全国大学ラグビー選手権・法大対関東学院大 - 2004年01月10日(土) アルティメット・クラッシュ。 「徹底的に敵を破壊する」という意味の、早大ラグビー部が掲げるスローガンである。法大が関東学院大から受けた仕打ちは、まさにこの言葉が当てはまった。 全国大学ラグビー選手権・準決勝、法大対関東学院大。11月のリーグ戦での対戦では62対26と関東学院大が圧勝。前評判では関東学院大が優位となっているが、法大も意地を見せたいところ。平均体重100キロを超える関東学院大強力FWを得意のタックルで阻止することができるか。法大にとってはこの点が生命線となる。 スコアボードの時間表示は30秒。関東学院大・HO山本がトライを決める。キックオフのボールを法大・LO佐藤平がキャッチした所を関東学院大FWが猛襲。こぼれ球をつかんだ関東学院大FWがモールを押し込み、HO山本が法大ゴールに飛び込んだ。関東学院大の抜群の集中力がもたらしたトライだった。 出鼻を挫かれた法大は防戦一方となってしまう。この後も、関東学院大の攻撃を雨あられのように浴びる。前半4分にLO犬飼、14分にWTB北川、20分FB有賀、29分に再びHO山本と前半終わって33対7。法大の頼みのタックルは関東学院大FWの前では虚しく散っていた。関東学院大の日本一奪回への想いが、これでもかという程に伝わってくる展開だった。 しかし、後半。2年連続準決勝敗退を経験している法大は「3度目の正直」に向けて意地を見せる。151cmのSH穂坂を基点に高速展開ラグビーを仕掛け、関東学院大ゴールにせまる。しかし、あと一歩という所で関東学院大ディフェンスが前に立ちはだかる。 いらだちを感じる、僕を含めた法大ファンの心を掴んだのは、151cmのSH穂坂だった。 110キロ、108キロ、105キロとどしりと並ぶ関東学院大の選手の間を潜り抜けてきた57キロの身体は、関東学院大ゴールに襲い掛かり、トライを決めた。大男が居並ぶ国立のピッチ上では身体的には劣るが、気持ちだけは負けていなかった。1年前のこの舞台では、法大の主将だったSH麻田の控えとして参加していた穂坂。尊敬する先輩の意志とポジションを引き継いだ身として、なんとか一矢を報いたかった。そんな気持ちの表れたトライだった。 後半38分。関東学院大のトドメが法大に突き刺さる。HO山本が法大ディフェンスを振り切りトライ。48対21でノーサイド。山本のトライで幕を開け、そして山本のトライで幕を閉じた試合だった。 関東学院大は強かった。法大を応援していた僕は、負けた悔しさ以上にこの思いの方がはるかに上回った。関東学院大の「打倒ワセダ」に懸ける想いは想像以上に強かった。 今季、関東学院大の最大の強みと謳われた強力FWが、来季には皆いなくなる。かといって、関東学院大の戦力が今季より劣るかどうかは来季になってみないと分からない。しかし、この試合を経験した多くの選手達が残る法大にとって、今季以上に来季は勝機を見出せることは間違いない。 来年のちょうどこの時期。国立のピッチで関東学院大に勝ち、勝利のノーサイドを聞く穂坂の姿を見たい。そう強く思った。 -
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