なべて世はこともなし
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2008年01月08日(火) ドイツでもある(?)オヤジの悲哀

私、今日も元気です。


…それがどーしたという方、あのね、会社の自分の机の周りの同僚がそろいもそろって、ゲホゲホやっているのです。風邪が社内に蔓延してます。そんな中で、なぜか私だけが元気というのは十分謎です。ま、元気に越したことはないんですが。


今日の日記には日頃あまり日記に登場しない私の彼女が出てきます。彼女、私の彼女を務めることができるだけあってある意味人智を超越したすごい人(別の言い方をすると変人)なのですが、それ以外では、ドイツ人であり、幸いにして女性であり、ま、その他いろいろです。あ、最初に言っときますけど、今日の日記はオチなしですよ。


毎年恒例のようになって自分の彼女の実家でクリスマスを過ごすのは何度目でしょうか。もうなんか「いるのが当たり前」のように、本人も彼女自身も、そして彼女の家族もが思いこんでいることがちょっと怖いですが。


この家には毎年伝統があって…というか、毎年同じことの繰り返しなのですが、クリスマスの日に本家に家族が集まるという伝統があります。毎年、同じものを食べて、同じように集まるというのは進化がないと言えそうですが、考えてみれば、日本だって、大晦日に莫迦の一つ覚えのように紅白歌合戦を見て翌朝にはおせち料理を食べるのだから、同じと言えなくもないかも。


ともあれね、クリスマスの日に本家に集まるわけよ。で、今日もまた本家の集まりに行ってきました。落ち着いて考えると、結婚してるわけでもない完全なる「ガイジン」の私、当たり前の顔をしてその集まりに行っていること自体厚顔無恥と言えるわけですが。


初めてこの集まりに参加したのが…うわあああ、もう7年前。ここにね、親類のコドモが3人いまして、7年前に年齢が確か9歳とか10歳だったはず。この三人が親に命令されてちょっとしたコンサートを開いたわけ。バイオリンとか、バスとかのの楽器を使って。ご存じのとおり、バイオリンってのは音を出すこと自体一苦労なわけ(ゆえに私は触ったことすらない)。


そんなわけで、ようやく主旋律できらきら星とわかるような演奏だったのだが、年々歳々レベルが上がってきて、けっこういい感じになったと年々思っていたら、いつの間にかかわいかった3人のコドモは気難しいティーンズになっており、コンサート自体も開かれなくなってしまった(それでもこの本家での集まりにはちゃんと参加するんだけどね)。なんだか、タダのガキだった女の子がドキッとするようなティーンズになったのを見て、別の男の子がいつの間にか地元のオーケストラに参加するようになって(もっと言えば、日本ならオバ様方が大騒ぎするようなかっこいい青年)、こっちは自分がトシを取ったことに対してぞっとするわけです。


ちなみに彼女には姉が一人。つまり、家族構成は男一(父)、女三(母、姉、妹)なわけ。つまりね、父はずーっと女ばかりの環境に耐えてきた…というか少数派の悲哀を味わい続けてきたと思われる。平たく言えば、女三人が徒党を組んだら勝ち目がないということ。たとえば、見たいテレビ番組も違えば、趣味も違う。かくして、この御仁には息子が欲しかったのではないかと思われるフシが多分にあるわけ。


今でも覚えている。ドイツ語が全く駄目だった(と書くと今は駄目じゃないような感じですがそれは誤解)一番最初の頃、いきなり振ってきた話題は、


「戦艦大和と戦艦ビスマルクについて」


…確かにこの話題じゃ娘は乗ってこないわな。


だけどお父さん、何か忘れてませんか。…私たちには通訳がいるという事実を。


最初のころは彼女もなんとなくいやいや通訳をしていてくれていたけれども、最近じゃお父さんが私にこのテのネタを振っても完全にスルー。私は私で申し訳ない気持ちでいっぱいになるんだけど、戦艦大和のことなど興味がないから全く知らない。言葉の壁もさることながら、趣味や興味でも埋めようのない断絶を感じてしまう。ゆえに、どうしようもないのだ。申し訳ないけど。


で、クリスマスの時期に、彼女と二人で持参したコンピュータの中に入っていた日本のドラマをのんびり見る。見たもの:


「パパとムスメの7日間」


普段日本のドラマなど全く見ないのだが、ひでかすが合法だか違法だかよくわからんサイトを見つけてきてそこからダウンロードしたものが偶然コンピュータの中に入っていたのでクリスマスの期間試しに第一話を見てみようということになり、二人してハマってしまい最終話の第7話まで見てしまった次第。


あまりメジャーじゃないドラマだろうからネタバレにならない程度に解説。一言で言うと、ひょんなことから中年オヤジと娘の体が入れ替わってしまうという内容。コドモのころに「おれがあいつであいつがおれで」とかいう本を読んだ記憶があるけど、それと全く同じコンセプト。要するに、ネタ自体はカビが生えたような新鮮味のない話なのです。


だけどね、出演者の好演が功奏してか、そんなカビの生えたような新鮮味のない話ながら面白いのよ。高校生とオヤジとの世代の断絶が良く描き出されてる。で、別にこのドラマの論評をしたいわけではない。一緒にドラマを見ていた彼女が首をかしげるのだ。「なんでこの親子は2年間も何も会話をしてないの」って。


はたしてこれが「よくあること」なのかどうかは私にはわからない。だけどさ、父子関係の歯車がどこかで狂って、オヤジと高校生の娘の間で会話が完全に途切れてしまうってのはまったくありえない話ではないような気がする。…なんだけどそれが私の彼女には理解できないというわけ。まあ、確かに冷静に考えてみるとそうだよね。ひとつ屋根の下に住んでいる親子が2年間も会話がないというのは常識で考えてどうかしている。


だけどさ、それは大げさな話としても、ドイツ人の父子関係を見てもオヤジの悲哀ってのはかなり明確に伝わってくるわけ。そういう意味ではもし自分に子供ができたら息子のほうがいいかな…とか思ったりもして。





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