空中楼閣

2004年09月08日(水) ジンクス、ジンクス。

 
僕だけは、知っていたよ。
その日がいつか来る事を。
それが今日だとは、思わなかったけれど。
 
 
静かに、その時を迎えたね。
日常と同化していて、流してしまえそうな程。
静かに、静かに訪れたね。
 
あの後に残された彼女は肩を落として。
何も知らずに居た自分を恥じていた。
僕は、かける言葉も無く、並んで歩いた。
 
僕だけが知っていた事。
それは、誰にも言わないでおこうと思ってる。
特別なのは、人知れず持っていればいい。
 
一片の雲も無く輝く夕日が、とても綺麗だった帰り道。
彼女は変わらず、肩を落としていたよ。
僕は一言だけ「寂しいね。」ただそれだけ。
 
残された時間は少ないから。
彼女には、もう殆ど残されていないだろうから。
少しでも長い間、笑い合えるように。
 
僕の事なら、何も心配しなくて良いよ。
初めから覚悟はしていたから。
解けかけていた遮断が、また少し強まってしまうだけ。
 
失う恐怖は、正直あまり無い。
引き寄せたのは自分ではないかという恐怖が大きくて。
恥じるべきは、僕の方かも知れない。
 
 
それでも、彼女が思うより普通に、時は刻まれてゆく。
彼女の寂しさも薄らぐ程に。
僕が、そうあれば良いと望んだように。
 


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亨 [MAIL]

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