a fish called datsu -だつという名の魚-
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2001年05月23日(水) |
今日、奇跡が起きた。** |
昨日、『私は恥ずかしい』という題で首相官邸に次の内容のメールを送った。 *** 小泉政権がハンセン病訴訟を控訴する方向で動いていると聞いて、 私は日本人として恥ずかしい思いで一杯です。元患者の彼らは、発 病が分かると隔離され、子供が出来ないように断種されたり、子供 が出来ても産まれたばかりの子供を目の前で殺されたのです。私は この仕打ちが国によってなされたと聞いて、涙が出ました。そして、 1950年にはハンセン病の特効薬は出ていたのです。「らい予防法」 は1996年よりも、ずっと前に廃止できたはずでした。 元患者の皆さんは高齢化していて、先が短いのです。控訴してい るうちに、亡くなる患者さんも数でてくるでしょう。控訴している 間に、患者さんと和解しようと言うのは虫が良すぎると言うか、拗 れる一方でしょう。小泉政権へのイメージダウンも避けられません。 過去の失敗を反省しないで、変革などと言わないで頂きたい。聞 いていて、元患者の皆さんに恥ずかしくて堪らない。 *** 昨日の時点では、政府はハンセン病訴訟を控訴するという見方が強かったし、控訴を棄却する直前まで、控訴する物だと思っていた。なので、私は控訴を棄却すると聞いてもしばらく信じられなかった。ニュースで患者さん達の喜ぶ姿を見ていて、本当に勝訴したのだなと胸が熱くなった。「ハンセン病患者の気持ちは患者にしか分からない」と昨日の北海道新聞夕刊に書いてあったけど、分からないなりに私は心打たれたのだ。 メールは今転載していて、熱すぎるところもあるけれども、私はこの熊本での訴訟で原告が勝訴するまで、ハンセン病については何も知らなかった。それから少しづつ、新聞や雑誌でそれがどんな病気なのかを読むことにした。私はその時に記事を読むほど、患者さん達がひどい目に遭ってきた事に驚いた。皮膚が溶け、目が見えなくなる病気になっているという理由で、隔離され断種を強制されるだけではなく、戸籍から抹消される人もいたのだ。
大学時代に哲学の課題になっていたが、この年になるまで読まなかった『いのちの初夜』(角川文庫)を再び手にした。表題作は自殺したくても死ねない主人公がハンセン病の施設に入って、病気が重症の人たちを見て、社会的には死んでも、むき出しの生を生き続けることを決意する話だった。死にたくても死ねない辛さがよく描かれているだけではなく、そのくだりで何となくユーモラスな所もあった。著者の施設仲間が文庫のあとがきを書いている。 後日談(2001/5/27記) 『いのちの初夜』(角川文庫)の著者は北條民雄です。忘れたままアップしました。詳しいことはまた後日。
後日談(2001/7/29記) でも、私の小泉首相への評価はこの時がピークだった。
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