「いつもにこにこ・みけんにしわなし」
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2000年12月25日(月) 待合室。

朝、子供たちが目を覚ましてみると、
ツリーの下にクリスマスプレゼントが!
大喜びで包みを開ける。

「よかったね、サ、朝ご飯食べよ」といったとたんに、雲行きが怪しくなった。

まず、ミー。
「おかーちゃ〜ん、今日は保育園あるの〜」
「あるよ〜。」
「ミー、なんかおなかが痛いなー。」
ウソや。
「そんなこというてないで、早くご飯食べて早く着替えたら、行く前にいっぱい遊べるやろ。」
観念して、着替えをとりに行った。

あれ?モックン?
「あーたーまーいたーい〜。」
こいつもか。
と、はじめ疑った。

んー。でもちょっと、なんかへん。
いつもの顔つきと違う気がする。
熱ない。
偏頭痛かな?
最近ちょっと多いなぁ、偏頭痛。
脳外科系の病気じゃなかったらいいけどなぁ。

その内吐き気がきたらしい。
頭は痛いが話はできる。
意識もある。ろれってない。
でも子供の病気はいつだって急転する。
保育園はおやすみだ。

はしゃいでいるミーの横で小児科に予約の電話をする。
月曜だから、混んでるだろうな。
案の定。まだ診察の始まる前から、もう夕方6時までいっぱい。

6時の予約をして、
様子を見る。
二度吐いて、たっぷり寝て、少し機嫌がよくなってから病院に連れて行く。

もちろん3人とも連れて行く。


小児科の待合室には、できれば健康な子供を連れて行きたくはない。
だけど、核家族ではしかたがない。
元気なミーとマルはここで1時間ウイルスにさらされる。

モックンは、病院に着いたとたん熱が上がり始めた。
38度を越えた。
暖かくしてやったら、待合室のソファーで眠ってしまった。

ミーと、マルは絶好調である。
退屈されてぐずられたら、おにーちゃんの診察どころではなくなるので、
母も相手をする。

絵本を読んで、手遊びをして、
そのうち、床でイモムシごーろごろをし始めた。
うわああ。それはやめてくれー!
では今度はおかーちゃんのぼり。
背中を登っては、ずずずゥう〜と、肩から前を滑ってゆく。
周りのおかーさん、おとーさん、おばーちゃんがたは目が点だ。
床にひっくり返して、くすぐる。手も足も使ってくすぐる。
ひざに乗せて、動く抱っこロボもする。ひざから転げ落ちる。
靴下を引っ張って、脱がして得意げなマル。
かたっぽは簡単に脱げへんように、ふんばったった。
ぬぬぬぬーって力の入ったとこで、浮かす。
ごろーん。「うきゃきゃきゃきゃ!」

ミーとマルの相手をして、
モックンを励まして、
ふと、気がつく。

私って、ちょっとまわりのおかーさんたちと毛色が違う。

どこが違うのかなぁって考えてたら、
向かいに座った先輩おかーさんと目があった。
にこっと笑いかけたら、
「たいへんねぇ。」と声をかけられた。
「はははー。」
「でも、あなた、楽しそうねぇ。」

は。

婦長さんが、待合室に入ってきた。
見つけるなり、
「いやあ、あんた、ひさしぶりやないの。おにーちゃん?」
「はい、やられましたー。」マルを逆さづりにして、背中には、コアラのごとくミーが張り付いている。
「あんたなぁ。いつもようやってるわ。がんばりや。」

たのしそうで、がんばってんだろか。
おかーさんてたのしそうにがんばらないんだろか。

さっき感じた違和感は、
自分がおかーさんらしくないからだろうか。
子供と一緒にあほなことを思いついて、
あほやなぁと思いながら遊んでた。

子供から見たらおかーさんだけど、
おかーさんだけじゃないじゃない。私。
おかーさんぶったって、おかーさんじゃないとこの方が強かったら、
子供って私のことどう思うんだろう。



モックンが呼ばれた。
診察室に入って、症状を説明する。
ウイルス性の感冒性胃腸炎という診断。

偏頭痛の話もする。
「うーん、CTをとってみるってこともできるけど、
お母さんの観察からすると、体質的なものじゃないかなぁ。
経過をもうしばらく様子見てからでいいと思いますねぇ。」
「じゃ、センセ、もうしばらく観察ですね。」
「そうですね。おかあさん、観察得意だから。ははは。」


あー。


子育てが好きっていうか、
実験と観察が好きなのかも。私。
今回は、対象が、子供さんだってことで。
それで、3人はどうしても欲しかったのかも。
比較検討したり、
「社会」が兄弟間でできていくのが見たかった。
へんなおかーさんかもしれない。
(なにをいまさら。)


うちに帰ったモックンは、
タマゴのおかゆをおいしそうに食べて、
機嫌よくクリスマスプレゼントの双眼鏡を持って布団に入った。

ミーとマルが寝る前に、
おかーちゃん、寝てしまった。



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