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2008年09月05日(金) 続・じょりぃ先生

前回の続きです。

初日の授業が終わって。
前日あれほど「行きたくない行きたくない」ともんどり打っていたはずのワタシの感想は、

「楽しかったー(*´∀`*)」

でございました。(たいていこんなモン)(常に事前に大騒ぎしすぎのじょりぃ)

生徒や、まわりの先生がたに恵まれたというのが大きかったんですが。
先生がたもホントに良い人たちで。

しかし、工業高校って、楽しそうですねーーー。
なんかもう、いろんな設備とか機械、工具類、教室を見ているだけでワクワクします。
ワタシ今から高校生やるなら、工業入りたい。
ワタシの地元の工業高校って、ワタシが現役時代はものすごくガラが悪い印象だったんですけれども。
今回のこの高校の、特にワタシがお世話になった科は、進学率も特別良いらしくて、みな熱心なので特に雰囲気が良いのかもしれませんけれども。

そして、高校2年生って、まだ子どもなんですねー。
素直でとてもとてもかわいいのです。
これもワタシがラッキーだったのかな?
なかにはヒネた感じとか、クセのある子もいたのですが、それはそれでまたとてもかわいい。
そうかそうか。ヒネたいのか。気持ちはわかる。ヒネろ。ツッパれ。
そうか、キミはワタシと口ききたくないのか。
やりづらいけど、キミもやりづらいんだろうな。
でもできれば最後までには打ち解けたい。けど、それはワタシの勝手なのでキミも勝手にしてくれ。

初日でワタシはクラスのみんなに、たっぷりの愛情を感じてしまいましてね。
いいなあ。キミたちには輝く未来が開けているのだ! <実際これを叫んだ(さすがに初日ではないですが)
何やっても楽しくてしかたないだろうな!<「高校生はつらいんだよ先生」って言われました
そのつらさは今しか体験できないんだ!楽しめ!<「いやだ」って言われました

で、「果たしてワタシに教えられることがあるのかいな?」と心配していたじょりぃだったわけですよ。
なにしろ、ワタシの最終学歴は、地元のショボい専門学校。
しかも当時、この職業分野ってほとんど知られていなくて、ゆえに教育体制だって非常に心もとなかったのです。
と、学校のせいにしたいところですが、だいたいほとんど授業受けてなかった( ´_ゝ`)
なので、アカデミックなことはさっぱりとんと教える自信のないじょりぃなわけですよ。
ワタシに教えられることがあるとすれば、実践、経験がモノを言うところのみ。
それについてでさえ、仕事に対して情熱やら自信やらをなくしかけていた時期でしたし。ホント心配。

しかし、今回、ワタシは生徒の質問にがっつりと答えることができ、実技中に生じる様々な疑問難問にもバッチリ対応できてしまいましてね。(自分で言ってりゃ世話ないですが)
これには自分でびっくりですよ。
ワタシ、いつの間にこんだけ知識を身につけて、スキルもアップしていたんだろー、って、まあ自画自賛みたいですが、嬉しい驚きだったのですよ。
日頃こんなこと、なかなか実感できないんですもの。

「せんせー、これ、どうしよう」

と困った顔の生徒に「こうしてこうしてこうしてみてはどうかな?」と、自分でも「うわー、どうなっちゃうかなー」なんて思いながらアドバイスしてみると、なんかこれがいちいちうまくいっちゃいましてね。

ええと、ワタシの勝手で、具体的な仕事の話ができないので説明がしづらいのですが、
例えばワタシが料理の講師として呼ばれているとしますよね。
「せんせー、みかん味にしたかったのに、バナナ味になっちゃった。ここから何を入れればみかん味になる?」
というような質問が、生徒から放たれるわけですよ。
バナナ味をみかん味にかい!こりゃ難問ですな!と思いながらも、
「この調味料と、このフルーツ果汁と、そうだなぁ、どうなるか賭けだけど、隠し味的にケチャップもちょっとだけ入れてみちゃう?」
なんて教えると、ちゃんとみかん味になって、生徒は自分が魔法使ったみたいに「うわー!」って喜んでくれるわけです。
うん、うまい例えだ(・∀・)

このときの生徒の表情がとても嬉しいですし、何より自分の自信につながりました。
ワタシ、いつの間にこんなことわかるようになったの?みたいな。
横で聞いてる先生が、感心しながらいちいちメモ取ってくれていたのも、こそばゆくも嬉しい自信につながりました。

上記の事なんかは、経験がモノを言うので、とにかくやらせて試して覚えてもらおうということで、聞かれればすぐに教えていたのですが。

感性とかその子の個性に関わるような部分ではですね、ワタシの頭使うのもったいないじゃないですか。
ってことではなくて、その子の頭を使わないともったいないではないですか。
何かを学んでいくにあたって、手を貸さなきゃいけないところと、手を出しちゃいけないところってあるように思うのであります。

ワタシ、自分が小学生時代、その手の「自分の感性」の部分を、出しゃばり親父に持っていかれてしまったので、このへんちょっと神経質なんですよね。
ヘタでもなんでもいいから、本人の頭と感性を使った、本人の手による完全オリジナルが、やっぱ一番だと思うのです。
後から知識入れるのなんて、どうにでもできますもんね。
やっぱり粘土は自分でこねくりまわさないと、自分の形がわからなくなっちゃいます。
小学生時代に父親からそれを奪われてしまったワタシは、表現における自分らしさというものを探すのに、えらく苦労したのです。
でもまあ、今となっては「順番が逆になっちゃったのね」ってことで、別に父親のこと恨んだりは・・・ちょっとしかしてないんですが。
しかし、良い反面教師になってくれましたですよ、父。ありがとうお父さん。イヤミみたいだけど。

とまあ、そんなわけで、その手の質問には、ものすごくケチで意地の悪いじょりぃ先生ですよ。
「そこは自分で考えないとー」と突き放すんですが「自分で考えられないから聞いてるんじゃないですか」と生徒。
キミら頭がいいな。

いやでも、考えられないはずないよ、だって自分の頭だよー? 自分のやりたいことやっていいって言ってるんだよー?
かなんか言いながら、「これはあくまでも、ワタシならこうするけど、って話だけど」と前置きして、ヒントだけちらり。
「そんだけー?」「そんだけー。だいじょぶ、できるできる」「プレッシャーだー(´д`)」「楽しいよね、プレッシャー( ^ ∀ ^ )」

で、生徒は文句言ったり自信なかったりで、それでもやり始めるわけですが。

これがですね!
ワタシのヒントをさらに昇華して、ちゃんとオリジナルの結果を出すんですよね!

何が楽しいって、これが楽しかったですねえ。
ワタシは人の才能を「すげー!」って感じるのが大好きでして。
それが若い人ならなおのこと、見ていてうれしくなっちゃうんですが。
イヤイヤながら「じょりぃ先生」やらせてもらったおかげで、授業に出るたびにこの「すげー!」という楽しさを存分に味わわせていただきまして。

しあわせでございました(*´∀`*)
この子たちは、なんという無限の可能性を秘めているのだろう。わくわくわく。


そして、最後の日を迎え。
ひとりひとりに、自分の作ったもの、プレゼンしてもらいまして。
友達に説明するんじゃなくて、企業のオトナどもを相手に納得させるつもりで頼むよ!と。
プレゼンのあとに、質疑応答タイムもひとりひとりに課したんですが、そのときに

「なんとなく」
「好きだから」

を、NGワードに設定。
質問者からの質問に答えるときに、この言葉は使っちゃダメだよ、と。

「話すことなくなっちゃうよ!」「あたしそれしか言えない」などなど、非難囂々でしたが、

「その場で瞬時に頭をフル回転させて、相手が納得できる客観性のある理由でもって説明すること」と、厳しいじょりぃ先生ですよ。
「だいじょぶ、できるできる( ^ ∀ ^ )」と。ふたことめにはこれでゴリ押しですよじょりぃ先生。

でも正直、高2のみんなには難しいかなぁ?と思っておりました。



これもまた、みんな立派にミッションクリアですよ!
すごいすごい! みんな頭いいな! やればできちゃうんじゃん!
と、ワタシひとりが小躍りして喜んでおりました。
ついててくれた先生も「プレゼン、楽しいですねえ」と一緒に楽しんでくださったようで、それもうれしい。
(とってもかわいらしい、性格の良い若い女性教師でした。ともだちになりたい)

「みんなこんなにちゃんとプレゼンできるなんて!
 首根っこつかんでこのままどこかの会社連れて行って、プレゼンやらせてみたい!」と、うきゃうきゃなじょりぃ先生。
「じゃ、先生んとこで雇ってよ」と生徒A。
「先生、貧乏で人が雇えないんだ・・・(´・ω・`)」

社長なのに貧乏なんだ・・・  って、2カ所で聞こえましたけども。
そうなのだよ。世の中にはいろんなシャチョーさんがいるということも学んでおいてくれたまえ。

ワタシとろくに口をきいてくれなかった子も
「じょりぃ先生は褒めるから、自分、褒め慣れてないんで、困った」と照れ笑いして、それから自分のことをちょっと話してくれました。
うれしかったです(*´∀`*)
そして意外にも、この子がいちばんプレゼンが上手だったんです。
ワクワクと興奮しながら驚きましたわー。


そんなこんなで最後の授業を終えまして。
生徒たちはみなやさしいので、「じょりぃ先生は今日で最後です」という先生の言葉に、「えーー?」と名残を惜しんでくれましてね。

「じょりぃ先生もう来ないの?」 うん。来ないの。
「楽しかったのにー」 ワタシなんてたぶんみんなより楽しかったヨ。
「窓から入ってくれば平気じゃない?」 何が平気なのか詳しく教えてほしい。
「○○科の先生になっちゃえばいいのにー」 じょりぃ先生、勉強全然できないから教師になれないの。

たとえリップサービスでも、とてもうれしくて、そして

さびしい(´;ω;)

キミたちともう会えないかと思うと、ホントさびしい。
学校の先生って、卒業式のたびにこんな気持ちになってるのかしら。
さびしいじゃないかーーー先生ーーー!!!


教室を出ていくときに、生徒のひとりが最後に大きな声で

「じょりぃ先生ー!ありがとー!」

と手を振ってくれましてね。

ワタシも手をぶんぶん振りながら

「うん!こっちこそ! またねー!」

と、半身に小走りしながら教室を後に。

しましたら、

すれ違った他の科の女子生徒ふたりのうちの一人が、


「この先生、かわいー」



ワタシに言った。
確かに言った。


女子高生に、かわいいって言われたーーーー(*´∀`*) どーゆー意味かわからないけど…


何がうれしいって、仕事の自信がついたことよりも、生徒の可能性にわくわくするよりも、
これがいちばん嬉しかった自己中なワタシは、やっぱりプロの先生にはなれないわけであります ァ'`,、('∀`)


人にモノを教える職業って、すごいなぁ。
世の中のせんせーたち、尊敬しつつ応援します。

ワタシは「せんせー稼業」をいいとこ取りで体験させていただきましたが、毎日のお仕事にされているプロのせんせーたちのご苦労というのは、こりゃ並大抵のモンじゃないだろうなぁ、とも思いました。
それはわかりつつも、日々、キラキラの可能性の中でお仕事できる「せんせー」たちが、かなりうらやましい今現在のじょりぃであります。


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