なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2002年03月15日(金) |
バスの車内での壮絶な椅子取りゲーム。敗者の取った反則技とは? |
前日の日記に続いて、「またか」とお怒りの方もいらっしゃるでしょうが、今日の日記も再びバスネタです。考えてみると、一日3時間、つまり一日の1/8をバスの中で過ごしているのですから、こうなるのも当たり前かと。寝てる時間を除けばおよそ一日の1/5をバスの中で過ごしているのです。ああ、何たる無駄。特に、この国にきちんと地下鉄なんぞがあれば、通勤時間は大方この半分になろうかというのに…。
私の通勤は、まず自宅近くのバス停からダブリンバスをつかまえるところから始まります。このバス、乗れればばんざいというバスで、朝の通勤時間のはしりの時間帯なのでいつも混んでます。乗れても立ち席。乗れなかったら、そこから500メートルくらいさらに離れた別のバス停まで走る羽目になります。
このバスでシティセンターまで着いたら、今度は会社がチャーターしたバスにそこから乗り込んで会社までの長い旅となります。で、今日の話はこの会社がチャーターしたバスの話。ここにもアイルランド人のいい加減さがあますことなく出てきています。
最初の1週間は本当に快適でした。会社は社員のことを慮ってかいつも最新の中尺ハイデッカー車(ちょっと全長の短い観光バス…といえば分かってもらえるかな)を投入。中は暖房が効き、そして、いつもビデオが流れているという素晴らしさ。こんなシアワセな通勤は長くは続きませんでした。
今週になって、まずは火曜日、いつもは定刻の10分前に現れるバスが現れません。定刻になっても来ません。10分経過。20分経過。私もバスがいつ来るかわからないのでその排気ガス溢れる表通りから離れることが出来ません。30分経過。そしてついに40分経過したところでようやくバスが到着。
運転手:「いやー、すまないねえ。他のバスが壊れちゃってねえ。このバスで子供たちの送迎をしなくてはならなくてねえ。やはり、どうしても学校に行く子供たちに優先権があるわけで…いや、悪かったねえ。それにしてももう一台の壊れたバス、運が良かったのは、道の真ん中で止まんなかったことかな。だってさあ…(以下略)」
というわけでくそ寒い中1時間近く(私は定刻の15分前にバス停に来ていた)待たされた私。雨が降ってたらこの運転手を殴ってたな。が、これはまだ序の口でして。
翌日。行きのバスは定刻通りに現れて、定刻通りに会社に到着。そこで昨日と同じ運転手の不吉な一言。
運転手:「今日の帰りのバスは車両運用の関係でこのバス(中尺ハイデッカー)ではなく、ミニバス2台となります」
帰り。またこの日もホントに寒かった。で、5時30分に出るはずのバスを捕まえるために5時20分にバス停に来てみると、バス来てない。5時30分。来ない。バス停の前にはバスを待つ人が30人以上。
午後6時。定刻より30分経過したところで定員20名のミニバスが到着。2台現れるはずのバスは1台だけ。
ま、みんなが我先争ってバスに乗ったことは言うまでもないかと。
で、壮絶な椅子取りゲームの結果、いつも動作がゆっくりのラテン系の女の子数名、それから、「僕は例えタイタニックの救助ボートでもでも席を譲るジェントルマンだけんね」という男が数名取り残される(私はしっかり座っている)。がその連中(推定15人)もまだ諦めない。なんと運転手の制止を振り切ってそのうちの約10名がバスに乗り込む(残りの5人は物理的にバスに乗れなかった)。
運転手:「ダメ!立席乗車は認めてない!」 客:「バス2台来るはずだったろう?もう一台のバスはどこだ?!」 運転手:「あと5分か10分もすれば来るから大丈夫」
この日記の読者さんなら「アイリッシュのいう大丈夫ほど大丈夫でないものはない」という法則をご存知のはず(←これを知っただけでもこの日記を読んだ価値があろうというもの)。まあ、アイルランドに住んでいればこの法則は自然に体に染み込むので、立っている女の子のひとりが、
客:「いつ来るのよ!はっきりさせてよ!」 運転手:「だれか、ケータイ貸して!」
…おまえ、ケータイだか無線ぐらい持っとけよ。
運転手は客から借りたケータイとともに消える。数分後戻ってくる。
運転手:「道が混んでてねえ。たぶんあと10分もすれば来るよ」
…何の答えにもなっていない。道が混んでたからお前も遅れたんだろ?このダブリンという発展途上国の首都では「道が混んでいた」がいかなる場合でも立派な言い訳になる。
結局立ち客は頑としてバスを降りず、次のバスが来るまでのおよそ20分間、私たちはぼーっと待つ羽目に。そう、椅子取りゲームの勝者は、敗者によって人質に取られたのでした。
それが昨日の話。そして今朝。
いつものバスがいつもの時間にきたものの、運転手がいつもと違う。私は一番前に乗ったのだが、気がつくと、まったくとんでもない方向に向かっている。
私:「ちょっとちょっとちょっと、いつも手前の交差点から左に曲がって旧道でお客を拾っていくんだよ」 運転手:「え、まっすぐって聞いてきたよ」 私:「だからー、XXの前で何人かいつも待っているってば」 運転手:「Shit!」
…というわけでバスはUターン。その後もバスの運転手はまったく道を知らず。実はこれ、通算3回目。どうして道を知らない人間が運転手になれるんだよ?
以上、アイルランドがいかにいい加減な国かを現す日常の出来事でした。
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