なべて世はこともなし
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2004年08月06日(金) ドイツ北部最高峰の山the Brocken。その山頂で見たものとは?

Harz National Parkという国立公園がドイツ北部のLower Saxony県(「州」と訳す方が正しいんですか?)にあります。私はかねがね一度行きたいと思っていた。なぜなら、そこには山があり、山の上からの風景は息を呑むような絶景に違いないと思ったから。…それだけです。


バカと煙は高いところが好き…などと馬鹿にされても気にしません。私は「そこに山があるから」登るのです(そう書くとかっこいい)。ただ、なーんの事前情報も得ずに、お気楽に山登りに出かけたわけです。


今回目指すのは、the Brockenというお山。高さ1141メートルって、全然高くないじゃん。…ただそれでも、ドイツ北部としては最高の高さなんだそうな。Mausi(御存知のない方のために注:Snigelの奇特な彼女の名前=仮名)の物知りお父さんによると、このthe Brockenという山、その昔は旧東ドイツに属してたとかで、旧ソ連が建てた、監視用の塔とか訳のわからん遺構があるとのこと。私が知っていたのはこれだけ。


で、高速を飛ばし、ふもとのBad Harzburgから一気に車で山を駆け上り、たどり着いたのはTorfhaus。ここからトレッキングは始まるわけです。Mausi父によれば、「なーに、ものの2時間もあれば着くよ」とのことで、まあ、私としてもお気楽な山登りの感覚だったわけです。ちなみに、山頂には売店もあるとかないとか。




Torfhausに着いてみると、目的地となる、旧ソ連の遺構が見える山は確かに遠いですが、すでに見えてます。しかも、どう見ても「丘」レベルで、難易度の高い山登りにはまったく見えません。うん、確かに2時間あれば余裕で攻略できるわ。


かくして、てくてくと歩き始めたはいいが、私は致命的なミスを犯していることに気がついた。それは、。某私の嫌いなRoches Storeで投げ売りをしていた靴、使わないからとMausi宅に放置しておいて完全に存在すら忘れてました。今回タンスの肥やしから晴れて復活したはいいが、山登りの鉄則「履きなれた靴を履け」というのを全く無視してしまっていた。数歩歩いただけですでに靴擦れの予感。




こんな感じの森の中の小道をじわじわと標高を稼ぎながら進みます。ハイキング感覚としてはもう最高。自然と鼻歌も出てきます(なぜか出てきたのは山本コータローの「岬めぐり」…本当になぜだろうというか、Snigelのトシはいくつだ?)。ただ、慣れない靴を履かされた足はすでに悲鳴を上げてましたが。




途中、こんな感じの「死の森」を抜けます。ここthe Brockenはさっきも書いた通りドイツ北部で最も高い山。この山にぶつかって工場からの排煙だの車からの排気ガスだのそういう汚染物資が酸性雨となって降ってくるわけ。そして森は死んでいきます。


ああ、なんて素晴らしい休日なんだろうと思う。私がこうやって山歩きをしても、地球環境には何らの悪影響を及ぼさない。暑けりゃエアコンをすぐにつけ、ちょっとの外出にも車を使う。こんなんじゃ、環境は悪くなるばかり。たとえ公共交通機関があったとしても歩くくらいの反骨精神があってもいいと思う。




へっぽこ写真で何も伝わってきませんが、ここ、かなりの急坂です。ちなみにこのコンクリートは、冷戦時代に戦車が通れるように設置されたものだそうな。現在は、皮肉にも格好のハイキングルートになってますが。




この急坂を登ると、突然出てくる、線路。聞けば、山頂までこの線路は延びているとのこと。


そんな楽なもんがあるなら、なんでそう最初に言わん!


…って自分で突っ込みますが、さっきの反骨精神うんぬん発言はどこに収めるんですかね。批判とか、偉そうなことを言うのはすごく簡単なんですが、「じゃあお前はどうやねん」と突っ込まれると、たいがい黙るしかないんですよね。


で、線路に沿ってしばらく歩いていると、地響きのような音が背後から聞こえてくる。




ん?これはもしかしてSL


後でひでかすに聞いたところによあると、ここ、the Brockenはけっこう有名なSLに乗れる観光名所らしい。




なるほど。やたらと長編成の客車、デッキまで人があふれてます。


途中でT字路になり、山頂方面は左折。ただ、この左右の道のほうが本線らしく、クルマでも十分行き来できそうな舗装されたきれいな道。舗装の上を歩くと、靴擦れした足がかなり本気で痛い。




ひとり八甲田山を演じつつ、足を引きつつ1100メートル地点を通過。山頂まであと少しだ。事前情報によると、山頂には売店もあるらしい。うまくすれば伴創膏のひとつでも売っているかもしれない。それがあれば少しは楽に歩けるかも。何せ、行ったからには引き返さなければならない。ちなみに、SLに乗ると、麓の全く別の方向に降りるので、乗れない。ゆえに意地でも歩かねばならない。


そして、出発から2時間45分後についに山頂到着。




って別に、息を呑むほどの絶景というわけじゃあないなあ。


それにしてもここはなんですか。あれだけ、自然あふれる森の中を歩いてきたのに、山頂にはなんと、



博物館はあるは、





ホテルはあるは、挙げ句の果てには



ビアガーデンまであるわ。

要は、金に物言わせたブルジョワジーどもが、SLで大挙してやって来て、山頂付近を1周して、それだけじゃ物足りないから、博物館に行き、ついでにビアガーデンでのどを潤すというわけですか。ちなみに「ブルジョワジーども」と侮蔑ともとれるようなひがんだ言い方をするのには理由がありまして、このSLの運賃、ただ山を登るというだけで、片道14ユーロ、往復22ユーロもするのだ。高い。足元見過ぎだよ。これは。


そんなことはともかく、足が痛くてたまらない私は、売店に行き、伴創膏を売っているか尋ねるが、…売ってない。救護室があるからそこに行けと言われるが、…開いてない。自棄になった私は、博物館の入場券売りのオバサンに聞くと、どうやら、私のようなアホタレは他にもいるらしく、缶入りの巨大な伴創膏をタダでくれた(ありがとう)。こうして、楽に歩けるかと思いきや、すでに皮が完全に剥けてしまっており、焼け石に水。結局、足を引きずりつつ、下山。


今日の教訓:登山のときは、履きなれた靴で


常識だと言われそうですが、常識ゆえに、それを外すとえらいことになるというお話でした。というか、すべてを靴のせいにして、自分がオッサン体になりつつあることを隠そうとしているフシもあるような…。


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