なべて世はこともなし
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2002年02月15日(金) マネジャーは言いました。「行かないで」---あの手この手の慰留作戦

今朝もいつも通り8時に出勤。うちの会社、「大体8時から10時の間に来て8時間働けばいい」という(厳密には違うんだけどさ、実質はそうなっている)スーパーフレキシブル出勤制。で、早く帰りたい私は朝8時という早い時間に会社にやってくる。当然この頃は間人影もまばら。


で、私の朝はまず、メールおよび掲示板のカキコ確認、さらに、朝日新聞のサイトをじっくり読むところから始まる(やはり窓際)。掲示板にお返事を書き、朝日新聞を読んでいると、背後に人影。うげっ、キツネ目のマネージャーだ。


このマネージャーさん、私の身近な人からの評価は低いが、私に言わせると、まあフツーのやるべきことを淡々とこなしているマネージャー。私とも割と仲が良い。私も古株の特権で、何か問題が起こると、途中のスーパーバイザーとかではなく、飛び石で彼女のところに相談に行き、解決したことも多い。で、そのドイツ人女性のマネージャー氏、開口一番


マネ:「一体全体どういうことなのよ?!」
私:「え?パーティーの話ですか?(←とぼけているのはご想像の通り)」
マネ:「違うわよ!あなた辞めるの?」
私:「はあ…」
マネ:「何が不満なの?」



私もオトナですから正直に「問題だらけなんだよ。ボケ!」とは言わず、淡々と自分のおかれている現状、そして自分の考えていることを話しました。すると彼女の口から信じられない言葉が。


マネ:「辞めないで!主任さんにしてあげるから!」


あーのーなー、主任さんって、そのポストに今空きはないでしょうが。その後も、昇給だなんだかんだ、あの手この手で私を説得にかかります。私の頭の中では、中学校の時に習った「覆水盆に帰らず」の情景と、この数年間の想い出がくるくると回る。まあ、主任さんでも昇給でもなんでもいいけど、


なんでもっと早くやってくれないのよ


その他にも、某所に栄転とかいう話まで出てきましたが、とりあえず私は「転職号」という列車の切符を買って、今プラットフォームからその列車に乗ろうとしているのです。ここで、自分の彼女が「行かないで」と言ったからって、「じゃあ行かないよ」とは行かないわけです。こうして彼女の話を聞きながら、頭の中では伊瀬正三(かぐや姫=この前から年齢不詳のことばかり言ってるなあ)の「なごり雪」「覆水盆に帰らず」に続いてくるくる回り出しました。


心に迷いが生じなかったとは言いません。正直なところ、ちょっとほだされもしました。しかし、繰り返しますが、もう遅いのです。30分以上説得されても。まあ、あのまま話を聞いていたら、それこそマネージャーのイスの話まで出てきそうな勢いでしたが(それが出てきたら私も考え直したかも)。ま、それはないでしょ。


きのうの掲示板のカキコ


「日記のキーワードは遠距離恋愛と仕事の両立」


…そうだったのか。


私は別に何も企まずに日記を書いてます。頭の中で最初の数行が浮かんだらさっと書き始めます。オチは考えてません。思いつくままに楽しみながら書いてます。ともあれ、「遠距離恋愛と仕事の両立」というのは日記のキーワードと言うよりむしろ、現在の人生のテーマといても過言じゃないかと…。


今回の転職、かなり悩みました。というか、未だに悩んでいます。ここで今転職をするということは、当然ダブリンにあと年単位の期間滞在すると言うことになります。これはとりもなおさず遠距離恋愛という状況が続くと言うことです。この事態はどうしても避けたかったのですが、かといって、今すぐ彼女のところににいけるかと言えば…当然無理です。


行くだけならできますけど、やれ仕事だビザだとなると、「好きだから」という理由だけではとてもとても乗り越えられない難題にぶつかるわけでして。そうなると、「ボクたち愛し合っているから乗り越えていけるよね」なんてくさいどうしようもない考え方は、B級メロドラマの中の話でして。ということは私には選択肢が実はないのです。


で、今回転職を決める上で、自分勝手な言い草で不快に思われる方もいるかも知れませんが、「『私たち』を中心に考えるのではなく、『私』を中心に考えよう」と自分に言い聞かせました。上にも書いた通り、「好きだから」とか言う理由だけで何かことを起こそうとしても結局うまく行かないと思います。


「私たち」の視点ではなく、「私」の視点で考えれば、今回の転職は、自分にとってとてもいい経験になるだろうし、新たなる挑戦だしいいこと尽くしです。そういうふうに考えて、今回転職を決めたわけですが、「私たち」の視点では、正直なところ現状八方ふさがりです。


去年の9.11のテロの写真を編集したクリップを見たことがあるのですが、その中の写真の一枚に、プラカードを持った男の写真がありました。その男が持っていたプラカードに書かれていた文字が私の心の中に鮮烈な印象を残しています。


Hope is alive


私にできることは、この陳腐ながらも重い響きを持ったこの言葉を胸に、今しなければならないことを淡々とやっていくしかないと思っています。




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