思議な関係を立証する書籍が多くある。4年ほど前にベストセラーとなった「脳内革命」は、心の有り様とホルモンの分泌にウエートを置いて記述されたものである。ここでは、難しい話は抜きにして、例えば若い女性が本当に愛する恋人を持つようになれば、肌の色艶まで変化することは万人が認めることだ。信じきれる人を持つ、愛する人を持つという心の状態がどれだけ肉体に好ましい影響を与えるかは計り知れない。精神科医の専門家でなくとも、心と体は一体不可分の関係であることは理解出来る。
 
 最近17歳の少年による事件が続いている。共通しているのは、他人、社会に対する不信感である。このような不信感を強く持っている少年達の肉体は、どのように変化していくのだろう。「他人に対する不信感の強い若者は、心臓の冠状動脈が硬化する確率が高いとする調査結果を米国の研究グループがまとめ、17日発売の米医学誌『JAMA』に発表した」(5/17 毎日)という。

 調査は、18〜30歳の若者374人に対して「50項目の心理テストを行い、不信感や敵対心の強さを点数化した。続いて5年後と10年後にコンピューター断層撮影法で心臓の筋肉に血液を供給する冠状動脈のカルシウム化(硬化)の程度を検査した。その結果、心理テストで不信感が平均以上に強いと判定された若者は、不信感を示す点数が平均より低かった若者に比べて、動脈硬化が進んでいる確率が焼く2・5倍と高く、強度の動脈硬化を起こしている確率は9倍以上高いという結果になった」(5/17 毎日)という。これが18〜30歳の若者の5年後と10年後(28〜40歳)のデーターである。「不信感を持つことにより、体内の科学物質やホルモンの量が変化し、それが動脈硬化につながる可能性がある」(同)と指摘している。

 冠状動脈の硬化は、狭心症や心筋梗塞の原因になる。前記は若い人達の調査結果であるが、広く推理すれば人に対して、不信感を強く持っている人は、狭心症や心筋梗塞になりやすいと言えるのである。世の中には新たな情報に対して、不信感を持ってほとんど受け入れないという頑固者がいる。心がかたくなで、不信感の強い人は、冠状動脈も硬化していくことを示唆している。心と体の関係を典型的に示したデーターと言えよう。

 病は気(気持)からと言う言葉があるが、まさに、その人の心の持ち方が病気を誘発することを知る必要があるようだ。邪見・邪気という言葉がある。邪気を辞書で確認すると「病気を起こす気・ねじけた気持」と出ていた。

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石田ふたみ