川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
もくじを見てみるひとつ前現在に近づいてプチ画像日記


2003年12月13日(土) 十二月大歌舞伎 夜の部 歳末チャリティーサイン会

 朝から気合いを入れて仕事。
 それでも仕事が終わったのは、いつもよりも少し遅め。

 必死で帰宅し、今日発売の寿一月初春大歌舞伎のチケットゲットのため、
 電話をリダイヤルしまくる。
 出かけるまでの1時間で、どうかつながりますようにー!と念じていたら、
 思いがけず20分でつながる。
 チケットホン松竹の凄いのは、
 電話で希望の日や希望の席種を言うと、今とれる席の席番号を調べてくれ、
 こちらが納得して決めるまで付き合ってくれるってところ。
 でも、自分も気に入った席が選べる分、
 一通話は長くなり、当然電話はつながりにくくなる。
 そして、こういうとき何故かヘタレな私は、事前に第三希望くらいまで考え、
 ちゃんとシミュレーションしてあるにもかかわらず、
 いつもへどもどしてしまう。
 ずっと電話かけまくって、不意打ちに繋がるのも心の準備ってものが出来ないし、
 発売日の殺気だった空気が、私を追いつめるんだと思う。
 結局、後で、あーこっちの日の二等席も聞いてみるんだった・・・とか、後悔するはめに。
 とはいえ無事チケットを手に入れ、ほっとする。

 おにぎりで遅い昼をすませ、いざ歌舞伎座!
 地下鉄で、ほんの10分くらいだったけれど、深ーく眠れて気持ちよかった。
 週末の歌舞伎座前は熱気がムンムン。
 チャリティーのサイン色紙をひやかし、富十郎の隈取り(20万円)をホ〜っと見上げ、
 すっかり楽しくなる。
 今日の席は二等席(¥10500)だが、こないだ急遽買い足した席で、
 一階の最後列。
 どんだけヘボイ席かと覚悟して行ったせいか、思ったよりはずっと観やすい。
 思えば10年前はまってた時は、いつもいつも三階だった。
 あれが基準になってるせいか、一等は勿論二等でも、満足な気持ちになれる。

 「絵本太功記〜尼ヶ崎閑居の場〜」
 このお話は13段からなっているのだけど、今は専ら十段目の尼ヶ崎のみ上演されるらしい。
 なので通称「太十」と呼ばれる。
 これだから歌舞伎ってこんがらかるんだよ。
 なので覚え書きとして記す。
 もともと人気の人形浄瑠璃を役者がやるんだから、面白くないわけはない。
 佐藤正清役の新之助の出番は、後半10分くらいだけ。
 けれど、凄かったー。
 追いつめられた光秀を挟み撃ちにするために、
 花道、揚げ幕の内側から大声で呼ばわる新の声を聞いただけで、
 ひょひょひょ〜歌舞伎だーーーー!新之助だーーー!と興奮。
 隈取りも荒々しく、見得をきるその姿!
 そしてジッとしてる所でも、素足の親指だけがピンッ!と立っていて、
 まさに頭のてっぺんから爪先まで、力がみなぎりともかく美しかった。
 この人が荒事のお家の生まれで本当に良かった!と感激。
 時代物のお決まりの、華やかな絵面の見得が決まって幕が降り、
 なぜこの段だけが人気で残ったかが、よーくわかった次第。

 幕間
 勘九郎がロビーでサイン会。
 さっきまで白塗り前髪姿だったのに、もうさっぱりとセーターに着替えてる。
 気さくに機嫌良くサインしてた。
 70名分、あっという間に定員になってた。
 それを横目にみながら、今日から売り出された今月の舞台写真にクラクラ。
 新之助の分は14枚。どれにしようか??
 気に入った写真と、千代紙の表紙のブロマイド入れを買いもとめ、大満足。

 「素襖落」
 松葉目物の舞踏で、新も出ないし、気楽に見る。
 この幕のイヤホンガイドの女性が渋くて、聞いていて楽しかった。

 「狐狸狐狸ばなし」
 これはもう、勘九郎がのびのびと「ザ・中村座」!という感じで笑わせてくれた。
 ねちっこいダンナ(勘九郎)に嫌気がさした女房(福助)が、
 モテモテなまぐさ坊主(新之助)と浮気をし、
 ダンナが邪魔になり殺してしまう。
 ところが殺されたはずのダンナが生き返り〜という、
 ドタバタあり、濡れ場(?)ありの、喜劇。
 いい加減で女にだらしなくてワルで、でもモテモテ!の坊主を、楽しげにやってる新。
 案外、素でもこれに近いかも?とか思ったり。わはは。
 新は「牛娘」なる大女にも惚れられ、体中舐め回されるシーンがあって、
 昔の人はこれで喜んでたのか・・・?と苦笑い。


 そんなこんなで、なんだかとっても楽しかったのだった。
 あー贔屓の役者が毎月歌舞伎座に出る幸せ。たまらぬ。

 明日は昼の部を三階のしかも西の、しょぼしょぼの席で観てくるぜ。
 うは。


 ○○追記○○
 新の佐藤正清について、演劇評論家の渡辺保氏が、
 「新之助の正清は、怪物の如く、並外れたエネルギーはあるが、
  それがキッチリ箱に入ってこそ義太夫狂言の芸である。」と書いており、
 カイブツかー!うはは!と笑ってしまう。


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