全員主役・甲子園 - 2003年08月08日(金) 夏の甲子園が開幕した。今大会はセンバツで活躍した横浜や遊学館、徳商、東洋大姫路などといった注目校が予選で破れ、波乱の予選となった。 今日は大会2日目。今治西対日大東北、倉敷工対駒大苫小牧の2試合が行われた。 今大会、マスコミが大きく取り上げているネタとして、今治西の曽我健太選手のことがある。曽我選手の左足は義足。その彼がサードを守り、打撃でも地方大会では5割を超える活躍。そして甲子園の切符を勝ち取った。 これらの事はマスコミがニュースとして伝える題材としては格好のネタである。しかし、最近のニュースを見ていると本当にうんざりさせられる。 この題材を伝えること自体に関しては、僕はなんとも思っていない。視聴者の興味をそそる話題だし、全国の足に障害を持った人たちにとっては励みになる話題である。しかし、報道のされ方を見ていると、これはちょっと過剰であり、ちょっと考えさせられる。 今治西が現地で練習を行っているグラウンドには、常に大勢の報道陣が押し寄せる。注目しているのはもちろん曽我選手の義足。他の選手達は野球以外のところで注目されている曽我選手に対して気配りしてしまうだろうし、何よりも練習に集中できていない。今は、甲子園での試合だけに集中したい選手達の心情を報道陣はこれっぽっちも考えていない。選手達は球児の前に、まだ世間を知らない一高校生なのだ。報道陣は選手達の心情をもう少し考えてあげるべきだ。 何よりも気の毒だったのは日大東北の選手達だ。彼らもこれまで日々、練習を重ね、福島大会を勝ち抜き、甲子園の切符を手に入れた。しかし、今日の今治西との試合。今治西は攻撃でチャンスを迎える。バッターは曽我選手。曽我選手の当たりは強烈なライナー。抜けると思われた打球をサードが飛びつきキャッチ。サードのファインプレーで日大東北はピンチを切り抜けた。しかし、そのサードの選手がファインプレーをしたにもかかわらず、カメラのアングルは曽我選手だけに向いているのである。こんな報道のされ方があっていいものだろうか。日大東北の選手もこれまで努力してきて、ついに立った夢の甲子園という舞台。その舞台をマスコミの勝手な都合で不平等に扱われている。日大東北の選手達にとってはたまったものではない。曽我選手自身もこの報道のされ方にいい気分をしているはずがない。 曽我選手をピックアップする報道。全高校球児を平等に扱う報道。マスコミはこの二つの報道を場面場面できちんと使い分け、責任を持って報道すべきである。 -
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