スバ・ル・クルーゼの日記。


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Date 2008年04月03日(木)
アメリカのロンドン2
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 前回のあらすじ。
 同じ病院に通う仲の良い男の子といつも診察を待っている私とその男の子。その間にいつの間にか割って入って来たおじさん、S。
 その男の子が来る前に、その日はたまたま早い時間に行ったためまだその男の子が来ておらず、ときどき家に遊びに来るおばちゃんと話していた。そのおばちゃんが呼ばれて診察中に、金がほしくないかと聞かれてほしいと答えると、Sは2本のDVDを取り出して私に貸して来た。
 軽く話を聞いてなんだか胡散臭いなぁと思っていると、私も呼ばれてそれじゃあと胡散臭いDVDを持って診察室へ。
 本当に胡散臭かったので、私の診察が終わったときにちょうどその男の子が来て、おばちゃんとお茶の約束をしていたのでその日はあまり話さず帰ったのでした。
 そしてその夜Sから電話が。
「とっても大事なDVDだからあさってまでには返してほしい。それから真剣に見て、メモを取りながら見るように。○○くん(その男の子)も興味持ってくれたからさ、あさってうちで3人で見ようよ」
 と言うのです。とりあえず生返事をしてその男の子に電話してみると、案の定興味なんて持っておらず、しつこくて大変だったと言う。
 そしてふたりの話を総合的に考えると、どうにもねずみ講としか思えない。もちろん我々はそんなことをする気はさらさらないので、その日から明後日、その男の子とDVDを返して『やりません』ときっぱり断ることにしたのだが……。

 そして行って来ました。わざわざ電車代使って小田原まで。小田原に着いたら電話をくれと言われていたので、我々は来るべき決戦に備えてケンタで腹ごしらえしてそこへ呼び付けるべくSに電話を。
 新幹線の方に来てほしいと言われたけど(通称裏駅)、我々は反対の東口にいたので、裏駅に来い、と言うのを、今東口のケンタにいるから、そこで話がしたいと強引にSを呼び出しました。
 幸い車で来てくれたので5分ほどで到着。現れたSは社会の窓が全開。しかし我々は突っ込まなかった。さぁ友よ、ガツンと男らしく言ってくれ!!
 そんな思いでいっぱい。
「なに? オレんち来ないの?」
 と言うSに、戦友が
「オレたちふたりで考えたんですけど」
 と当初の予定通り付き合っているように見せかけながら、アメリカのロンドンへ行くと言うあっぱらぱーなSにそんな仕事はしないこと、はじめから興味も持っていなかったことなどを力強く言ってくれました。
 社会の窓全開、アメリカのロンドンへ行きたいSはそわそわと始終落ち着きがない。男らしさを発揮してくれたその男の子も車で来てたけど、コインパーキングに入れてあるので問題ないのですが、小田原は駐禁が厳しいそうなので、Sはすぐケンタを出てみんなで自宅へ向かうつもりだったから路駐で、それも幸いしておとなしく引き下がってくれました。
「やりたくない人にやらせても、ほかの人の迷惑になるだけだからね」
 と社会の窓を全開にしたまま、一度その男の子を連れて車を見ろと外へ連れ出して行きました。
 そこでなんかあったらどうしよう、と思ったのですが、階段を下りるとき、彼が大丈夫だから、と手でサインを送ってくれたのでそれを信じて待ちました。
 2、3分ほどで戻って来た彼。特別なにか言われたわけではなかったようです。
「いやほんと車で来てくれて助かったよ」
 とふたりで胸をなで下ろし、ケンタを出て近所のシルバー屋さんへ行きました。
 シルバー屋さんへ向かう道すがら、
「それにしても見事にチャック全開だったね」
 と言うと、彼も私に同意を示して
「まぁアイツのチャックが全開だろうがオレが死ぬわけじゃないからいいんだけどね」
 とほっと肩の荷が下りたように笑っていました。
 ミスター・アメリカのロンドンは、アル中で前頭葉が縮まっているそうで、だからまともな仕事には就けないのだそうです。
 でも電話で散々武勇伝を聞かされたとき、一級建築士だからどこどこもオレが作った、あそこもオレが作った、みたいなことを延々と聞かされ、それももしや夢の話ではないかと勘ぐってしまいます。まぁどうでもいいですけど。
 今後の課題としては、我々は隔週の火曜日が通院日、ミスター・あっぱらぱーは毎週の火曜が診察で、我々と同じような時間に通院して来ると言うことです。すなわち顔を合わせないわけには行かないのであります。
 それがもう気が重くてなりません。
 早くアメリカのロンドンに行ってくれないかなぁ……。

 あと昨日は竹緒さんの三回忌でしたね。ろうそくとお線香を焚いて、ねりさんと30分ほど電話で話しました。
 思っていたより元気そうでほっとしましたが、無理していたんじゃないかと心配もしています。
 竹緒さんはねりさんの笑った顔が見たいだろうから、あんまり泣いてばかりいちゃ駄目だよ、と私も泣きながら話しました。
 竹緒さんはきっと天国で、もう疲れも知らず、思い切り大好きな漫画を描いているだろうから、いつかそれを読ませてもらうといいよ。
 あれからもう3年も経つなんて、月日の流れは速いものです。竹緒さん、天国で元気にしていますか。
 あなたの漫画は、すべて私に原稿がんばらなきゃ! と言う気持ちにさせてくれるものです。竹緒さんの漫画がもう読めなくなって3年か……。どうかご冥福をお祈り致します。
 ねりさんも元気出そうね。

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