川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年01月20日(火) 寿 初春大歌舞伎 通しで一日 おまけの楽しみ

 昼の部(一階二等席)
 
 「高坏」の新之助は、一層かろやかに洒脱になったような気がした。
 けれど、少し目許にクマらしきものが見られ、
 今月の舞台をつとめるだけでなく、
 きっと襲名の準備に追われているのだろうな?とちょっと心配。
 やはり一階席は見やすくていい。
 勘九郎の高下駄タップも、楽しく堪能。

 昼は外へでて、歌舞伎そばへ。
 手慣れた風のおじさん達に見習い、作法を真似る。
 それにしても、ここのオヤジさんの蕎麦のゆで方が凄い。
 後ろ姿や横顔しか見られないのだけど、
 その素早い身のこなしは、まさに舞踊のよう。
 おかみさんとの掛け合いも絶妙で、一幕見てるような楽しさだった。
 30分の幕間中ずっと満席の歌舞伎そば、また来たい。

 「仮名手本忠臣蔵」九段目 山科閑居
 じっくりと、複雑に絡み合う人間模様に見入る。
 子を思う親の心、忠義をつくす男の生き方、
 そして残される女の悲しみ、
 幕切れに全ての心の内があきらかになり、
 悲しみの中で若い二人は、たった一夜だけ共に過ごすことに。
 は〜切ない。
 新之助の力弥は儚げで、
 これがこないだ荒ぶる佐藤清正を演ったのと同じ人とは思えない。


 夜の部(一階一等席二列目)

 「鎌倉三代記」
 やはりこんなに舞台に近い席だと、観ていても緊張感が違う。
 三階で観るときよりも背筋が伸びるというか・・・。
 いくら雀右衛門の時姫が美しいとはいっても、
 こんな近くで見ちゃうといけないんじゃないか?と思ってたが、
 そんなことは全くなく、醸し出される気品と身のこなしは、あくまで可憐であった。
 注目している竹本葵太夫の日記を読んで、義太夫の方と役者さんはこんなお話をなさってるのだ・・・と驚いたので、
 葵太夫の語りを聞きつつ、姫の心の動きに注目すると、
 ますますじんわりと感動してしまう。
 (ついでにワイドショーネタみたいでなんだが、菊五郎と幸四郎の様子も垣間見られて、
  ふうーんと思ったり。葵太夫ったらさりげなく書いてらして、もう!)

 見終えた後、近くの席の声高なおばさんが「ぜんっぜん面白くなかった!」と何度もブウブウ言っており、
 ほんに人それぞれ・・・と思う。

 「京鹿子二人道成寺」
 この舞踊は手ぬぐいを使って踊る場面があり、
 玉三郎と菊之助の手から、そして聞いたか坊主の所化さん達の手からも、
 客席に何本かの手ぬぐいが撒かれる。
 私が観劇日記を読ませていただいてる何人かの方のうち3人が、
 今月その手ぬぐいをゲットしたと聞いて、
 おーそれは良い記念になることだなあ、よいなあと思ってた。
 けど新之助命のくせに、玉三郎や菊之助の手ぬぐいまで欲しがるのは欲張りだろうと、
 自らを戒めていた。
 (最近歌舞伎の夢ばかり見るようになって、実は手ぬぐいを手に入れる夢までみてしまったんではあるが)
 それでも二列目で観ていると、いかにも手ぬぐいが飛んできそうな席ではある。
 この場面では舞台に控えていた所化さん達14名が、
 それぞれ手近な席に向かって手ぬぐいを投げるのだが、
 受け取るコツを、この方の日記で教えていただき(というか勝手に読ませていただいて)
 いよいよそのシーン。
 ちょうど目の前の所化さんに、熱い視線を送っていると、
 最後の一本をポイとちょうど私の手の中めがけて、投げてくれたじゃあないか!
 そんなわけで、今手許には、玉三郎と菊之助の紋が描かれた記念の手ぬぐいが。
 あーうれし。

 「きいたかーきいたかー」と登場する聞いたか坊主は、今月豪華に25人もいて、
 そのうちの一人、年若い所化さんが、
 客席の最前列あたりをチラチラと見つめており、
 なんだ?お気に入りか彼女でも来てるのか?と思ってた。
 後で筋書を見てみると、この若い方は板東亀寿さん。
 こういうの(キョロキョロとか、モジモジとか)ってありそうで、実は見たことがない。
 そういう意味でも板の上の役者さんは美しいなーと思ってしまう。
 お行儀悪いよ亀ちゃんってば、と苦笑い。
 終演後ふとみると、そのあたりから立ち上がったのは女優の常盤貴子さんであった。
 すっごく可愛らしい美しい人でした。
 これじゃ小僧さんも目がくらんでしまうというもの。
 ちょうど目の前に来た常磐さんを、私もうっとり見つめてしまった。
 今朝のニュースで、昨日常磐さんが主演の映画「赤い月」完成披露会見を行い、
 美しいドレス姿3着分が話題になっていたのを見たばかりだったので、尚更。
 常盤さんの私服姿も、さりげなく凝っていて可愛らしかった。

 それはさておき、間近でみる道成寺。
 玉三郎は、さすがにスキがなく美しく、どの角度から見つめても素晴らしかった。
 一方の菊ちゃん、そういう意味ではときにみだれるようなところもあるが、
 そこがまた愛しいというかなんというか。
 鐘入りの時の「おばけ毛」(っていうのかしらん?)、
 私の席からは玉菊二人が、鐘の後ろでスルリとそれを引っ張り出すのが見えて、
 おお?ああやってひっぱりだすのか?!とたまげたり。
 

 「十六夜清心」
 苦手か?それともまだ早いのか?と思われた新之助の世話物ではあるが、
 新なりに、自分らしい清心を少しずつ見つけつつあるように思った。
 見所の変わり目とはいえ、同じ人間が一瞬の気持ちの切り替えでここまで変わるものなのか?
 みたいな疑問が私の中にはあるようで、
 それが違和感の一因だったかもしれない。
 初日に比べると、始まりからの声の高さが落ち着いて、
 新らしい二枚目半な清心の落としどころを探しつつあるというか。
 そんな変化が嬉しい最後の幕。
 清心に殺されてしまう若衆求女(もとめ)が花道を出てくる時、
 清心と求女の「渡り台詞」のシーン。
 客席は花道に注目している人がほとんどだったけれど、
 新が目の前にいるというのに、どうして目をそらすことなどできようか。
 頑張れ新!
 
 

 あー歌舞伎はやっぱりたのし。



 ○○追記○○
 そんな今月の歌舞伎座も、もうすぐ千秋楽。
 楽は仕事で行けないけれども、25日は三階でみてくるつもりです。

 画像いくつかアップしました。


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