なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
現在、友人宅に友人のご両親がはるばる日本から訪問されてます。60代の仲のよいご夫婦ですが、このご両親、今回が海外に出るのが初めてなそうな。当然海外に対する「新鮮な目」をお持ちで今日お会いしたのですがなかなか一緒にいて楽しいです。
ご年配なこともあるからでしょうが、「日本蕎麦はないのか!」「ヨーグルトがまずい!」(ブルガリアヨーグルトじゃないと嫌らしい。ちなみに作者はあのすっぱいのはだめで、ナチュレ派)「お酢はないのか!」と大騒ぎ。
そもそもここに来られるのもまさにやじきた道中だったらしい。日本−アイルランド間のダイレクトフライトはないので、当然ロンドンで乗り換えと相成ったのだが、乗り換えの時も大騒動だったらしい。奥さんいわく、「男はあーゆー時ホントにだめね!」…一人の男としてお詫びいたします。
おいらが初めて来た時もまさにそうでした。初めての海外が、実はダブリンへの語学研修だったのです。海外に行ったことのないバカ親子でしたから、何をどう準備していいんだかわからない。「とりあえず、スーツケースがいる」ということになり、御徒町の多慶屋(東京にお住まいでない方、早い話が上野にある総合ディスカウントストアーです)に行き「一番大きいスーツケースください!」と信じられない大きさのスーツケースを買う。
で、そこに詰めれるだけものを詰めて、成田空港へ。一番安かったので買った、大韓航空のチケット、カウンターで、「このスーツケース、重過ぎます」と一言。目方を見ると何と35キロ以上ある(注:たったスーツケース1個だけです)。
知る限りでは、エコノミークラスの重量制限は20キロで、30キロまでなら大目に見るようだがそれ以上になるとまず文句を言われるようなので、おいらのスーツケースは文句なく重い。仕方なく、機内持ち込みのかばんの中に本などを詰めて32キロ。大韓航空のカウンターのおじさんに「努力を認めましょう」と言われ大目に見てもらう。
で、ソウルを経由して、ロンドンヒースロー空港へ。ヒースローは、ヨーロッパ一忙しい空港(ちなみに2番はドイツのフランクフルト空港)。そんなことはつゆ知らずに来たおいら。大ボケをかます。この空港で乗り換える場合は、出口に向かわずに乗り換え専用通路に向かう(羽田も含めどこの空港もまずそうですよね)のが正しい道にもかかわらず、おいら何と、例の激重スーツケースを受け取り外に出てしまったのだ。
で、お経のように、「ブリティッシュミッドランドのカウンター」といい続け、ようやく見つけたブリティッシュミッドランドのカウンター(注:ブリティッシュミッドランドはイギリス第2位の航空会社)。そこには誰もおらず、こんな張り紙が一枚。
“All British Midland passenger should come to terminal 1. Thank you”
おいらが着いたのは、ターミナル4。当然ターミナル4から1へ移動しなくてはならない。ロビー内を見回すと、ターミナル1への寂れた地下道がそこに。ちなみに、無料シャトルバスが運行されているらしいが、この時はそんなこと知る由もなく。
で、この地下道、本当に暗く寂れて、なんとも不気味な感じで、しかもベルトコンベアは故障中。長い長い人気のない地下道を重いスーツケースをごろごろ転がしながらターミナル1へ。
ようやく着いたターミナル1。搭乗時刻は迫っている。一刻も早くカウンターを見つけないと。で、カウンターはどこかと見回すが、そこは1階の到着ロビー。出発は上の階。で、エスカレーターなんてしゃれたものはない。あとから知ったのだが、このターミナル1は、基本的にダブリンや国内線用のいわば「ローカルターミナル」だったので、そう言うしゃれたものは一切なかった。
で、あるのは階段のみ。何度もしつこいけど、30キロ超の重いスーツケース。そんなもんを抱えて階段を登れるとはまったく思えなかった。仕方なく、到着ロビーを1周すると、あった、エレベーター。
で、2階の出発ロビーに行くべく、「2」を押す。で、「2」に着き、エレベーターを降りたのだが、そこはなぜか事務所。「????????」このへんから搭乗時刻も迫りパニクり始めた。「やべー、とりあえず戻るべえ」と、「1」を押すと、なぜかもとの場所に戻らない!見たこともない場所。まさにSFの世界。
でもよくよく見るとそこは出発ロビー。よく状況を理解しないまま、とりあえず、ブリティッシュミッドランドのカウンターを発見。無事ぎりぎりセーフでチェックイン。
で、あとから知ったのだが(賢明な読者様はもうお気づきですね)、イギリス英語では1階はGround Floorで2階がFirst Floorなのだ。それを知らないばかりにパニクった次第。あとから考えるとこの上ないばか話ですが、その時は本気でアセりました。
で、ブリティッシュミッドランドの機上から見たダブリンの夜景。今まで見た風景の中でもっとを忘れられない風景の一つ。オレンジ色の街灯がまるで川のようで、「ああ、ついに来たんだー」という感慨で思わず込み上げてくるものがあった。自分の中で、「もう戻れない」というある意味での決意感が生まれたのがその時。あー、書いててなつかしー。
あれからもう5年の月日が経った。(日本に何年間か戻っているのでこの5年間ずっとダブリンにいた訳ではない。)今では、アイルランドをバカだクソだ言ってるけど、そんな新鮮な感激を持っていた頃もあったんです。
以上作者の昔話でした。
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