空中楼閣

2004年09月03日(金) ジンクス

 
言葉に表してしまうのが怖い。
その瞬間に本物になってしまいそうで。
逃れられなくなってしまいそうで。
 
ずっと、感じ続けてきたジンクス。
君は、こじ付けだと笑うだろうか。
こんな僕が、笑い飛ばす事も出来ずにいるのに。
でも出来るなら君が笑ってくれたら良い。
僕は、そう思っているんだ。
そしたら、君が笑ってくれたら、あるいは。
本当に笑い飛ばせるかも知れないだろ?
 
全てを招いているのは、僕の方なのかな。
 
あまりにも、捕らわれ過ぎたのかな。
身動き一つ取れなくなってしまったよ。
 
まるで、意志を持っているかのように。
僕に纏わり付いて離れない。
『それ』は音も無く地を這い、僕の背後に迫る。
油断すると足元から崩される。
ぬるり、纏わるのは空気より重い。
タールにも何処となく似ている。
口から入り、喉を焼こうとする。
吐き出そうとすると既に内は侵されていて。
肺も、心臓も、ゆるゆると捕らわれていて。
奥から染み出した『それ』が外と交わって。
『それ』と『僕』が交わって。
僕は声も無く打ちひしがれる。
それは絶望すら飲み込み、くつり、嗤う。
 
大切なものは、失ってから気付く。
それは本当なのかな。
だとしたら、僕の大切なものは偽物なのかな。
大切さに気付いた途端に失ってしまう。
砂の城や水面の泡沫に等しく消えてしまう。
それは、偽物なのかな。
 
僕が何かを大切に想うのは、許されない事なのかな。
 


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亨 [MAIL]

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