なべて世はこともなし
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2002年09月29日(日) ノーベル賞ゲット確実?「アイルランドのパブの発展と低所得の因果関係における一考察」

ここ数日体調がよろしくない。27年間の人生経験を元に言わせてもらうとこれは風邪というやつ。なんとなく頭が重くのどが渇きっぱなし。のどが渇くからビールを飲み、ビールを飲むから頭はますます重くなり…という悪循環の元この週末を過ごしております。で、困ったことには今夜うちのフランス人住人のお別れパーティーが街であるとやらで、私強制参加の模様。


い、行きたくない…。


このフランス人、昨夜も朝帰りで今日の昼頃ピンクのキティちゃんのシルクのパジャマという別の意味での悩殺姿で階下の台所に降りてきて(注:繰り返しますが彼女はフランス人です)


「もう絶対飲まない」


と言っていたはずなのだがすでに回復した模様。…若いって素晴らしいねえ(はあぁ)。


だいたい彼女と私の性格は正反対といって良いくらいに違う。…少なくともパブを選ぶセンスについては。私にとってパブとは「飲みながら話をするところ」。つまり、音楽はかかっていても良いが、話に支障がないほどでなければいけない。


とにかく、なぜかは知らんがダブリンの街のパブはうるさい。いい加減にしてくれというくらいにうるさい。耳元で怒鳴り合わねば聞こえないほどのうるさい音楽がかかっている。いや、それで踊るというならまあいい。ところが客は踊るスペースがないほど詰め込まれている。東京に数年住んでいた私に言わせりゃすかすかの朝のDART(近郊列車)を「げろ混み」と文句を言うくせに、人波を掻き分けねばカウンターに近づけないげろ込みのパブをこっちの人間は好むのだから私にはまさに理解しがたい状況。


…はい。もうお分かりですね。本日の集合場所はザンジバーとかいう町の中にあるパブです。私、このパブうるさいことをよく知っているので数年前に一二度つきあいで行ったっきり近寄ってもいません。地下はナイトクラブになっているそうですが行ったことはございません。出かける前にパブの名前を暴露しましたので今晩こちらへお出かけの方は一声お声をお掛けください。


い、行きたくないよー。


今更私が言うまでのないことですがアイルランドはパブ文化の国です。「歴史は夜作られる」ならぬ「歴史はパブで作られる」と言ってもいいような国。でも、これって実はアイルランドが貧乏な国であったことと表裏一体のような気がしてならない。


「風が吹けば桶屋が儲かる」の論理と言われそうですが、アイルランドが貧乏な国であったこととパブの発展には因果関係がある。私はこの論を証明してそのうちノーベル賞を頂きます。概論をここで説明しますのでまあ聞いてくださいよ。


なぜアイルランド人は人(友人)に会うのにパブへ行くのか?


なぜだか考えたことはありますか?「そこにパブがあるから」では答えになってませんよ。それでは「ニワトリが先かタマゴが先か」の論になってしまいます。「そこに酒があるから」もダメ。酒なら買って家に持ってかえればよろしい。


私の答えは「家が狭いから」家が狭いから人を招待する場所がない(なかった)からだと思うのです。


未だにダブリンの一部の地区(ちゅうか多くの地区)では夜になると、行き場のない子供たちが夜の10時11時に住宅地の公園などに何をしているんだか知りませんが集まってます。これって、家が狭いからだと思う。4人も5人も兄弟がいてベッドが2つしかなかった…とかいうのは良く聞く話。家の中に居場所がないから外へ行く。で、大人になると(あるいは歴史的にはコドモでも)パブという場所で時間を潰すようになった。これがアイルランドのパブの起こりのような気がしてならないのです。


だって考えてみれば、自分の家にスペースがあればそこに友人を招待する方が安上がりだし、自分のやりたいことができる。パーティーの中で見つけたお気に入りの異性のお持ち帰りも階上に行けばよろしい。なんと楽な方法。わざわざパブからタクシーを使って家に帰ったり飲酒運転をする必要もない。


それができないのはまさにスペースの問題だと思う。ね、「貧乏で家が小さかったからパブが発展した」という仮説、そりゃ、比較文化論とかをまじめに勉強した方は今ごろコンピュータの前で腹を抱えて笑っているだろうけど、そうでもなければ肯けない話でもないでしょ?


実はこのアイディアを持ったのはずいぶん昔の話でして。その昔私がスウェーデンに足繁く通っていたころ。スウェーデンという国、パブの数が本当に少ない。あっても酒は新宿のアイリッシュパブ並みの「ぼったくり」に近い値段をとる。で、スウェーデンの学生はどうするかというと、自宅にみんなを招待するのです。


スウェーデンでは酒は官売。システムというお役所に行って銀行のように順番待ちのチケットを取り窓口で買う。しかも25歳以下の人間は身分証明署の提示が法律で義務づけられている。…話はそれたけど、そのシステムで買う方がパブに行くよりはるかに安い。と言うわけで飲むのは自宅で、パーティーは自宅で…というのがスウェーデン文化。


で、これがスウェーデンだけのことかと思いきや、ドイツもそれに近い。田舎の一軒家にはほぼ例外なく地下室があり、その地下室にはビールがいつもダースで保存されている。ホームバーを持っている家も多い(都会の事情は私は知りませんので異論・抗議のある方は掲示板までどうぞ)。


…うーん、今日の日記、かなりツッコミ所満載だなあ。異論反論オブジェクション歓迎ですのでどうぞ掲示板まで。ただし、あまり喧嘩腰にならないでね。また、オフ会参加のご希望の方は↓を参照の上メールをくださいませ。「男性でも参加をしてもいいのでしょうか」というお尋ねをいただきましたが、もちろんです(掲示板に「女性歓迎」としつこく書きすぎたかな)。男性女性、老若男女、みんな歓迎です。


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