なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2003年10月09日(木) |
日本対アイルランド。どっちがコネ社会? |
使えない新入社員、なんでこんな使えないやつを会社が採ったんだと調べてみると、社長経由の強力なコネで会社に滑り込んでいた…なんて、不況の今はどうかは知りませんが、日本でよく聞く話です。で、「日本はコネ社会だ」なんて言う人もいるわけですが。
で、「日本はコネ社会だ」としたり顔で語る人に私は言いたい。「アイルランドも日本と負けず劣らずのコネ社会だよ」と。
例えばこんな話。
ルーマニア人のナターシャは数年前にアイルランド人の男性と同棲を開始。で、おめでたになりかわいい赤ちゃんが数ヶ月前に誕生。まあここまでは良かった。
アイルランドは未だに育児に関して言えば先進国とは言えない。会社によって違うけど、彼女の勤務する会社は産休は最大4ヶ月まで。あと2ヶ月は「無給」という前提で取れるがどっちに転んでも最大6ヶ月。それ以上の休みが欲しければ彼女は退職するしかない。で、彼女の場合、退職すると新しく就労ビザを取ってどうのこうのと話がややこしくなるので退職は彼女の選択肢には入っていなかった。かくして4ヶ月休んだ段階でさあ2ヶ月後からいったいどうしようかという話になった。
Child minder(保育所)というのも確かにテだが、ここ、月に800ユーロ(!)も取るらしい。彼女の薄給から考えるとあまりに高すぎる。で、彼女に浮かんだ妙案は
(調子のいい時だけ)おかあさまー
彼女の母親、すでに父親ともども定年退職しており悠々自適の身。しかも洋の東西を問わず孫は目に入れても痛くないというところは同じ。孫に会うためならヒコーキの数時間の旅も苦になるはずもなく。そこで彼女の母親に探りを入れてみると
母親:「あらー、いいわよ。何ヶ月か面倒見てあげるわよ」
ラッキー。というわけで、彼女の母親をダブリンに招待することに。Child minder(保育所)に月800ユーロ払うことを考えれば母親の航空券など安いもの。
ところがここで問題発生。彼女はルーマニア人、ビザがいる。観光ビザですら日本人と違って事前に申請しないとダメ。で、彼女は母親から郵送してもらったパスポートを持参してビザの申請に行ったそうな。数週間後手紙が来た。
「前略:ビザの申請は却下されました」
なんでやねん。別に就労ビザを申請したわけじゃないんだぞ。アイルランドはばあさんに孫の顔すら見させないというのか?
速攻ビザセクションに電話するも電話は通じず、ファクスを送れどなしのつぶて(ここに連絡しても通じた試しがないというのが定説)。アイルランド人のダンナも巻き込んで何とか連絡を取ろうとするが見事に失敗。
そんなときにダンナはふっと友人の友人に某国にあるアイルランド大使館のボス級の人間(つまり大使の次くらいの人ね)がいることに気がついた。かれに電話をしてみると
「よし、俺に任せておけ」
とのこと。
で、数日後、ビザの担当者から突然電話がかかってきた。
担当者:(やけに丁寧な口調で)「いや、これはオブライアン様(仮名)、この度は大変に失礼いたしました。我々の手違いでして。今すぐに手続きをさせていただきたいのですが、実はすでにお義母様のパスポートは返送させていただいておりまして」 彼:「今から持って行ってもいいけど、昼休みでしょ?」 担当者:「昼休み?滅相もない。今すぐに来てくださるならすぐに手続きの方いたしますので」
で、彼がビザセクションに行くと、昼休みで窓口が全部閉まっているのにごていねいにビザの担当者は待っており、その場でパスポートにスタンプを押したそうな。いつもつっけんどんな対応しかしないかかりからは考えられなかったそうな。
ここで質問。いったいアイルランドと日本のどっちがコネ社会なんでしょうね。
ちなみに、この大使級の人間がどんなことをしたかは全く分かりません。というのも彼いわく
「こういうふうに助けてもらった時は、根掘り葉掘り詮索しないでお礼だけ言うのがアイルランドの美徳なんだよ」
だそうです。ゆえに、真相は闇の中。
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