なべて世はこともなし
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2002年03月18日(月) ♪思い出河へと身を投げて心はどこへも流れない

今週着る分のワイシャツのアイロンがけがたった今終わりました。今日はSt Patircks dayの振替休日でお休みだったので、今週は4枚。日本からもってきた「のりづけキーピング」の減りがやたらと早くなりました。どうしてこう言う便利なものをアイルランドでは売ってないんだろ?


で、今最近のマイブームのビューリーズのアールグレイティを飲みながら、こうして日記の更新をしている訳です。ちょっと前まではおフランス他大陸でしか売っていない「バニラティ」がブームだったのですが、ま、マイブームの移り変わりは早いので。ははは。


まあ、ここまで読まれてカンの良い方はもうお分かりですね。そう、別に取りたてて書くことはないんですよ。ただ、ここ数日日記の更新を休み気味だったので、ちゃんと今日の分を更新しておこうかと思っただけでして…(たぶん半分の人はこの瞬間に帰ってしまったな。ま、いいか)


現在聞いているCDはLeonard CohenのGreatest Hits。たぶんほとんどの人はご存じないだろうこのカナダ人のシンガー。私が愛するそして彼の代表曲の一つSo Long Marianneは1968年発表。で、10年ぶりくらいに最新のアルバム(Ten New Songs=まんまのタイトル)がつい最近発表された。ご賢察の通り、30年以上も歌っているわけだから結構なトシになっている。


で、彼の存在はアイルランドでも有名ではない。「ああ、名前くらいは知ってるけど…」という人がほとんど。それくらいマイナーな人をなぜ私が知っているのか。そこには実は懐かしい思い出話が隠されているのです(…半分の人が帰ってしまったのを見越して、実は秘蔵の思い出ネタを披露しようと思っています。よかったね。帰らなくて)


So Long Marianneと並んで数えられる彼の代表曲がSuzanne。今聞いているアルバムの最初の曲。


Suzanne takes you down
To her place near the river
You can hear the boats go by
You can spend the night beside her.
And you know that she’s half crazy
But that’s why you want to be there
And she feeds you tea and oranges
That come al the way from China.



これ以上書くとチョサッケン協会あたりから怒られそうな気がするので書かないけど、興味のある方はこちらからどうぞ。


なんとなく歌詞から想像がつくかもしれませんが、Leonard Cohenは本当に暗い歌詞を書きます。メロディも暗い曲が多いです。うーん、最も暗いさだまさしか中島みゆきの歌…と言えば近い…とも言えなくないかな。実は私、こういう暗い歌(そして歌詞に深い意味のある歌)が大好きでして。さだまさしや中島みゆきのラジオ番組を聞くと、彼らの歌からは想像できないくらい彼らが明るいことに驚かれた方も多いはず。私にもそういう二面性があるのかなあ…と自己分析したりする。


閑話休題。話は私の思い出話に戻る。話は1996年。つまり私が語学留学をしていた頃に戻る。当時私には好きな人がいた。彼女は当時17歳(「犯罪やんけ」とかいういらん突っ込みをする人はさようなら)。私は21歳(わ、若っ)。彼女はHeuston駅近くの川沿いのアパートにひとり暮らしてまして。そう。この曲、この当時のことを思い出させるのです。


実は彼女こそが私にLeonard Cohenを教えてくれた人でして。彼女の家に行くたびに、彼女はマランツのハイファイでLeonard CohenのCDをかけてくれた。で、その中でもSuzanneは当時のその状況そのままを再現したような曲なのです。


彼女には当時遠距離恋愛でつきあっている彼がいました。というわけで、私が「彼女の彼」になることは結局ありませんでした。私の中に当時、嫉妬があったことは否定できません。遠く離れたところに彼がいるおかげで、すぐとなりにいる私のことを見ることが出来ない、それでいて、私が毎日のように通うことを拒まない矛盾。


彼女の家にほぼ毎日通ったことは私の中で未だに強烈な思い出として残っています。Leonard Cohenの曲、とりわけSuzanneを聞くたびにそんな思い出が強烈に蘇ってきます。Liver Liffeyと川向こうのギネスの工場。彼女のさっぱりとしたワインレッドのカーペットの敷かれたリビングルーム。紺のソファーとその脇の暖炉。目を閉じるとそのひとつひとつが未だに瞼に浮かんできます。


ちなみに。私の今の彼女MausiはLeonard Cohenを知ってはいるもののまったく好きではありません。そう、だからこそ、Leonard Cohenを聞いても「思い出は思い出」と割り切った感情で聞くことが出来るのです。どんなに彼女のことを好きだったとしても、今となってはただの思い出以上の何者でもありません。ちょっとアールグレイティの後に飲みはじめたウォッカが効いてきたかな…と思いつつ、今日の日記は終わるのでした。




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