なべて世はこともなし
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2001年12月04日(火) アイルランドで初体験。そこで起こった「どえらい悲劇」とは?

昨日の日記の続きです。昨日のをお読みでない方はここからまずは、昨日の日記をお読みくださいませ。


昨日の続きです。


それじゃあ、さっそく始めようというわけで、歯茎に麻酔を打ちます。2本も打ちます。で、打ったところで、


「じゃあ、麻酔が効くまで10分間、待合室で待ってて」


と言うわけで待合室に追い出された私。


待合室にはうら若き女性がひとり。入れ替わりに入っていきます。


ここでアイルランドの歯医者の問題点に気がついた。日本のように患者を4人も5人もいっぺんに相手にしないので、結局効率が悪くなるのだ。考えてみると、日本の歯科は、自分が治療を受けている脇に、数人の別の患者が診療台に横たわって歯科医が来るのを待っている。それをしないアイルランドは予約をして3週間待ち…なんて事態に陥るのだ。


そんなバカなことを考えてると、だんだん麻酔が効いてきて、感覚がなくなってくる。感覚がなくなってくるのみならず、なんだか腫れてきたような錯覚にも陥る。


なんだかやだなー、クリーニングだけで済むと思ってたのに…なんてボーッと15分くらい考えていると、再び


「Snigelさーん、どーぞ」


と呼ばれる。


で、戻って先生にジョークの一つも飛ばそうと思うが、ろれつが回らなくなりつつあることに気がつく。この麻酔、強くないか?


で、例の機械で


キュイーン


と削られる。


幸い、痛くもかゆくもない虫歯だから、神経までドリルが届くはずもなく、削られても全然痛くない。むしろ、麻酔をかけられていることの方が不快な気がする。


で、10分ほどで治療終了。


先生、改めて私の歯の様子を書いたカルテを持ってきて、


「うーん、どこもさして悪くはないんだけど、悪くなる前に全部直しちゃおう。こことこことここと」


う−ん、さすがはヨーロッパ。インフォームドコンセプト(医師が患者が納得するまで説明をすること…だと思う)がちゃんとしてるなんて感激する。


で、先生


「ま、そんな訳だから、受付で次回のアポを作ってね。ご苦労さん」


と言うわけで、受付へ。


受付のおねえさん、


「はいご苦労様。痛くなったら市販の鎮痛剤飲んでもいいですけど、あと4時間は何も食べちゃダメですよ。飲んでもいいけど、感覚がなくなってるから厚いものでやけどしないように…」


などといいつつ、


「治療計画書」


なるものを机の上に出してくる。








「治療計画書」

O テスト

O お掃除

O X線検査 計45ポンド

3 銀歯詰め 135ポンド

2 エナメル詰め 90ポンド

計270ポンド

ディスカウント 45ポンド

小計 225ポンド

注意:治療方法は患者によって異なります。したがって治療費用も患者によって異なります。





ちょっと待て。待ってくれ。


計225ポンド?


ウソでしょう?


三万円?


ウソでしょう?


もうこの瞬間から、頭の中はDaniel O'connellさんのピンナップ写真(20ポンド札とも言う)が乱舞し始めた。むろん、私の方から飛んでいっちゃうのねん。


それにしてもすべての単価が45ポンド(6000円)なのが妙に気になる。銀歯でもエナメルでもクリーニングでも45ポンド。「ぽっきり45ポンド明朗会計」なのかそれとも単なる「どんぶり勘定」なのか。(どんぶり勘定という説に50000リラ)


「あのー、PRSIなんてどうなってます?」


PRSIというのは所得税とは別に給料から天引きされている保険。ちなみに毎月給料から4000円程度天引きされている。


「あなた、アイルランドで働いて何年?」
「3年(も経ってなきけどそれくらいにしとけ)
「5年経たなきゃ保険の対象にはならないわねえ」



それじゃあなんですか?私は毎月4000円、年間にして5万円もの金を、毎週木曜日の郵便局の前のアル中軍団の為に寄付してるんですか?(毎週木曜日は生活保護の支給日。郵便局で支払いがあるため、郵便局の前には異様な行列が出来る。ハイ。悪い表現なことは自覚しています)


くらくらする頭とますます麻酔が効いてろれつの回らなくなった口で、


「それじゃあ、VHIは?」


こちらは任意加入の保険。要は強制加入の保険じゃいざという時役に立たないからこっちにも入る。ちなみにこっちにはつき3500円程度。考えてみると月に7500円も保険代として消えてってるんだな。


「VHIはねえ、親知らずの治療以外には適用されないのよ」


がーん、つまりなんですか。この3万円


自己負担


なのね。


アイルランドで仕事をしてはや2年と半年。その間マジメに税金その他を払い、アイルランドの経済にも少なからず貢献してきた。それなのに、いざこっちがたった二回歯医者に行こうとするだけなのに、アイルランド政府は助けてくれないのね。


とりあえず、財布の中の有り金すべて(これだけあれば十分だろうとATMで60ポンドおろして、財布の中には75ポンド入ってた)払い、歯医者から脱出。外はアイルランドにしては珍しくどしゃ降りの雨。風が強くて傘をさせないので、濡れながらバス停へ。まさにB級ドラマのバッドエンディングのよう。そして帰り道はこの雨のため道路が大渋滞しており、結局2時間かかるのだが、そんな話は書く気にもならず…。ため息のみが出て行くのでした。




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