なべて世はこともなし
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2001年12月03日(月) できたら体験したくなかった…アイルランドで初体験

初体験してきました。…あまり体験したくない初体験でした。


歯医者。歯科。デンティスト。


まあ、ここほどあまりお世話になりたくないところはないですよね。ところが悲しいことに、ここには最低でも数年に一回お世話にならねばならないわけで。


自慢じゃないですが、歯はしっかり磨いている方だと思います。最後に歯科に行ったのはアイルランド留学前。考えてみると5年も昔の話です。その時も単なる検査とお掃除目的で、治療らしい治療は受けなかったんです。で、話は3週間前に戻る。


日本から帰ってきて、鏡に映った自分の歯を見て、


「うーん、これはお掃除してもらったほうがいいなあ」

私の住民票など5年前八王子市から「アイルランド国ダブリン市に転出」として以来(言うまでもなく税金・年金対策)、日本にはない。ま、日本に帰国して住民票を取って、ついでに国民健康保険に加入する手もあったけど、ま、歯のお掃除くらいそんなに大変なことをしなくても、アイルランドでやってもらえばいいだろうという読みがあったわけです。


で、(最近に日記のネタになることがとんと少なくなった)Kさんに「どこかいい歯医者知らない?」と聞いたところ、


「うーん、私、Brayの歯医者に行ったけど、良かったよ」


で、Kさんに調べてもらいそこの電話番号をゲット。で、さっそく電話。

「すいません。予約したいんですけどー」
「うーん、今からですと、一番早くて3週間後になりますね」



…あんたなあ、もし俺が痛さでのた打ち回ってたら、爆弾仕掛けに行ってるぞ。この時点で。なんでたかが歯医者に3週間も待つねん。ただ、話を聞いた限りでは、ヨーロッパ諸国のしか事情なんてこんなもんらしい。最低でも数週間待たねば歯医者の予約はできないそうな。


で、3週間後の今日。会社を少しだけ早引けしてそりゃもう本気で汚いDART乗ってBrayへ。なぜだか雨が激しく降っており、着く前から


で、ようやく目的の歯医者を発見。


「こんにちは。XX先生と3時半に予約があるんですけど」
受付らしい女性:「XX先生?それはとなりよ。こっちは病院よ」



…赤っ恥をかきさらに


で、本物の歯医者に到着。中に入ると左・前方・右とドアが3つあり、前方のドアに「受付」と書いてあるのでそこへ。中は三畳ほどの狭いスペースに、机がぽつんとひとつ。


で、受付のおねえさんに言われるまま、名前などをカードに記入。問診表も記入。とりあえず、「No」にしとけばいいと思い、「No」に印をつけてゆく。20くらいの質問があり、途中からめんどくさくなりろくずっぽ読みもせずに「No」に印をつける。危うく、最後の「女性のみ:あなたは妊娠していますか」にまで印をつけそうになった。


で、「待合室でお待ち下さい」と言われ、さっきの左手のドアーから待合室へ。


ええとですね。ここの待合室を説明する前に、まずは日本の歯医者さんを想像して見てくださいませ。だいたい受付と待合室は同じところにあり、患者さんが4−5人くらい所在なげに座り、子どもが足元を走りまわる。で、「早く私の番来ないかしら。でも痛そうだから来なくていいわ」なんて考えながら待つ。


で、診療室に入るとたいがい5つくらいの診療台があって、そこに患者が横たわり、歯科技師のおねえさんが忙しそうにし、たったひとりの先生が、あっちの患者を見たと思ったらこっちの患者。忙しそうに走り回っている。で、患者は先生がやってくるのを、ほかの患者の歯を削られるあの


キュイーン


という世界一不愉快な音を聞きながら待つ。そんな感じですよね。


アイルランド(の少なくとも私が行ったとこ)の場合。


待合室はちょっとした会議室くらいになりそうな広さで、壁にそって椅子が10個くらい並び、若干の女性向け月刊誌と子供向けの絵本が置いてある。で、そこには誰もおらず、ぽつねんと待つ。


10分後。さっきの受付のおねえさんが、「Snigelさん、どーぞ」と呼びに来る。で、さっきの右手のドアから診察室へ。

診察室の中はさっきの待合室と同じくらい広く、中には診療台がたった一つ。そう、診療台を4つくらい十分置くスペースがあるのにたった一つ。あとは、先生用と思われる机と、カルテの入ったキャビネットにコートかけ。これくらいのシンプルなもの。


で、先生と思われる(ってほかの何者にもみえなかったけど)おじさん(と呼ぶには失礼なくらいの年齢)と助手と思われる女性がひとり。先生は、

「ハロー、Snigelさーん」と言いつつ握手を求めてくる。

歯科医以外の医者を含めても、医者と握手したの人生で初めてだわ。


なんて考えていると、「じゃあ、荷物そこ置いて、診療台に横たわって」


とやたらとフレンドリーな様子。


「ここはどうやって知りましたか?」
「Kさんからの紹介で」
「ああ、Fairviewに住んでたKさんね。知ってるよー。元気?」
「ええ、最近結婚して…」
「へえ、よろしく言っといてね」



…何だか恐ろしくフレンドリーだ。


で、何かスポンジ上のものをかまされ、何やら丸い筒状のものをほっぺたのところに持ってこられる。


「ん?」


と思っていると、先生と助手、部屋から出て行ってしまう。


「んんん?」


と思っていると


「カシャ」


…X線写真を取られたのでした。一瞬何が起こったか分からなかった。


で、反対側の写真も撮り、部屋に戻ってきた先生。


「で?どこか痛いとこは?」
「いえ。チェックとお掃除だけ…」
「あ、そう。軽く見たとこあまり問題はなさそうだね」



と言うと先生、磨き粉のようなものを歯につけごしごしはじめる。助手は、バキュームで口の中の唾液を吸い取る。うーん、この辺は日本の歯科と全く同じ。


15分後。お掃除完了。


先生:「うーん、あのねー、親知らずがあまりよくないとこに生え…」
私:「痛くないです。痛くないですですから抜かないでいいです!」
先生:「痛くない?でも場所が…」
私:「痛くないですから」
先生:「ああそう。じゃ、まあいいとして、あと数ヶ所問題があるから、今日からおっぱじめようか」
私:「虫歯?」
先生:「うん、奥の左と右上の奥歯と(と説明を開始)」
私:「通わなきゃダメ?」
先生:「今日を入れて2回。何とかクリスマス前に終わらせたいねえ」
私:「お願いします」



この話、後半に続く。このあと「どえらい悲劇」が待ち構えていることに私はまだ気がついていないのでした。(翌日のお話はこの上に更新済ですのでよろしく)




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