なべて世はこともなし
日記アーカイブ(インデックス)へ|前日の日記はこちら|翌日の日記はこちら
|アイルランド真実紀行へ
2002年06月23日(日) |
アイルランドへ車を輸入するのは損か得か?(その3) |
このシリーズも3回目に突入しまして、私、飽きてきました(←こらこら)。ましてや読者の皆様は…と思うのですが、まあ、明日あたり中休みするかもしれないので今日のところはもうしばらくおつきあいくださいませ。たったひとりくらいこのネタを楽しみにしてくださっている方がいることを願っております。
(3)白昼堂々のぼったくり。アイルランドの自動車保険。
車の輸出、私がしたことは、車の抹消謄本を業者さんに送っただけ。業者さんが全部やってくれたようです。
で、車が届くまで最低6週間かかるということで、私はしばらく車のことを忘れて毎日3時間かけてバスで通勤をしておりました。
車を輸出してかれこれ1ヶ月経とうかという頃。日本の業者さんからメールが来まして、アイルランドでの輸入の作業を代行してくれる業者さんを紹介してくれました。これまたパキスタン人。で、彼にいくらかの代行料を払ってこちらも丸投げ。自分でやれ!というお怒りの声も聞こえてきそうですが、毎日8時間勤務して、3時間通勤した日にゃ、そんなことをやってる暇などなくなるわけで。
私の性格、昔と比べてかなり変わりました。高校生のころは、ウォークマン一つ買うのに秋葉原を一日かけてまわるような粘着な性格をしていましたが、今ではこのように全部丸投げ。いいのか悪いのかはひとことでは判断できないですが。
で、その業者さんと会い、費用等で同意。私は一方で保険を探さねばならないことになりました。
保険。言うまでもなく、自動車保険です。アイルランドでは日本のように「自賠責」と「任意」のような分類はなく、日本の感覚でいえば、(矛盾した表現ですが)「強制」で「任意保険」に入るという感じでしょうか。アイルランドは何やら物騒にも事故が多いらしく、保険も他のヨーロッパ各国に比べて割高らしいです。
実はこの保険探しがこの車の輸入探しの中でいちばん難儀な仕事でした。まあ、唯一人に任せず自分でやった仕事だからかもしれませんが。
あちこちの保険会社に掛け金を聞いてまわりました。が、まともに取り合ってくれるところはほとんどありません。というのも、アイルランドで、「過去に保険に入ったことがなく」かつ、「年齢が若い」(若いんだってば!)というのは保険屋に一番嫌われるパターンなのです。その上に「車が古い」という三重苦。
アイルランドには日本的には考えられない種類の保険があります。"Provisional Licence"これ、要するに、「仮免許」この仮免許、学科試験(ペーパー試験)に受かればすぐにもらえます。で、これをもらうと、誰かが横に乗っていれば何と本免許なしで公道を走れるのです。もしだれも教官として乗っていなくて警察に捕まった場合、若干の罰金を払うのみ。つまり、学科試験のみで公道を運転できるという…恐怖のシステム。語学留学予定の皆様、道路横断時はくれぐれもご注意を。
こんな走る凶器に公道を走らせるというのは誰がどう考えても無謀です。で、公道を走る以上保険に加入しなければなりません。この"Provisional Licence"のみで走る通称Lドライバー(Learning Driver)に対する保険はまさにぼったくり状態です。
例えば私の同僚に、ダンナと揃って二人ともLドライバーで、夫婦で一年落ちのDaewooの小型車(私ならんなもん絶対買わない)を買ったというカップルがいます。で、車自体は8000ユーロ。で、この保険、夫婦合わせていくらだと思いますか。電話帳に載っている文字通りすべての保険会社に電話をかけ、一番安かったのは何と二人で年間5000ユーロ。何故かその1社のみ格安で、あとは7000ユーロだったとか。
うちのマネージャーは性格が悪いので
「そんだけ保険料を払うなら毎日会社までタクシーで来ればいいのに」
とまで言ってましたが、これは核心をついてます。毎月400ユーロも保険に消えてゆき、さらにほぼ同額の車のローンにその倍額以上の家賃…。どうやって生活をしていくのか不思議でなりませんが。
閑話休題。とにかく、アイルランドの保険がいかに高いかお分かりいただけたかと思います。で、私は大きな壁にぶつかりました。
日本で自動車保険に加入していたことがない。
学生時代、東京に住み(八王子も行政区分上東京です)、原チャは持っていたものの車などという贅沢なものとはまったく無縁な生活をしていた私。車の保険になんか入っているわけがありません。これが問題になりました。「過去に保険に入っていた実績がない」と言うことは保険屋にしてみればリスクが読めないということです。と言うことは当然べらぼうに高い保険料が請求されるわけで。
そこで私は考えました。保険屋から「無事故証明」がもらえないなら警察から「無違反証明」をもらってはどうかと。…とか書くと、いかにも自分が頭が良くていい発想をしていると言わんばかりですが、実はこのネタ、某日本大使間の職員の方から頂きました。その大使間職員氏いわく、「無違反証明」は「無事故証明」にはならないとのこと。そりゃそうだ。例えば駐車場で隣の車にぶつけて保険を請求しても、免許証には傷はつかないが、保険は請求できる。が、まあ、いいかげんなアイリッシュのこと。試してみる価値はあるかと。
というわけで、某東京都公安委員会などに問い合わせをしましたが、結果はNG。というのも、私は何を血迷ったか、99年にアイルランドの免許証に切り替えをしており、日本の免許証ははるか昔に失効してしまっているのです。免許証が失効している人に無違反証明は出せないとのこと。まあ、よく考えたら、原チャでつかまりまくってたから(何故か白バイは原チャを目の敵にしますからね)どっちに転んでも無理だったでしょうが。もっとよく考えたら原チャで車にダイブしたこともあったやね。
ともあれ、一般論としてアイルランドの保険は次のような法則が成り立ちます。
古い車よりも新しい車の方が保険料が安い。 大きい車よりも小さい車の方が保険料が安い。 若い人よりも年配の人の方が保険料が安い。
つまり、アイルランドでは、中年で新車の日産のマーチに乗っている人がいちばん保険料が安いということになります。逆に、一番保険料が高いのは、Lドライバーで、古いトヨタのランドクルーザーに乗っている若い兄ちゃん…ということになります。はい。
もし日本にお住まいでアイルランド車に乗ろうという方、以上のような理由で日本からの英訳された無事故証明をお忘れなく。これがあるないで保険料は極端に変わります。
さて、私ですが、あまり詳しくは書けませんが、アイルランド人のいい加減さを利用して、かなりいい条件で保険に加入できました。それでも年間1600ユーロ。
次回は、いよいよ、車がダブリンにやってくるお話です。
日記才人の投票ボタンです
|