なべて世はこともなし
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2003年02月20日(木) 医者はいずこ?たかがホームドクターすら見つからない超越先進国アイルランド(1)

私が未だダイエット中だった頃…つまりかれこれ数週間前の話になりますが、ある日私は自分の足に異変が起こっていることに気がついた。


湿疹?


思い起こせば、私が大学生だった頃、やはりダイエット中に手に湿疹ができてなかなか治らなかった経験がある。痛くもかゆくもない湿疹ながらその時のことも思い出して医者にかかることにした。


私の勤める会社、VHIという任意の健康保険に入っている。これ、ほとんど医者にかからない私にはほぼ無用の長物。乱暴に言ってしまえば入院でもしない限り使うことはない(厳密に言うとちょっと違うけどこの際そういうことにしときます)。


ところが去年の暮れになって、会社が「自分で保険料を足せば、外来でも保険が効くようにしてあげるよ」というので、私は月に10ユーロほど余計に出してこの保険に入ることにした。


これに入っていると、GP(自分のかかりつけの医者、ホームドクター)にかかった時も1回につき25ユーロ返金してくれるらしい。で、これに入ったので、GPにも気軽に行こうかという気になったわけ。さもなきゃ死にかけてもない限り医者にかかろうなんて思いません。アイリッシュの医者にかかるのとかからないのはどちらか安全かというのは議論の余地がありますが。


が、まず最初の問題発生。


私にはGPがいない。


アイルランドに来てはや5年。5年も経つのに、GPにかかったのはたった1度きり。その時は、前の会社が紹介してくれたGPに行ったのだが、このGP、うちから無意味に遠い。


まあこれから何が起こるか分からないし、うちの近所のGPを知っていてもそんはないなあと思い、まずはGolden Pages(日本で言えば「イエローページ」アイルランドは同じ色のくせして「金」を名乗る図々しさ)で、うちの近所のGPを探してみた。これがけっこうある。


で、会社の帰り、つまり午後4時過ぎにうちから2番目に近いGPへ。(なぜ一番近いところに行かなかったかは後程説明します)。


N1(国道1号線)ぞいにあるGP。外から見ると普通の家ですが、"Surgery"と書かれた看板がさりげなくここが医者であることを示しています。


中に入るとけっこう多くの人が待ってます。入口からちょうど死角になるところに受付発見(そんなとこに受付を置くアイリッシュはある意味バカすごいですが)。


が、受付のおばさん、というかもはやおばあさんと呼んだ方がいいかもしれない女性、私を見るとあたかも私がストッキングを頭にかぶった強盗かのように脅える。


…俺ってそんなに恐い顔してたっけ?


確かに私は客観的に見てもハンサムとはいえません。だけど、そんなに脅えられるほどの怖い顔はしていないと自分では思っているのですが。


で、私が近寄るのを脅えた表情で見つめるおばあちゃん。ああ、前にもこんなことがどこかであったなあ。このダブリンですら、ここ10年の国際化の波に取り残された人がいるんだなあ…などと思いつつ、話しかける。するとおばあちゃん、私が英語を話すことに少し安心した様子ながら、目は親に「知らないおじちゃんについて行っちゃいけませんよ」と仕込まれた子供。完全に疑ってます。


おばあちゃん:「今日はXX先生しかいないのよ。XX先生は、予約じゃないとだめね。明日なら、予約なしでもOO先生に書かれるけど…」


何ともいえない国です。アイルランド。たかが風邪を引いたくらいでも予約をしないと医者にも看てもらえない国です。まだ痛くもかゆくもない湿疹だったからいいようなものの、高熱で死にそうなほうほうの体でここにやってきてそんなことを言われたら私はまずそこで力尽きます。


「じゃあ、いい。気にしないで」といい残し、私はうちから3番目に近いGPへ。そこには


「受付時間。午前9時から10時。予約はこの時間のみ受け付けます。それ以外の時間は予約のある方のみ受け付けます」


…この国では医者にもかかれないのか?


参考までに救急車も有料です。一度呼ぶと多分推定200ユーロは取られます。しかも救急患者を受けつける病院はいつも混んでおり、この前も「駐車場で手当てを受けた!」とかいう信じられないことをラジオで言ってました。…念のために申し上げますが、その病院は内戦の続くどこかの国の野戦病院じゃあありませんよ。小国ながらもEUの一員、アイルランドの話です。


で、この後、私はうちからいちばん近いGPへ向かうのですが、ここから先は後半に続く。



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