なべて世はこともなし
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2006年05月09日(火) たかが右折。されど右折。

ダブリンの交通信号機、意外や意外、面制御です。


…と言っても、なんのことかわからん人がほとんどだと思います。解説すると、信号の制御方法には、点制御、線制御、面制御の三種類があるのです。


つまり、山奥にひとつだけある信号機、これ、他の信号機と連動してないので、点制御。で、今度は、幹線道路などで、信号が1本の道について(例えば国道に沿って)連動してるというのが線制御。面制御は都市部で線ではなく面で制御しているという方法です。あ、私、交通評論家じゃないので話半分で読んでくださいね。


ダブリンの信号、私が見たところ面制御です。結構高度なシステムを10年程前にオーストラリアから買ったらしいです。だけどねえ、運用がなってないのです。運用が。


混んでないはずの時間帯に突然プチ渋滞に巻き込まれて、気がつくと、100メートル先にある信号が1分以上赤が続いて5秒しか青にならない…そんな経験がアイルランドで車を運転したことがある人ならあると思います。信号の制御パターンを祭日なのに平日にしてたりとかそういうことが多々あるようです。


さらに、使う側にも問題があるということがよくあります。例えば今日の話(どうやらようやくここから本題が始まるらしい)。よい天気に誘われて、昼休みに外に食事に行った私と同僚。もう昼休みが終わる…ということで、しぶしぶ車に乗って会社に戻ることにしました。


その店から会社へは、あるT字形の交差点を本線から右折します。この交差点、平日の昼間はたいがい対向車が途切れることなく来ます。つまり、右折信号なしでは右折は困難。右折信号が出ない限り信号の変わり目を狙って1-2台が右折できれば御の字かなという感じ。


そこで出番となるのは右折信号。これが出ればいいのですが、出ないのよ。出ないというのは正確じゃない。ある条件を満たせば出ます。それは、右折車が交差点内で待機すること。


今度交差点をよく観察してみてください。右折車が待機する場所の路面になにやらマットが仕込まれてます。このマットが車を感知すると右折信号が出るようになっている交差点が結構な数あります。だけど、このマットを踏んでないと右折信号は出ません。この方法は、効果的に見えて実は致命的な欠陥があります。


一部のドライバーは運転がとことんヘタで、右折時に交差点内で待機しなければいけないことを知らない。


日本だったら、右折するなら信号が青になった交差点の中心部まで出て、対向車が途切れるのを待ちますよね。ところが、アイルランドでは信号が青になっても停止線から動かないで、ただひたすらに対向車が途切れるか、はたまた右折信号が出るのを待っているアホタレがいるのです。しかも結構な数。


で、昼休みが終わろうと言うときに、差しかかったこの交差点。目の前に右折車がいるだけなので、前から2台目。フツーならすぐに右折できる状況です。


ところが。目の前にいるドライバーは青信号になっても停止線から全く動こうともせず、ひたすらに対向車が途切れるか、はたまた右折信号が出るのを待ってます。上に書いたとおり、右折信号は交差点内で待機してないと出ません。で、右折信号が出ることなしに信号が赤になります。この運転手、実に実にヘタクソでして、交差点内で待機してないから、信号が赤になった一瞬をついて右折することもできません。


二度目の青信号。…停止線から動きません。また赤になります。


三度目の青信号。それでも停止線から動きません。そこにいたら右折信号が出ると思っていたら大間違いなのですが。そろそろ後ろからクラクションが聞こえてきました。後ろの運転手さん、かなりイラついてます(当たり前か)。


四度目の青信号。呆れたことに、まだ動かない!私が運転手だったら、今ごろ後ろからクラクションからパッシングからありとあらゆる方法で怒ってますが、助手席に座っている私はおとなしくしてました。私たちの直後の車はついに諦めて直進してしまいました。


五度目の青信号。ついにキレた後ろの運転手が、直進レーンから交差点内に割り込んで右折。ただ、センサーのマットを踏んでくれなかったので右折信号は出ず。


六度目の青信号。再び後ろから車が割り込んできました。この車がセンサーのマットを踏んでくれたおかげでようやく右折信号が出て右折することができました。


たかが右折するだけで所要時間8分(しかもぜんぜん混んでなかったのに)。


確かに、交差点内のセンサーのマットを踏めば右折信号が出る…なんてしってる必要はないけど、右折のときは交差点内で待機することくらい知っててほしい。また、こういうアホタレが結構な数いるのだから、右折信号が出る方法を変えればいいのだけど…たぶんそういうことはしないだろうなあ。この国は。


笑ったのは運転してた同僚の女性。口汚い言葉で、「そこのババー、交差点に入らないと右折信号が出ないんだよ。ヴォケ」なんて言ってますが、そういうあんただって、先月までずっと停止線で待ってる人だったでしょうが(そう、私が教えたのです)。これからも私が誰かの車に乗るたびにこの右折信号の法則を教えつづけますが、この法則がアイルランドじゅうに知れ渡るまでにあと50年はかかりそうな気配です。




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