なべて世はこともなし
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2006年06月23日(金) アイルランドから見たブラジル戦の悲しい現実

あまのじゃくな性格をした私、昨日のブラジル戦のことはスルーするつもりでした。ところが、そうできない理由というものができてしまいました。


そもそも私、スポーツにまーったく興味がありませんし、当然サッカーにも興味は微塵もありません。ゆえに、オフサイドがどうこう言われてもさーっぱりわかりません。もっと言えば、元サッカー少年(今はただの中年)ひでかすに一度説明してもらったけど、意味不明で、まだベルクソンの純粋持続の論理のほうがわかりやすいと思ったほど(←ウソです。読んでません)。


かろうじてわかるのは、ボールを手で触っちゃいけないことと、相手のゴールにボールを蹴り入れたら得点、相手に故意に蹴りをいれたら反則…というくらいでしょうか。そんな私が、サッカーを語るなど実に噴飯ものなのですが、それでも言いたいことがあるのです。


話は昨日に戻ります。ひでかすに連れられて近所のパブに日本対ブラジルの試合を見に行きました。日本人が集まってパブリックビューをやっていたFitzsimmons pubに行くというのも一考でしたが、サッカーのことを何も知らない私が行ってにわかサポーターまがいになるより、ひでかす他の友人とローカルパブで観戦した方がいいと思ったわけ。もっと言えば、ひでかすにローカルパブに連行されてなかったら、多分中継すら見てなかったような気もする。


スクリーンの前の席に陣取って、ひでかすは見ただけで胸焼けがするようなローストポークを食べ、家でサラダを食った私はギネスのみ注文(それでもじゅうぶんダイエットには悪いが)。


そう、昨日パブに行って気がついたのですが、野菜ばっかり食べつづけていたせいか、いつもだったら食べたいと思うローストポークに全くそそられず、前にこのパブで食べて「おいしいなあ」と思った別のギリシア人の友人が食ってたダックに至っては見たくもなかったと言うのが正直なところ。たぶん一時的なことなんだろうけど。


まあ、ダイエットネタはとりあえずおいておいて、パブ中に君が代が流れ、試合開始。チャンネルは、アイルランド国営放送RTE2。


今じゃ、ケーブルテレビだ、サテライトだで、いらんチャンネルが数百あるようなテレビがアイルランドでも当たり前になってますが、そうなるまでは、テレビ局はRTE1, RTE2, TV3(とゲール語の訳のわからん放送局)の3局しかなかったのです。


もっと言えば、私が一番最初にアイルランドに来た10年前はTV3すらなかったのです(RTEの独占放送)。未だに、ケーブルテレビやサテライトの設備がない家ではテレビは実質この3局しかありません。とどのつまり、RTEはアイルランドにとって重要なテレビ局だということをご理解くださいませ。ちなみに、パブでは地上波では見られないスカイスポーツなんかの番組を中継していることが多いような気がします(興味がないから知らんけど)。


で、試合経過なんぞ、こんなとこで紹介するまでもない(するだけの知識が私にはないという致命的な問題もあるが)。よくわからんうちに日本が先制し、パブの中にちょっとしたどよめきが起こる。なぜか友人からお祝いSMSが届く。


ほんで、もとからサッカーなんぞに興味のない私が友人にSMSを返しているうちに同点にされて前半終了。


ほんで後半。あれよあれよのうちにブラジルリードの3-1になり、日本の誰かが負傷し試合が中断。で、画面は一時的にオーストラリア=クロアチア戦に切り替わる。まあ、日本のプロ野球の中継なんぞでも他球場の状況なんかを紹介することがあるので、試合が中断している間、そういうのもありかなあと思った。実際、日本=ブラジル戦を放映中もオーストラリア=クロアチア戦でゴールがあったときなんかは一瞬だけ向こうに画像を切り替えていたし。しかし、実際はそんなもんじゃなかった。


試合終了まで、そのままRTEは日本=ブラジル戦を中継することなく、オーストラリア=クロアチア戦を放送してました。そう、日本はアイルランド国営放送RTEに見捨てられました。


無料新聞Herald AMの昨日のテレビ欄。






はい7時30分から、日本対ブラジルの中継と明記されてます。


これって看板に偽りありじゃないか?


確かに客観的に見て、コテンパンにやられていた日本を映すより、一次リーグ突破のかかった必死の戦いをしているオーストラリア=クロアチア戦を映したほうが面白かったと思う。だけどさ、日本で、新聞に「巨人=ヤクルト戦中継」と書いておいて、試合が面白くなくなったからといって、いきなり「阪神=広島戦」に切り替えたようなテレビ局はたぶん未だかってなかったと思う。そんなことやったら、たぶん抗議の嵐になると思うのは私だけ?


ただ、パブの中の人の反応を見ると、そのままオーストラリアの活躍に一喜一憂をはじめまして、オーストラリアのシュートには大歓声。つまり、このRTEの決断はおそらく大方のアイルランド人には受けいれられたんだろうなあと思う。


<追記>この点について、掲示板でKameさんよりツッコミをいただきました。


こんにちは。
管理人さんはRTEのラジオ番組でジョー・ダフィーショーというのを知っていますか?
旦那いわく、暇な(←これも旦那いわく)怒れる人たちが番組に電話をかけて目一杯愚痴をいっていく、という番組らしいんだけど。
で義父いわく、この日のこの番組では、なんでRTEは多くのアイリッシュが移住しているオーストラリアの試合を放送せずにこの国じゃ誰も興味のないだろうブラジル−日本戦なんかを放送するんだ、という文句の電話がじゃんじゃんかかってきてたらしいです。

ということで、RTEも民意を反映しての決断だったんでしょうかねー。。
それにしても、やること、大胆ですね。



さらにアザラシさんは...


ちなみに今回の放送について言うと、僕は切り替わったとき「うん、妥当な選択」と完全に納得していました・・・・・



ひとつ気になって仕方のないことは、私が結局お邪魔しなかったFitzsimmons pubで日本人が集まってやっていたというパブリックビュー。ここでRTEを放映していたとすれば、かなりの悲劇ですぞ。中にはブルーのユニフォームを着た人もいたであろうパブで放送が中止されたりしたら実際シャレにならないと思う。


<さらに追記>この点についても、ほそみたけしファンさんより投稿がありました。そのまま転載。

Fitzsimons・・・いってきました。ブラジル戦。ダブリンでこんなに日本人みたことないよ!!!!(涙。。こんなにいたんだ。。。)
半分くらいサムライブルーのユニフォームきて(あたしも)ニッポン!の掛け声までどこからともなく出てきてそーとー気合はいってました。と感動していたら1点目。もしかしてドルトムントの奇跡?と思っていたらデブロナウドに同点にされ、後半は目を覆うようなシマツでしたよね?

そして"そのとき"がやってきました。ほとんどのヒトは Fitzsimons のヒトがチャンネルかえやがったと思っていたようで、いっこうに日本vs.ブラジルに戻る気配がなく、みんな「えーっとえーっと」とちょいおどおどしていたら、日本オタクと思われるアイリッシュ男数名がバーテンダーひっ捕まえて「こんなに日本人きてるんだからチャンネルもどせ!みんなパブにわざわざきてるんだよ」と叫びまくってました。そしたらバーテンはギャクギレして「オレのせいじゃなくてRTEが切り替えたんだよボケ!」と一触即発。 そして画面がクロアチアvsオーストラリア戦を写しているのに、サムライブルーユニフォームを着たみんながニッポンコールをはじめて、しまいにはBBCコールが沸き起こり、プレッシャーに負けたFitzsimonsはBBCに画面を切り替えてくれました。

試合もゴールキーパーまで交代させたり完全に練習試合状態のブラジル、中継切り替えるRTE ・・ クツジョクですよ




聞いたところによれば、日曜日の対クロアチア戦には結構の数の人が集まっていたという話なので、ブラジル戦もかなりの人が集まっていたと思われます。一体何が起こったのか、参加された方からのタレコミを待っています。せめて同じく中継をしていたBBC1は最後まで日本=ブラジル戦を中継していたと信じたいですが。この点を知っている人のツッコミも同じく待ってます。


で、家に帰ってきてインターネットを見て仰天しました。そんなRTEに見限られた試合に…


ドイツ0泊2日弾丸ツアー関空から400人

 サッカーW杯日本−ブラジル戦を現地観戦する“弾丸ツアー”の参加者約400人が22日午前10時25分、関西国際空港から飛び立った。一行は日本航空のチャーター便でケルンに到着後、専用バスでドルトムントに移動。観戦後は再びバスでケルンに戻り、23日午後9時ごろ帰国する。

 出発から帰国までの34時間半のうち、飛行機とドイツでのバス移動を合わせると計28時間。ドイツ滞在時間は出入国手続きやバス移動も含めても約11時間という強行スケジュールで、空港で土産を買う時間すら確保できるか不明という。ツアー料金は24万8000円(観戦チケット込み)だが、応募倍率は約7倍の人気だった。


ニッカンスポーツより転載)


マジかよ。おい。


私はひでかすが1週間だけ日本に行くというのであいつはアフォだと思っていた。2泊3日で(アイルランドから)ドイツにしょっちゅう行く私は酔狂だと思っていた。


だけど世の中には0泊2日で日本からドイツに行くというすごい人たちが700人もいるんですね(注:上の記事は大阪発。東京からも300人が参加したらしい)。しかも25万円も払って。


お土産も何も、行ったことはないけど、他のドイツのローカル空港の状況から察するに、ケルンの空港なんてローカル空港でまともなお土産屋なんてなさそうだし…。果たして参加者の方はこのお金の使い方をどう思っているのか。日本人のすごさを感じさせられました。ありていに言って呆れたってことねん。




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