なべて世はこともなし
日記アーカイブ(インデックス)へ|前日の日記はこちら|翌日の日記はこちら
|アイルランド真実紀行へ
2003年02月21日(金) |
医者はいずこ?たかがホームドクターすら見つからない超越先進国アイルランド(2=完) |
前日の日記の続きです。前日の日記をお読みでない方はまずそちらから。
うちから徒歩2分のところにある最寄りのGP。ここもまた例外なく目立たない。毎朝目の前を通っていたが、そこがGPだとはまったく知らなかった。確かに私に観察力がないというのも立派な理由の一つだが、それ以上に本当に目立たないのだ。玄関先に確かにA4の紙サイズの看板で、「Fairview Family Practice」(仮名)と書いてあるが、これがまったく目立たない。外から見る限りではとなりの家とまったく変わらない。脱線しますが、Family Practiceと初めて聞いた時に「家族計画」と訳した私はやはり変態バカですかね。
で、ここを発見したのが数日前。で、まず、ここを通り掛かりに観察したのだが、そこのドアには看板より大きな紙に
STRICTLY BY APPOINTMENT ONLY
と書いてあるのだ。「予約のみ受付」これを見たので、私はうちから2番目・3番目に近いGPにまず行ってみた訳。結果は散々だったことは昨日の日記の通り。まあ私は
「アイルランドは予約をしないと医者にもかかれないアホな国。もういい。おとなしく予約しよう」
と思い、とりあえず予約をするべくその「STRICTLY BY APPOINTMENT ONLY」と書かれた(意訳)「一見さんお断り」のドアを叩いたわけ。
ドアを叩くと中から受付担当と思しき中年の男性が出てきた。中も、この地区のほかの家の造りとまったく同じ。1階に台所とレセプションルームにリビングルーム。2階には推定3部屋のベッドルーム。で、どうやら台所が待合室。レセプションルームが受付、リビングルームが診察室に当てられている模様。なんかどっかで見た家だなあと思ったがその理由はすぐに気がついた。私が語学留学でお世話になった最初のホストファミリーの家とまったく同じ作りだわ。ここ。
私が受付の男性に「予約したいんですが」と言うと、まず私の名前等を聞いてくる。で、電源の入ったコンピュータがあるのでそこで予約の時間を管理しているかと思いきや、コンピュータの横にある大きな、そして黄色く変色したノートをめくりひとこと。
受付:「ちょっと待ってて。診察できる時間がありそうだから」
…何のために「STRICTLY BY APPOINTMENT ONLY」と書いてあるんだ?
そう思ってみると、待合室には5人ばかしの人が待っている。「STRICTLY BY APPOINTMENT ONLY」なのに5人ばかしの人が入れ替わり立ち代わり待っているのはおかしいような。
…何のために「STRICTLY BY APPOINTMENT ONLY」と書いてあるんだ?
待つこと1時間30分。ちょうど読みかけの本が最終章のどんでん返しのところに来ており、本に完全に夢中だった私は待ち時間はまったく気にならなかったが、長い待ち時間なことは疑う余地がない。
で、私が中に入るとそこには、おっと、ちょっと意外、けっこう若い(推定30代前半)と思われる女医さんが。こう「医者は男性。受付は女性」というカビが生えた男尊女卑の発想を根底から崩してくれる素晴らしいGPだわ。ここ。
医者:「で、どうしました?」 私:「はあ、足に湿疹と思しきものができまして」 医者:「見せて」
私が患部を見せるとセンセイはひとこと
医者:「あなたプールに行ってるでしょ?」
おお、なんと。うちの近所のGPは実は名医?いきなりにして私の病気の原因をつきとめたぞ。アイリッシュの医者の皆さん、疑って悪かった。私は今後あんたらの悪口は言いません。
私:「はい。それが原因?」 医者:「そうね。これ、プールで良く伝染する感染症なのよ」
がっくーん。健康になるため(ダイエットの目標を達成するため)向かったプール。そこで確かにダイエットの目標は達成したものの、ついでに病気までもらってきたわけね。…この瞬間に、ジムに行く気が90%なくなりました。90%になったんじゃありません。90%減ったんです。誤解なきよう。
医者:「処方箋書くから。その薬を患部に塗って、4週間経って直んなかったらまた来なさい。以上」
所要3分。1時間30分待って所要3分というのは、オープンしたてのディズニーランド(=つまり私が小学生の頃の相当昔の話)でダンボののりもの(ただ地上10メートルのあたりをぐるぐるまわるだけ。ダンボでなければ別にどこの遊園地にもある)を待った時とほぼ同じ効率の悪さだぞ。ちなみに費用は40ユーロ。1分当たり13ユーロ。悪徳弁護士もびっくりのレートだな。
時刻は6時30分。近所の「Late Night Pharmacy」(深夜営業の薬局)はこの時点にすでに閉まっており。ええ、もう「どこが深夜営業やねん」などと突っ込む気力は私には残ってません。おとなしく翌日、薬局へ。
で、町中の某薬局に行くと、カウンターの薬剤師と思われる女性はカウンターの奥の棚をごそごそと引っかきまわし
薬剤師:「はい。これね」
と渡されたチューブに入ったクリーム。軟膏ともいいますが。あ、ちなみに、私がかかったのは決して水虫ではありません。念のため。
私:「じゃあこの薬がまたいる時はまた医者から処方箋をもらわなきゃいけないわけね」 薬剤師:「いや、これは処方箋無しで買える薬だから処方箋なしでもいつでも出せる薬よ」
…ああ、一瞬でも「名医」とか褒め称えた私がアホタレだった。私の言いたいことはただ一つ
「金返せ!」
それから一月後、あまり症状が改善したとも思えあい私。近所の薬局の薬剤師さんに相談。
薬剤師:「ああ、その薬だったら、こっちの方が安くて量も入っているわよ」 私:「あまり効いてないような気がするんだけど…」 薬剤師:「それなら、こっちのこの薬と併せて使うと効果てきめんよ」
…かくして、近所の薬剤師さんに相談したところ、10分近く話し込んだのに嫌な顔一つせず、むろん40ユーロ取られなかったばかりか、同じ効用でより安い薬を紹介してくれ、しかも親身に助言をしてくれた。
もう二度と行かん。アイルランドのGP。
…ちゅうわけで、VHIの保険、解約しようか真剣に考えています。
日記才人の投票ボタンです(ご協力感謝)
|