国見対四中工 - 2004年01月05日(月) 全国高校サッカー選手権大会準々決勝・国見対四日市中央工業(以下四中工)を観た。戦前の予想では圧倒的に国見有利。個人の技術で上回る国見に対して、四中工は組織力を武器に試合に臨んだ。 試合が始まると予想を反して、四中工が主導権を握る。というか、国見が明らかにおかしい。 「国見の選手達はこれまで、苦しい練習の時は去年の決勝、市立船橋戦の悔しさを思い出していた」と応援席リポーター。その市立船橋は準々決勝第一試合で鹿児島実業に負けた。この1年、もう一度国立に戻って市立船橋を倒し、雪辱を果たすことを目標に苦しい練習に耐えてきた国見イレブン。意識はしていなくても、多少のモチベーション低下は否めなかったのではないか。 それが影響してかどうかは定かではないが、四中工が7:3の割合でボールを支配する。四中工キャプテン・金守を中心に、イレブン全員がバランスよくポジションニングを図る。サイドからのクロスボールをゴール前で競り、こぼれたセカンドボールを確実にものにする。平山を活かされないために、パサーの兵藤を徹底的に潰す。四中工は樋口監督から徹底した戦略が植え付けられていた。 四中工が組織で国見に対抗し、その国見はどうにかしてその組織を打ち崩そうとする。この状態が後半30分まで続いた。 後半35分。国見が四中工の組織を打ち破った。 四中工のペナルティーエリア前で、アーリークロスを受けた平山。これまでの四中工はそのアーリークロスをカット出来ていた。しかし、体力消耗が極限を迎えるこの時間帯。四中工の金守、樋口は足を動かせないまま、平山がボールを胸でトラップするのを見届けてしまった。足元にボールを落とした平山は体格に似合わない器用なボールさばきで金守をかわし、ミドルシュート。ゴール左隅に回転のない重いボールを突き刺した。 スタミナの切れた四中工に対し、スタミナには絶対の自信を持つ国見。最後の最後に四中工の組織を崩し、エース平山が決めた。 この日、主力2人を欠いて試合に臨んだ四中工。結果的に負けてしまったが王者・国見に対して健闘したと言える。 試合中、気になったのが、実況が試合中に30回は連呼していた「四中工魂」という言葉。何を思って勝手に校名に魂をくっつけているのか。実況しているあなたは一体どのくらい四中工について知っているのか。そもそも、「四中工魂」とは何なのか。四中工の地元・三重で生まれ、小学校4年生からサッカーを始め、それ以降、ずっと四中工を見てきた者から言わせてもらうと、その言葉は不愉快極まりなかった。そんな安っぽい言葉を30回も全国に向けて発信してほしくなかった。 今日の試合で一際輝いていた四中工2年の16番・中林大が印象に残った。来年、再び全国の舞台に戻ってくることを楽しみにしている。 -
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