なべて世はこともなし
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2001年10月26日(金) 強いジャパニーズエンはどこへ行った?!

きのうの日記、投票ボタンにオチを任せる方法で、読者の方にはいささか不親切なものだったかもしれません。実はあの日記、かなり時間に押されて書いていたのです。それでああいう形になったのです。で、オチが分かりにく方という方のために解説すると、あのあと、30分の道のりを戻って、正しい「寒梅」が見れる山に登ったんです。がそこにあるのは寒梅の固いつぼみだけ。お客様にはとても申し訳ないことをしてしまったと、5年たった今でも反省することしきりです。とくにお客様の中にお怒りの方がいなかったので特にですね。


で話は昨日へ。昨日は何としてでも銀行に行かねばならなかったのです。まずは、有効期限の切れるキャッシュカードの更新。それから、溜まっているクレジットカード使用料金の支払い、さらにはできれば日本円も少し欲しい。アイルランドのほとんどの銀行の営業時間は午前10時から午後4時。が、木曜日だけは午後5時まで開いている。午後3時30分まで働くおいらにはしないのおいらの銀行に行くには木曜日が唯一の機会。今日を逃すと、キャッシュカードなしで日本へ行くというおぞましいことになるので必ず行かねばならない。


で、実はこの日、今月末にて退職するまるこのために課内の連中からカンパを募った。要するに、封筒を回覧板形式で回して、いくらかのお金を集めようという訳。おいらとKさんが言わば「見せ金」として、5ポンドづつ払い、封筒の中にこれ見よがしにお札を入れておいたのだが、その効果はなく、大した金額は集まらなかった。でもねえ、


封筒の中にBronze(Coppersとも言う)を入れたアホども出てこい!


Bronzeとは銅貨、つまり1ペンス・2ペンス硬貨のこと。これが数えてみると相当な数入っている。「まるこ?つきあい浅いから、財布の中の重いCoppersいれときゃいいわ」なんて考えていた連中が多いことが明らか。


で、Bronzeの数を数えるKさんを見ておいらはひらめいた。「これは実験に使える」というわけで、60ペンス分の1、2ペンスと数枚の5ペンス硬貨を両替してもらいおいらは会社を出る。これらの硬貨はフィルムケース1杯分になった。ポケットの中で確かな存在感をアピールしている。


お賽銭箱おいらの企んだこと。それは、右の写真を見て欲しい。これ、ダブリンバスのほとんどすべてのルートで使われるようになった「お賽銭箱」ここにコインを投げ込んで、バスの運転手が投入された金額を確認後、写真左手にあるチケットマシーンから発行されるチケットを取る。


で、たとえば、60ペンスの運賃のところ、1ポンドしか持ってなかったりしたら、お釣はもらえない。このチケットとともに出てくる「お釣チケット」を持って、ダブリンバスのオフィスまで持参しなければならない。面倒くさいのでこの「お釣チケット」を捨ててしまう人も多く、一説によると、ダブリンバスは労せずして月あたり3万ポンドの増収になったとか。


「バスの運転手は本当に投入された金額が正しいかどうか数えているのだろうか」


というのがおいらが持った素朴な疑問。たまに、「え?いくら入れたの?」とか聞かれるのだ。そこで、このBronzeの山を投入してみて、運転手がどういう反応を示すか見てみようと思ったのだ。ええ、ええ、おいらはアホです。


で、130番のバスは、待つほどもなくやってきた。おいらはとりあえずありったけの1ペンス2ペンス硬貨を入れて、


「60(ペンス)プリーズ」


と言ってみる。結果、運転手はチケットを発行してくれた。ちなみに30ペンスしか払っていない。


結論:バスの運転手はお金なんか数えちゃいない。


というわけで、ダブリンにお住まいの皆様は、バスの運賃はなるべく小銭で払いましょう。ただし、あまりのせこさに自己嫌悪に陥っても、おいらの知ったこっちゃありません。


閑話休題。銀行には午後4時過ぎに到着。本当に用意できてるかどうか疑心暗鬼だったキャッシュカードはきちんと用意されていた。で、クレジットカードの支払いを済ませ、ほっとしてそのままGrafton Street方面へ。数分後に気がつく。「あ、日本円!」


慌てて、銀行にとんぼ返り(このテの大ボケはいつものこと)。そして、両替カウンターへ。なぜかどえりゃー長い行列。並ぶこと10分後に言われたこと。


「あ、日本円今切らしてるわ」


おまえ、それが本当にアイルランドで最も大きい銀行の最も大きい支店の言うことか。それとも日本円はもはや世界の基軸通貨のひとつではないのか。


で、通りを挟んだ反対側にある同じ銀行の別の支店へ(地元の方は私がどこの銀行に口座を持っているかもうばれてしまいましたね)。


ここの両替カウンターもなぜだか長い行列。ここで待つこと10分後。カウンターでは、


「日本円?あるわよ。でも、金庫のセキュリティの関係上、5分くらい待ってもらうことになるけど」


待つこと5分。ちなみにその間は列は動かず。こんなことをしているからアイルランドはどこにでも行列ができる。で、待った挙げ句に言われたこと。


「ごめん。今、ないわ」


これくらいでキレていたらアイルランドでは暮らしていけません。とりあえず、待っている間においらは実にいいことに気がついた。現金がなければトラベラーズチェックを作ればいいんだ。自分の国に帰るのにトラベラーズチェックとはとことんに変な話だが、もはやおいらはアイルランドでポンドを稼ぐ貧乏人。仕方ない。が、おねえさん、


「日本円のトラベラーズチェック?米ドルかイギリスポンドしかないわ」


…そろそろ銀行変えようかな。と思いつつ、おいらは最初に行った両替所に戻る。この時点で5時5分前。閉店間際。ここで言われたこと。


「日本円のトラベラーズチェック?うーん、ないと思うけど一応探してあげるわね」


待つこと数分。どこからともなくトラベラーズチェックを持ってきてくれたおねえさん。ふう、あった。で、


「あなたの口座からじゃ、このン万円と手数料を引き落とすわね。あれ?あなたの口座、『学生預金口座』だから、手数料はサービスするわ」


学生預金口座?!ってあのー、アイルランドで学生だったっていったいいつの話しなんすかねえ?ついでに言うと、あんたの銀行は親の保証も無しに、学生にクレジットカード持たせて、ついでに限度額を倍に引き上げたりするんですかね?ま、数ポンドの手数料がただになると言うからそれをわざわざ断る理由もないので黙っていた。


それからなぜかおいらは会社へとんぼ帰り。会社のとなりのパブで、昔一緒に働いていた同僚たちと一緒に飲もうということになっていたのだ。で、会社に着いてみると、


「やっぱ街で飲もう」


と、たった今までいた街にとんぼ帰りすることに。


DARTに乗ってたった30分前までいたシティセンターへ。で、たった今までいた銀行からわずか数百メートルのところにあるThe Bankersというパブへ。ここで、3人が合流し計4人。


ここで「正しいアイルランドのパブ講座」が急遽開講するのです。が、それは明日の日記に続く。




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