2005年06月06日(月) |
第467話 シロちゃん |
近所のおうちで可愛がられてるシロちゃんは、白いたれ耳のとても穏やかな男の子です。
物静かな華奢な奥様に連れられて、朝夕散歩しているんですが、奥様は私たちに気を使って姿を見つけるとわき道にそれて待ってくださる。
ノアはシロちゃんに興味があるんだけど、なにしろ体の大きさで2まわり以上、たぶん体重では10キロ以上は重そうなノアに用心してらっしゃるご様子。
シロちゃんは全く声を聞いたことがないくらい物静かで、いつも盛り土して高くなってるお庭から顔だけ出して外の景色を眺めてる子です。
そんなシロちゃんだけど、たまに脱走するんだよ。(笑)
5年間で1回だけ見たんだけど、早朝の自宅前の道路でオロオロと動き回るシロちゃん。 私たちを見つけると(どうしようどうしよう)みたいに余計あわてる。
「シロちゃん、どうしたの?おうちに戻れないの?」 話しかけると眉毛を八の字にして、いっそう恐縮するように頭を上下している。
シロちゃんちの門を見上げると、十段ほどある階段の上の門扉には、白い網のような柵が門の下の隙間に針金でくくりつけられている。 過去にも脱走したことがあるんだろうね。
それを無理やり頭と体でひん曲げて出てきたらしい。 外向きに曲がってしまった柵のおかげで入れないんだね。 階段を上がって確かめたら、門は鍵がかかってて、シロちゃんを入れてやれない。
「困ったねえ、シロちゃん」 時間は朝の5時。 ピンポンして奥様を起こしていいものかどうか。 自分と同年代の人が全くいない住宅街で、ご挨拶ぐらいのお付き合いしかしていないと、こういうとき判断に悩む。
しばらくどうしようかと見上げていると、はす向かいの家からシーズーをつれた奥様が出てきて 「ありゃりゃ、シロちゃん、脱走したのかい」と。
奥様は遠慮なくシロちゃんをむんずと首輪で捕まえて階段を上がるとチャイムを鳴らして・・・・ 「○○さーん、シロちゃん出てるよー」と。
玄関からシロちゃんの飼い主さんが恐縮して何度も何度も頭を下げながら駆け出てきてシロちゃんを受け取ったんだよ。
シロちゃんは目を細くして頭を丸くして (すんません、すんません。。。いやーもー、すまんです) と平身低頭して奥さんに尻尾を振って謝ってました。
叱られるのかなーと見上げてたら、奥様は穏やかな顔でシロちゃんの頭をなでながら笑顔でしゃがみ込んで話しかけてましたよ。 シロちゃん、謝りながら甘えてた。
(さんぽーさんぽー!はやくー!さんぽー!)と催促するノアちんと散歩に出かけましたが、あんな穏やかそうなシロちゃんでも脱走したくなるもんなんだねえ。意外だったなー。
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