なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2002年01月26日(土) |
ついに殺人事件発生。失速するアイルランド経済と加速する人種差別 |
ちょっと今日は珍しく、眉間にしわを寄せて話すような深刻な話です。
今週の月曜日、29歳の中国人男性がダブリン市内で10代の複数の男に頭を金属で殴られるなどの暴行を受け意識不明の重体に。で、集中治療室での治療も空しく金曜日にこの男性亡くなってしまった。で、これがニュースになり、「人種差別が原因での殺人事件の可能性」なんて報じられたものだからさあ大変。中国人学生のグループが今日抗議行動をするということになった。
で、実はこの日記を書くに当たって細かい状況の確認と今日の抗議行動の様子まで調べておきたかったのですが、どうもニュースのサイトに情報が更新されておらず上に書いた話はラジオのニュースで聞いただけなのでちょっと細かい部分があいまいです。もし間違っていたら後日訂正します。
どうもすごくイヤな感じがするのです。このニュース。実はこのネタを書くにあたって、今まであえて避けてきた話をしなければならないのです。
アイルランドの中国人。
私が1996年に語学留学した時にはクラスにもほとんどいなかった中国人。これが急増してきたのはここ数年の話。数万人の中国人がダブリンに滞在しているらしい。
で、一つの事実として、彼らの違法就労の問題が挙げられる。この前も語学学校の校長と話をする機会があったのだが、この語学学校にもたくさんの中国人がビザ目的で入学を申込んで、いざアイルランドに着くと早々ととんずらしてしまうケースがかなりあるということを聞いた。
で、合法で働いているのか違法で働いているのか調べようがないが、市内の店やパブ、レストランからスーパーにいたるまで、ありとあらゆるところで中国人が働いている。合法的に労働ビザを取ることがかなり難しいことを知る人間として、彼らの多くは違法就労なのではないかと思う。あるいは学生ビザを形だけ持っているのか。
ともあれ、彼らに対するアイルランド人の目は冷たい。もともとガイジン慣れしていないところに、大挙して訪れた中国人。言葉が話せずまともにコミュニケーションが取れない、金に対する異常なまでの執着心、横のつながりばかりを重視して自分たちのコミュニティを作り上げようとする国民性、そんな否定的な印象を彼らはアイルランド人に与えていると思われる。「思われる」ではなく、「与えている」と言い切ってもいいと思う。
で、何が問題かというと、悲しいかな、私はアジア人。アイルランド人にとって中国人も日本人も同じ。アイルランド人の冷たい視線を感じることが最近とみに多くなった気がする。私は英語を話せないと決めてかかられることも多いし、悲しい事実だが、私が日本人と分かると態度が変わる人間もいる。
そんなことに中国人も気がついてきたのか、こんな話も聞いた。とある高級レストランで働くアジア人。とにかく異常なまでに金にこだわり文句を言いほかの同僚に嫌われている。彼は自称「日本人」。最初は同僚も彼は日本人だと思っていたが、今では誰もが疑いの目で見ている。まあ、日本人だとウソをつく中国人というのも存在している訳で、こうなると、ますますわれわれ日本人の立場が悪くなる。
で、アイルランドの経済の失速、そして増え続ける中国人。軋轢が増えてきたところに起こった今回の殺人事件。こう考えるとある意味で起こるべくして起こった事件ともいえる。
どんな理由があっても人を殺したり傷付けていいわけはない。が、心のどこかでこの殺人事件が「ついに起こったか」と思ったことは否定できない。
今後もたぶんこの人種差別問題は経済の失速とともに悪くなることはあれどよくなることはないと思う。とりわけ中国人の横のつながりを重視し、アイルランド社会に溶け込まない体質ならなおさらだ。となると、私の頭に金属の凶器が振り下ろされないという保証はどこにもない。
今回の事件が一過性のものにすぎないことを祈っている。
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