今日も今日とて
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先日、ワタシ、もう何度目になるかわからない23歳の誕生日を迎えたわけですが。 まあ、誕生日だからって特に何をするでもないですから。 とはいえ仕事がひとやま越えたワタシは、この日の午前中からお昼にかけて、楽しみにしていたことがありました。 ひとつは、ひさーーーーーーしぶりに、運動ができる!ということ。 ひとつは、なっちゃんがりっちゃんに声をかけてくれて、誕生日だし久しぶりに3人でランチしましょ、という段取りをつけておいてくれたこと。
りっちゃんに会うのはものすごく久しぶりですし、なっちゃんと外でごはんを食べるのも久しぶりです。 12時の約束だったので、11時から45分くらい運動しよう( ^ ∀ ^ ) それまではお仕事がんばろう、って予定を立てていたのであります。
せっせせっせとお仕事をし、時計が11時5分前を指し、もうすぐ運動タイムだー(*´∀`*)と微笑みましたら
ピンポーン と、来客を告げる音が。 なんだろ、セールスかいな、と思いつつ、ドアを開けたら、そこに立っていたのはなんとマイマミィ。 後方には、車から何やら荷物を降ろしているパピィの姿が。
「あら、今日はいたのね?」と母。 「う、うん・・・」
なんだろ急に・・・。電話もなしに。
「草刈りに来たんだよ。おまえんちの庭、ひどいから」と母。 「え・・・そうなの? あ、ちょっと待って、今庭に出るから」
この時点でワタシが思ったことは、「わざわざこんな暑い中草刈りに来てくれるなんて!」という感謝の気持ちではなく
運動、できなくなってしまった(`Д´*)
という、もう、これだけ。 だってホントに楽しみにしていたんですものー。 筋肉が熱いぜ!ストレッチ痛気持ちいい!ってやりたかったんですよ! たった小一時間のこの時間が、この一ヶ月取れなかったんですもの。
まあ、親に草刈りさせて、ワタシは運動するという選択肢もないことはないですが、それはちょっとアレですし。 てかなんでいきなり来るわけ? 連絡くらい寄こせっつーの。 昨日から楽しみにしていたワタシの予定はどうしてくれるーーーーー!!!!
・・・てか、12時になっちゃん&りっちゃんが来るまでに、草刈り終わるのだろうか。いや、終わらない。どうしよう。 庭に出ながら、アタマの中はもうぐちゃぐちゃですよ。
「あー・・でも、ありがたいんだけど、今、ダイコンドラというのをグランドカバーに育てていてさ。 それが抜かれちゃうと困るから、いいよ、今日は」
これは言い訳ではなくて、本心。 5月の終わりと6月に蒔いたダイコンドラが、ようやく育ってかわいらしくなってきたところだったのです。 雑草抜かれたら、これらも一緒に抜かれてしまいます。 きょんにも厳重に「今年の夏は、雑草を『抜く』ということはしないように」とお願いしてあるのであります。
「ダイコンドラ? いいよそれは。 また蒔きな」と母。
かっちーーーーーーーーん
なぜ勝手に決める。
「イヤだよ。5月に撒いて、大事に育てて、やっとこんな風になったんだから」と、ダイコンドラを見せるじょりぃ。 「また生えるでしょ」 「何ヶ月も大事にしてたんだから。それに、タネを蒔く時期だってあるんだよ?もう来年まで蒔けないんだから、困るよ」
ワタシは親にはおとなしい性格ですが、口ごたえしないだけで頑固です。 口ごたえしないが、言うことは聞きません。親からするとめんどくさいと思います。 そして今日は、頑固なだけでなく、口ごたえのサービスもつけてみました。
「それだって、庭、このままってわけにはいかないでしょー?」と母。
どちらも穏やかに話してはおりますが、どちらも譲る気配なし。 が、ちょっと母がしょんぼりしている風にも見えます。 ここまで来るだけだって小一時間かかりますから、しょんぼりするのもムリないです。 ここで気持ちが折れそうになりますが、ダイコンドラ、譲るわけにはいかない。
そしたら後方から父がのんきな声で
「抜かないよー。お父さん、これ持ってきたから。抜かないで上手に刈るよ( ^ ∀ ^ )」
買ったばかりのハンディ草刈り機を持ち上げて、得意そうな父。 彼はいつでも得意そうで困ることもありますが、こんなときは空気を読めないこの自慢ぷりがありがたい。
「で? どれがその大根だい?」
お父さん。大根じゃない。ダイコンドラ。
「おまえは仕事してていいから。お父さんとお母さんも、疲れた時点でやめちゃうからさ」と母。 「じゃあ、ワタシ、仕事しちゃうけど・・・」ホントは仕事じゃなくて運動したかった・・・(´;ω;) 「うん。そうして?」
老人ふたり(しかも母は病み上がり)に暑い中過酷な労働をさせ、自分はエアコンの効いた部屋でのうのうと仕事をするじょりぃ。 が、しかし。 ワタシ、仕事なんてしたくないもん! 運動したかった!楽しみにしてたのに!
うわあ!それに! なっちゃんとりっちゃんどうしよう!
ふたりが来たら、両親を置いて約束どおり食事に出掛けるという手もありますが。 なんだかそれはどうも、両親に申し訳ない。 いくらワタシが鬼畜娘でもしのびない。 でもでも、せっかく久しぶりに3人で、ってなっちゃんがプラン立ててくれて、りっちゃんも来てくれて。 なのに親付きだなんて、それはふたりに申し訳ない。 えーん。 ワタシどうしたらいいのだーーーー・゜・(ノД`)・゜・。
時計を見たら、11時25分。 やばい、なっちゃん、もう家を出ちゃう。 とりあえず状況を伝えよう。電話電話。
「・・・・というわけでさ」 2階にこもって、さらにヒソヒソ声でなっちゃんに現状を訴えるじょりぃ。 「あははは。何を暗い声で話し始めたかと思ったら、そんなことか」 「だって運動楽しみにしてたんだよ!」 <こればっかり 「まあねー」 「それにさ、食事の時間までに終わらないと思うんだ・・・で・・・あの・・・ 一緒にどう?って、やっぱ声かけないと、なんか悪いかなーって・・・」 「そりゃそうだよ。いいじゃん、一緒に来てもらえば。あたしはその方がうれしいな」 「ワタシは、イヤ」 「あはははは。まあとにかく、そんなカリカリしないでさ。庭キレイになってありがたいと思うよ?」 「・・・うん・・・」 「じゃ、そっち行くね」 「気を付けてね」
りっちゃん。りっちゃんどうしよう。 いきなり親が一緒ってなったらビックリするのではないか。 かといって、なっちゃんにしたように事前説明したら
「あ、じゃあ悪いから、あたしは遠慮するよー。また誘ってー」
ってなっちゃうかも。 そして「また」がいつになるかわからないしー。 どうしようどうしよう。
・・・しかたない。 りっちゃんには来てから説明して、りっちゃんが迷惑そうだったら親には帰ってもらおう。
親には「ふたりと約束している」とも言えないまま。 なんかわざわざ伝えると「帰ってよ」って言ってるみたいになっちゃうかなー、とか、つまらぬところで気を回すじょりぃ。 心でさんざん悪態ついている方が余程始末に悪いというのに。
まずはりっちゃんが到着。 ワタシは家の中、両親は外におりますから、当然りっちゃんと遭遇するのは親が先になります。
「こんにちはー」というりっちゃんの細い声がかろうじて聞こえまして。 「あらー。りっちゃん! 久しぶりねーー」と母。 「りっちゃんかい! 変わらないねー。相変わらずキレイだー」と父。 「ホントに変わらないのねー。白い服が良く似合ってる」と母。 「いえいえ、もう、年取っちゃって(笑) ヤバイんです。遠くから見てください(笑)」
なんてやってるところへ、じょりぃ登場。
「やありっちゃん。なっちゃんがまだだから、とりあえず中で待っててよ( ^ ∀ ^ ;)」 「あ、うん」
りっちゃんを両親から奪うようにして、玄関へ。 入るなり、ヒソヒソ声でりっちゃんに状況説明。
「・・・というわけで、急に来ちゃったんだよ!」 「そうなんだー。じょりぃちゃんのお父さんとお母さん、若いねー( ^ ∀ ^ )暑いのに」
ちょっとピントがずれているりっちゃん。
「でさ、なんか、お昼食べに行くのに、あー、そのー、・・・置いていくの、ちょっと気になるんだ」 「うん。一緒に行ってもらおうよ(・∀・)」
あたりまえのように、りっちゃん。
「・・・りっちゃん、ホントはイヤじゃない?」 「イヤなのはじょりぃちゃんでしょ(笑) あたしは全然。それに置いてっちゃダメだよ」 「・・・そうか・・・やっぱりそうだよね・・・じゃ、声かけてみる・・・」 「うん( ^ ∀ ^ )」
そんなことしているうちに、なっちゃんも登場。 「こんにちわー。庭、スミマセンー。あたしもやらなきゃと思いながら、ついついー」 と、従業員としてなのか、なぜか両親に謝るなっちゃん。
「タロちゃんは? もう預けてきたの?」と母。 「うん。 今日は早めに預かってもらって」
ここでじょりぃ登場。
「あ、お母さん、今日ね、なっちゃんとりっちゃんと、久しぶりにお昼食べに行くことになってるんだけど」 「あら、そうなの?」 「あの、で、よかったら、お母さんたちも一緒に行かない?」
ワタシのこの挙動不審ぽい誘い方、 おまけに先ほどのワタシのイライラした様子。 母、なんて答えるのかな。 「お母さんたちはいいよ」って言いそうな気もするけど。 そしたらそしたで、なんだか悪いな。申し訳ないな。 一緒に行くって言ってもらった方が気が楽な気がしてきたな。 でもワタシは正直、3人がいいな。
と、ワタシが勝手にあれこれ思案しているところへ聞こえてきた、母の答は
「あら、誘ってくれるの? うれしいわー( *^ ∀ ^ *)」
うれしいって言ったΣ(゚ω゚ノ)ノ <ちょっと予想外でした
なんか、今までの流れからして、しょんぼり風味に「お母さんたちはいいよ(´・ω・`)」って言うかと思っていたもんですから。
でもなんか、この一言で肩の力が抜けましてね。
「じゃあ、作業止めて、行く準備してよ( ^ ∀ ^ )」とワタシ。
なっちゃんとりっちゃんを部屋に入れ「ごめん、ジジババ付になった」と報告。 「だからあたしたちは気にしないって」とふたり。 しかしワタシはまだ気にしている。ごめんよ。
ふたたび母の元へ戻り。(忙しいなワタシ!)
「和食とイタリアンの折衷料理を出す店なんだよ( ^ ∀ ^ ) おなかにもやさしいと思うよ」とワタシ。 「そうなんだー。 でも、お母さんたちは、今日は帰るよ」 「え!!」
そうなると今度は逆のベクトルで焦るじょりぃ。(忙しいなワタシ!)
「なんで?・・・一緒に行こうよ。なっちゃんとりっちゃんもそのつもりだし・・・」 「汗びっしょりだし、こんな格好だし(笑) それにお母さん、もう体力限界だから、あとは家に帰って、適当なモン食べて横になりたいからさ」 「・・・そう・・・」 「誘ってくれたのに、ごめんね。ありがと」 「いや・・・。あ、じゃあ、今日のお礼に、ワタシごちそうするから(*・∀・*)」 「まあうれしい(笑) じゃあそれを楽しみにしてるから。 今日は3人で行っておいで」 「わかった」
結局両親を庭に残し、行ってきまーーす、と3人で出掛けまして。 店に入りまして。 メニューを決めまして。
「・・・もう、なんで急に来るかな!」 と、ここでまた文句を言うじょりぃ。
なぜここまで来て、まだ文句を言っているかといいますと。
罪悪感があったからです。 ワタシが悪いんじゃない、お父さんとお母さんが悪いんだもん、急に来るのが悪いんだもん、と、文句を言って自分を正当化しようとしたのであります。
「運動したかったのにさっ」
なっちゃんとりっちゃんは苦笑い。
「ふたりと約束してたのにさっ」
ここでなっちゃんが 「気にしすぎだってー。一緒でもあたしはうれしかったのに。きっと奢ってもらえたし(・∀・)」
「なっちゃんはまだいいよ。ウチの親とはしょっちゅう会ってるしさ。 でも、りっちゃんは滅多に会わないし、イヤじゃん? ワタシとりっちゃんだってホントに久しぶりだったしさ」 「あたし、ホントに全然イヤじゃなかったし、むしろうれしかったけど?」とりっちゃん。 「ウソだぁ?」 「ホント。それに、じょりぃちゃん、今さらそんなにじょりぃちゃんの親と一緒ってことに気構えることないじゃんね? 昔から、じょりぃちゃんの親にはあたしも良くしてもらってるし、今日も久しぶりに会えてうれしかったのに」
ここでやっと目が覚めたじょりぃ。
そういえば。 ワタシがまだ実家にいた頃は、いつも実家をたまり場にして、3人で親も交えてリビングで話をしていたっけ。 成人式も、ふたりとも家に来て、うちの親に晴れ姿を見せてから出掛けていったっけ。 あのときもあのときもあのときも、なっちゃんとりっちゃんの大事な日には、うちの親も関わってきたんだっけなぁ。
それ以前に、今日のワタシ、ちょっとひどくなかったか? 運動なんていつでもできるというのに。 だいたい、「親がついてきたらふたりに悪い」なんて、逆にふたりに失礼だったかも。
すっかり(´-ω-`)しょんぼり
「・・・ふたりともありがとう。 なんか今になって、親に悪いことしてしまったと反省の波が襲ってきた」とワタシ。 「そんなに気にすることもないんじゃない? 親なんだしさ。 今日のじょりぃちゃんの気持ちや心の動きもみんな承知で、それでも誘ってくれたことを喜んでるんじゃないかな?」 と、自身も親になったなっちゃん。 ありがとう。
「あのね、出てくるとき、じょりぃちゃんのお母さんに『なんかあたしたちだけスミマセン』って言ったら、 『じょりぃが後でごちそうしてくれるって言ってたから』って、お母さん、すごくうれしそうだったよ?」とりっちゃん。
そうかー(´;ω;) オカアサン...
これは。 今度ばかりは。 口だけの約束でなく、本当にごちそうせねばーーー。
でも結局、ごちそうするつもりで連れて行っても、なぜか会計は親になってしまうんですが・・・。
それにしても。 誕生日の日に、しかもワタシを生んでくれたその人たちに、この日のワタシの心持ちったら大変よろしくなかった。 「親、マンセー!!!」な人も困りモノかもですが、ワタシのように、今頃になって思春期の反抗期をやり直しているようないい年こいた大人も困ったもんだと思います。
もしかしたら、この日の草刈りも誕生日プレゼントの一環として来てくれていたかもなのに。 ごめんなさい、おとうさん、おかあさん。 そしてありがとうでした。
と、しんみりと床についた翌朝。 ワタシは母からのメールで起こされまして。 どうしよう、昨日の文句かしら、と怯えながらメールチェック。
「おはよう! 起きたら電話ください」
起きたので電話しました。 昨日のお礼言って、食事の約束をちゃんとしよう。と。
「お母さん? 昨日はどうもありがt」 「じょりぃ、昨日、誕生日だったのねーー!」と、明るい声の母。 「あー、うん」 「お母さん、すっっかり忘れててさ(笑) ゆうべ布団に入ってから、お父さんが『じょりぃの誕生日、忘れてただろ』って言って、あ!って思い出した」
草刈りは誕生日プレゼントの一環だったかも、なんて思ってしょんぼりに拍車がかかっていたのですが。
単に娘の誕生日を忘れて、ずかずかとやってきただけだったようでした。
あーよかった( ^ ∀ ^ ) 肩の荷が降りた。
「娘の誕生日を忘れちゃうようじゃ、ついにボケがきたのかもねー」と母。 「あははは」 「いよいよになったらよろしくね☆」 「あはは・・・え?」
肩の荷が重くなった。
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