なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2001年10月25日(木) |
冬来たりなば…。こんな大失敗なおはなし |
大学時代、まともには授業に出ていません。ま、一年の時はマジメにやってましたが、ありがちな話ですが、2年の時からバイトの鬼になり、今からは考えられませんが、月に40万円近く稼いでいたこともあります(今の下手したら3倍やんけ)。
てなわけで、いろんなバイトをしたことがあります。塾講師から、某赤いマークのディスカウントストアー店員から新宿西口駅の前に至るまで。で、そんな中でも変わり種だったのは
添乗員
でしょうか。
あ、間違っても、海外で華々しく活躍する添乗員さんを想像しちゃいけません。某バス会社が企画する青梅あたりのじいさまばあさま相手の日帰り旅行です。行き先は、都内の葛西臨海公園の水族館だったり、横浜プリンスホテルでランチを食べつつ上海雑技団を見るツアーだったり、伊豆でループ橋を見ながら温泉に入るツアーだったり、まあ、いろいろやりました。給料自体は、拘束時間が多い割に安く(時給にしたら6-700円いかないかもしれない)割が合わないように思われますが、おいしいランチを食べたり、伊豆にただで旅行できたりと、悪いものじゃなかったです。
で、最初は緊張感を持ってやってましたが、どの仕事でも慣れるとだれます。そう、前振りが長くなりましたが、今日のお話は大失敗をしたお話です。
その日のツアーは「伊豆で寒梅を見て、いちごを摘んで、沼津グルメ街道で魚を買う」というじいさんばあさん相手のツアーでして。実際、この会社のツアーで伊豆半島は完全に御用達でして、私にとっても勝手知り足る我が家のようなもの…と勝手にタカをくくってました。
で、その日の朝…朝の7時とかに青梅にじいさまばあさまを迎えに行くんですから、当然それよりはるかに早い、朝の4時とか5時の話、事務所で私は半寝ボケでコースの説明を受けてました。そう、事前に下見になんか行ったりしません、ぶっつけ本番でいかにも知ったかぶりをして客を案内するんですから考えてみたら怖い仕事です。で、いざ出発。
基本的にバスの中には専属のバスガイドさんが居ますから、私は後ろの方でこっそり寝てるか「男はつらいよ」あるいは「釣りバカ日誌」を見ていればいいという楽な稼業です。が、ひとたびバスを降りると、すべての責任は私の双璧にあります。記憶が正しければ、この日は沼津か三島にある「日本百名水」を訪ねて(青梅も水はきれいだろうに)、他にもどこか訪ねて、それから例の「寒梅」の山に着きました。
初めて来た場所でしたが、バスが止まった駐車場のすぐ裏手に「公園」らしきものがあって、「ああ、ここだな」と、この場所も楽勝モード。お約束の「旗」を持って、山へ出発!
「寒梅」を見るツアーなくらいでしたから、春はもうそこまで来ているとはいえ結構寒い日でした。で、丘を上ったところにある公園はちょっとした林の中にあり、林の中はまだ新しい緑は見えず一面茶色の世界。で、問題は「けっ、こんなところに来て何が楽しいんでい」と一人悪態を吐いていた私に、お客さんのひとりが、
「ねえ、添乗員さん。梅、どこ?」
と聞いてきて始まりました。
自慢ですが、私は田舎に育ったにもかかわらず、植物の名前など全然分かりません。辛うじて、チューリップとひまわりの区別がつく程度です。つまり、「寒梅」がどれかなんて、知ったこっちゃないのです。無論私は「知らない」なんて言えません。適当に
「もうすこし先ですぅ」
なんて言ってやり過ごします。
ところが、寒梅らしきものは待てど暮らせど現れず。気がつけば山を1周してバスの止まる駐車場に戻ってきてしまいました。
ことここに来て、私の背中に汗が流れ始めます。そういえば、朝のブリーフィングの時
「バスを止めたら、裏手の山ではなく、橋を渡った向こうの山に行くんだぞ」
と言われていたのです。向こうの山を見ると、
「寒梅こっち」
って書いてある(号泣)。
すでに時間が押しています。私は独自の判断で、とりあえず、次の目的地、いちご狩りに向かいました。で、お客さんがいちごを摘んでいるいる間に、私は走って公衆電話まで行き会社に電話をかけました。
「バカモン!」
怒られましたね。マジで。そりゃ、全部私が悪いのですが。
いちご狩りから帰ってきたお客様に私は土下座せんばかりの勢いで謝りました。でも青梅のじいさんばあさんはいい人ばかりですね。「いや、もういいよ。帰ろうよ」と言ってくれます。
が、その親切が帰って困った事態になったのです。会社が
「このツアーのタイトルが寒梅といちご狩りになっている以上、寒梅を見ずに帰ってこては困る。ゆえに、もう1回行ってこい」
と言うのです。それに対し、お客さんは
「もう疲れたから帰ろう」
というモード。年寄りは電池切れが早いんですね。板挟みになった私は、本当に土下座せんばかりの勢いで、お客さんに平謝りして、30分くらい書けてその山に戻りました。
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