なべて世はこともなし
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2002年02月18日(月) どこかの国で聞いたようなお話。やはりダブリンは悪い方に変わってゆく…

今朝、バスを待っていた時のこと。バス停にはすでに7-8人の人が並んでいた。そこにやってきたのは白い杖をついた30くらいの長髪の男性。目が不自由であることは明らか。彼がバス停に着くなりタイミング良くバスが到着した。


バスの運転手は多分気を遣ってだろう、目の不自由な男性の真横にバスを止める。が、私たちには全く気にならない段差も彼にとっては難関で、乗るのに少してこずっている。私は列の後ろの方にいたので何もできなかったが、列の前の方にいる人もしかり。誰も手を貸そうとしない。ようやく彼はバスに乗ったものの、朝のラッシュ時空席などはなく、彼は立っている。誰も、優先席に座っている人ですら彼に席を譲ろうとしない。


誰だ?アイルランド人が素朴で優しいとか言ったのは?ことダブリンにおいては、そんなアイルランド人像は、とうの昔に消え去り、他の都市と何も変わらない殺伐とした雰囲気に包まれている。少なくとも、そういう悪い方向に向かっていることは誰にも否定できないと思う。


数日前には帰宅途中にバスに乗っていると、私が過去に体験したのとほぼ同じ場所(ダブリンバス事件簿その3を参照)で再び投石事件。幸い投げられた石はガラスではなくボディに当たったため、誰が怪我をするわけでもなかったが…。運転手は「またか」という風情。


これは聞いた話ながら、知り合いがバスに乗っていると、かなりよぼよぼした老婆がバスに乗ってきたそうな。が、運転手は老婆が席に腰掛けるのを確認もせずにいつも通り乱暴にバスを発車。老婆はしたたかつまずいてしまった。が、バスの運転手は知らん顔。


目の不自由な人に席を譲らない。中にいる人が怪我をすることなんて考えずにバスに石を投げる、年寄りはひところびで寝たきりになるなんて考えもせずに、乱暴にバスを運転する運転手。…どこかの国でも聞いたような話ですよね。では自分がどんなに上人なのかと聞かれれば答えに詰まるだけなのですが、少なくとも偽善者と呼ばれようとも目の不自由な人には席を譲りたい、人を不用意に傷付けない、お年寄りを大切にする…それくらいの人としての最低限のことだけは守りたいと思う。


ダブリンは変わったと思います。5年前とは比較にならないくらい。何が人を変えたのか。バブルと言う名の金か。何とも寂しい限りです。以上、オチも何もないですが、少し世を儚んでいるSnigelの愚痴でした。




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