川底を流れる小石のように。 〜番外編〜 海老蔵への道!
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2004年06月08日(火) |
三階すわりっぱなし。 |
さっき、久々にパソコンが固まって、書いた日記が消えた。 脱力。 なので襲名演目のみ手短に。
売店で「和樂」を購入。 雑誌だというのに本屋の店頭では買えず、定期購読のみという、いけず〜な雑誌だが、 「海老蔵襲名という事件」という特集を18ページも組んでるのだ。 買わないわけにはいくまい。
今日はともかくずっと三階に居続けるので、 まったりイヤホンガイドを聞きながら見ようと思っていた。 口上。 今月見たにらみのなかでは、一番あれ?と思った。 不動明王の表情を模しているのだったか、独特の目なのだが、 今まではハっ!と気を入れて、見開くと、片目だけきゅうと寄っていたのだが、 今日は見開いた後に、目をぎゅーっと寄せていた。 それで、まばたきぱちくりしちゃってた。 あれはなんだったんだろ?
鏡獅子。 土曜のモヤモヤを解消するべく、勘九郎と菊五郎の鏡獅子を見て、 さらに「歌舞伎ナビ」の鏡獅子の章を再読。 ずっと前に読んで忘れてたけど、あの振りにはこんな意味があったのねーと納得したり。 それにイヤホンもあるし。 今日は三階だったせいもあるかも。 この角度から見ると、良い感じに男らしさが緩和されて、 なんだか今日は、美しいお小姓さんに見えるぜい。 美しい才女が、取り立てられて大奥に・・・ってかんじ。 こんなお嬢さんに、目の前で踊られたら、将軍様もたまらんだろうなあ。 それにまた、あの着物の色の何とも言えない風合い。 ここを読んで、制作過程をワクワク見守ってきたし、 スーパーテレビでも、色選びの様子を見たし、 どんな色?と楽しみにしてたのだ。
渡辺センセイによると、 日本舞踊のキイ・ポイントが二つ。 一つは空間に踊り手が何かを描く、そのイメージの美しさ。 もう一つは、そのイメージを描く踊り手の姿の美しさ。 その二つがあって、渾然一体になるのがすぐれた踊りです。 とのこと。ふむ。(歌舞伎ナビ、325ページより) そして、踊りの冒頭、「天の浮橋」のくだりで、 六代目菊五郎の弥生の写真をもとに、 何もない空間に、いかに浮橋が浮かぶのかを解説している。
そうか・・・。 残念ながら、今の私には、そんな風に踊りを楽しむ目が無い。 海老蔵の弥生でも、天の浮橋を見ることはなかった。 そういえば小津監督の六代目の鏡獅子、録画してあったはず。 これは探して見てみねば。
そんな私が観ても、弥生に獅子の精が乗り移るあたりは、 まだまだ固い気がする。 頑張れ海老蔵。
獅子の出から。 獅子は想像上の霊獣なんだという、 澄んだ空気をまとったような緊張感は、やっぱり素晴らしいと思う。 獅子と牡丹と蝶の組み合わせというのが、いかにも霊獣という感じで、 やはりこれは、優れた演目なのだなあーと実感。
助六。 イヤホンガイドは幕間も担当者が、ちょっとしたエピソードなど話してくれるので、 一人の時には聞いたりする。 五月は小山観翁さんが、もう、この度の襲名が嬉しくて嬉しくて、 実にまったく嬉しくてたまらん!といったお話をされていて、 聞いていても、こちらまでフフフと笑ってしまうような感じだったが、 今月の助六も、この観翁じいが担当するらしい。 助六の前の幕間もイヤホンを外さずに聞いていると、20分殆ど目一杯使って、 今月の舞台にエールを送っていた。 この後の2時間に備えて、ここは是非お手洗いに行かねばならないのだけど、 お手洗いの行列で、ちょっとウルっとしてしまう。
さて、一週間ぶりの助六さん。 いやっはー、かっちょいいーー! なんか、ますます研ぎ澄まされてきちゃあいませんか。
初日は、本舞台に上がってから、 他の人の台詞の時に、目線もキリリと助六ではあるのだけれど、 一瞬、今、海老蔵に戻って、えーと今、俺、助六に見えてる?みたいな、 ふっと素にもどってなかったか?みたいな瞬間があって、 何かのインタビューでも、本人が 「最初はいいんだけど、その後がまだまだダメ」みたいなことを言ってたのを思い出した。
今日はそんな感じがなくなって、 ずっと助六のまま、それも力むことなく助六でいたように見えた。
それから、2000年の初演の頃のビデオでは、 助六が実は曽我五郎とわかってからが、お行儀よくちんまりとしてつまらなく思えたのだが、 今回は、曽我五郎として、実は親の敵討ちのため、 こうして刀の詮議をしている 志の強いきっちりした強い武士に見えて、とても頼もしい。 これは揚巻でなくとも、惚れるって。
そんなわけで、もう頭の中は助六でいっぱいになり、 うっとりしつつ帰宅。
あまりにもどうでもいいことだけど、 これは三階からしか見られないのでは?と思ったもの。 松禄さんの福山のかつぎが、ええい!と裾をからげて座り込んだ後には、 くっきり舞台に、まあるい桃のようにお尻の白塗りの痕が残っていた。 ぎりぎりのとこまで白塗りしたんだね・・・と笑った。
それから、先日、母と筋書を眺めていたら、 今月は瀬戸内寂聴さんが文をよせていて、 そのタイトルが「ミューズの女神の寵児の大器」と、ででーんと書かれており、 それを見て、もう寂聴さんメロメロじゃん〜と顔を見合わせて笑ってしまったのだった。 すんげえタイトルだ。
○○追記○○
6/12 土 NHK衛星第二 13:30〜17:00 土曜シアター・山川静夫の新・華麗なる招待席ゲスト・加藤武 瀬戸内寂聴 ▽十一代目市川海老蔵襲名「暫」「口上」 海老蔵、団十郎、雀右衛門、芝翫ほか この中で、先日のハイビジョンの特番も放送されるらしい。 海老蔵に興味を持たれた方、いやもう是非ご覧ください!
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