今日も今日とて
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ワタシの住居はささやかながら持ち家であります。 築4年の中古住宅を、ほとんど居抜きの状態で買いましてね。 前に住んでいたのが独身男性(40代)で、この方がまた几帳面でキレイ好きで、タバコも吸わなかったようで、本当にキレイな状態で譲り受けることができまして、ラッキーでした。 「結婚して家庭を持とうと思ったんだけどできなくて・・・( ´ω`) 転職して土地を離れることになったし、転居後の資金にしたいから」 という理由での売却ということで、特にいわくもなし。オバケもいません。 めでたしめでたし。
で。
買う前に家を見学に行ったときに、庭の芝生と、1本だけ植えてあったヒメシャラの木がとても感じが良くてですね。 それも割と強い購入動機だったんですよ。 ヒメシャラの枝振りがとにかくキレイでしてね。 もう幹も割と太くなってきていて、頼りがいもありそう。 植えてある位置も良かったのです。
「うん。この木は良い気を運んできそうだ( ^ ∀ ^ )」
と、ワタシはいたく気に入っていたわけです。
月日が流れ。 今年の3月半ばのことです。先月ですね。 きょんと車でご飯を食べに出かけようと、車に乗り込みながらワタシはひょいとヒメシャラの木を見上げてみたのですよ。
そしたら絶句。
ワタシがいつも見ているヒメシャラがこれだとします。

しかし、この日このときワタシの目に映ったヒメシャラは、こうなっておりました。

すぱーーーーーーーーんっ
と、
上が、ない。
ちょっとオシッコもれちゃうかと思った。 それくらいビックリした。
あの美しかったヒメシャラの枝振りが。姿が。 これはいったいどうしたことだ。
「・・・これ・・・・どうしたの? あなた切ったの?」とワタシ。 「あー、うん。えへへ。 じょりぃが一日出かけているときに、切っておいたー」
なぜワタシに無断で。 しかもこんな切り方。 見れば幹が太いので、わざわざノコギリで切ってあります。
な、 な、
なんちゅーことしてくれたんじゃーーーーー!!!!!!
と、怒鳴りだしたいのをぐっとこらえ。 昔のワタシでしたら目に涙を浮かべながらきょんを罵倒しまくるところですが。 ワタシも少々大人になっております。 それに、怒鳴ったところでヒメシャラは元には戻りません。 怒鳴って元に戻るのだったら、きょんが家出したくなるくらいヤッチマッタかもしれませんが。
しかし繰り返しますが、怒鳴ったところで元には戻りません。 まずは、なぜこんなことになったのか、なぜ急に切る気になったのかを確認してみることに。
「なんで切ったの?」
穏やかに、を心がけていましたが、どうしても押さえられない部分で むぉーん と怖いオーラを発しているらしいじょりぃ。 きょん、ちょっと引き気味になりながら
「あ・・・電線?電話線? それに引っかかりはじめてたから・・・」 「そう」
無言。
そうか。動機はわかった。動機としては正しい。 しかし。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ。なぜ。 ワタシのいないときに、我が家の庭の顔でもあった木を、ワタシに何のことわりもなく切るのか。 (ワタシの持ち家なのに!って意味じゃありませんですよ? ワタシの方が庭木のカタチやらにうるさいからであります) 気に入っていた木だっただけに、どうしても怒りがふつふつとわいてきます。
無言。
無言で車を走らせるじょりぃ。 なぜ無言かというと、口を開けばイヤなことやキツイことを言ってしまいそうだからです。 ワタシは本当にあの木を気に入っていたのですよ。 それなのに、あんなひどい姿にしてしまうとは。 なんかこう、ちゃんとモノ考えて切ったりしたんだろうか。 バランスとか見栄えとか、そういうことって全然考えないのかあんたは! てかなんで勝手に切るんだよ! 切っちゃったらもう元には戻らないんだから、慎重にコトを進めろっつーの!!
とまあ、無言でいてもアタマの中はそんなことでいっぱい。 だいたい、いつもは楽しくおしゃべりしながら車に乗っているのに、無言てだけできょんも息苦しいはずです。 落ち着け。落ち着くのだじょりぃ。 腹を立てても木は元に戻らない。<これだけがワタシを沈める言葉
でもまたこのようなことが起きたら困ります。 ていうか、イヤです。 「もうこういうことしないでね」ということは伝えたい。 伝えたいけど。
きょんはきっと、好意でやってくれたんですよ。 なっちゃんが不在でワタシが忙しかったので、ずいぶんといろいろ気を遣って家の用事もしてくれておりました。 ヒメシャラが電線に引っかかりそうなのも、気になっていたものの、ワタシに頼みたかったけど頼めなかったのかもしれません。 ならば自分が一肌脱ごう、と一念発起してくれた可能性は十分あります。 ヒメシャラの背丈も高くなってましたから、あの足場の悪いところで脚立に乗ってがんばったのでしょう。 脚立に乗ってノコギリ使うのも難儀だったでしょう。 そして、ワタシが「大変だったでしょ、ありがとう(´∀`)」と喜ぶことすら想像して、ギーコギーコやったのかもしれないではないですか。
なのに「もうこういうことしないでね」とワタシに言われてしまったら、きょんがショボーン(´・ω・`)としてしまうのは火を見るより明らかです。 それは気の毒であります。 とはいえ、もう絶対、二度と、何が何でも、同じことはしないでほしいというのも事実です。
腹を立てたり感謝したりしながらアレコレ考え、ワタシが言った言葉がこちら。
「今度からは、一緒にやろうね。 ああいう大物はさ」
文字にするとやさしい感じですが、どうしても声が冷たくなってしまいました。 でもワタシ、精一杯だったんですよこれで!
きょん「ん、わかった」とだけ答え、やっぱり少ししょんぼり。 そしてちょっとムッとしてもいたようです。 まあ、無理もありません。 あちらはあちらで「おまえ何様だよ」と思っていることでしょう。
そのうちワタシが違う話を振り、だんだんと和やかな雰囲気に戻り、無事に食事も済ませて帰って来たのですが。
それからのワタシは、ヒメシャラを見るたびに
「ああ・・・(つд-。)」
という気分の毎日でありますよ。 本当に不格好になってしまったのです。 そして、家全体のバランスも悪くなりました。 少し前にも書きましたが、ワタシはバランスというものに非常に重きを置きます。 ワタシにとって家相というのは、「北東が云々」「南西が云々」というものではなく、見た目の印象、バランス、受ける「感じ」が大事なのであります。 あと風通し。というか、空気の流れ具合とでもいいましょうか。 その見た目の印象が、バランスが、要するに家相が、なんだか実によろしくない。 と、家主のワタシが思いこむのがよろしくない。 よろしくないんですが。
上へと向かってベクトルが伸びていた造形が、「すぱーーーーーんっ」とその上昇の気を断たれる、といのは、やはり見ていて非常に気持ちが悪いというか、痛々しくさえあるのですよ。 だいいちカッコ悪い。見た目が悪い。美しくない。 このヒメシャラを何とかしたい。 でもあまりにもな「すぱーーーーーんっ」ぶりで、何というか、手の施しようがない、っつー感じなんですよ。
ヒメシャラのカタチが変わってしまった無念さは消えなかったのですが、きょんに対する腹立ちが収まってきた頃、ちょうどなっちゃんが復職してきたので「これ見て」と変わり果てたヒメシャラの姿を見せました。
「あらーーーーー。・・・・どしたのこれ?」となっちゃん。 「実はこれこれこういうわけで」 「・・・・そう。それはショックだったでしょ」 「とてもね・・・。でも、きょんに怒っても木は元に戻らないし」<また言ってるよワタシ 「そうね。 少し周りの枝も剪定すれば、雰囲気変わるんじゃない?」 「そう思ったんだけど・・・なんかどうやっても寸詰まっちゃうし、やりようがあるかねえ?」 「うーーーーーーーん・・・・・でもこのままというわけにも・・・」 「いっそ、これは抜いちゃって、新しい木を植えようかな」 「うーーーーーーん・・・まあ、それも手だけど・・・・」
ぐるぐるとヒメシャラの周りを歩いていろんな角度から眺めつつ、なんとも言いようのないなっちゃん。
そして先日。 きょんもなっちゃんも仕事がお休みの日。 良く晴れた気持ちの良い日でありました。
気分転換に庭に出まして。そしてヒメシャラが視界にイン。 ああ、やっぱり格好悪い。どうにも気がよろしくない。 でもでも。
やっぱり違う木に植え替えるのはなあ。 今まで我が家を守ってくれてたわけですし。(どうかしら) そして実は、きょんもワタシも、気にしないようにはしておりましたが、このヒメシャラの一件は、目に見えない部分で何となくわだかまっていたようにも思いますし。 ていうか、表に出さないだけで、ワタシの気持ち的にはえらくわだかまっておりましたし。 臭いモノにフタをするかのように他の樹木に植え替えて体裁を繕うよりも、このヒメシャラで、きっちりと問題を解決しようじゃないか、と思いましてね。 こんな良い天気ですしね!
「ねえねえ」と、きょんに声をかけるワタシ。 「ん?」 「ヒメシャラさ、なんかバランス悪くなっちゃったと思うんだよね。家相的によろしくないような気がするのだ」 「え!ホント? どうしたらいい?」
ワタシの寝言のような言い分を真剣に受け止めてくれるきょん。
「ちょっとふたりで一緒に剪定してみない? バランス見ながらさ」 「うん」
そしてふたりで、あーじゃないこーじゃないと言いながら、少しずつ枝を切ってカタチを整えていきます。 基本的にワタシのチョイスでバッチンバッチンギーコギーコやっていたのですが、大きめの枝になると、切るべきか残すべきか、どうしても迷いが生じます。 そんなわけで、小さな枝や中くらいの枝を落とせるだけ落とした後、迷いに迷っている大物の1本の枝を最後に残し、しばし黙考するワタシ。
「この枝、どう思う?」とワタシ。 「あたしは切っちゃってもいいように思うけど・・・」 「うーむ」
しかし、切ったがためにけったいなカタチになってしまったことを考えると、「大きめの枝を落とす」という作業に踏ん切りがつかないワタシ。
「どうしようかなあ」 「じょりぃのいいようにすれば? 文句言うのはじょりぃなんだし」 「そうだねえ。・・・じゃあ、切るのはいつでもできるから、今回は残しておいてみようかな」 「うん」
ひととおり作業を終えまして。 うん。だいぶ切ったなあ。 ふたまわりくらい小さくなっちゃって、ちょっとさびしくなっちゃったけど、「不格好」というほどのこともなくなってきたかな? なんだ、やってみればまあまあのセンに落ち着いたではないかー。
きょんが家の中に戻りまして。 しつこいワタシはそれでもまだなお、いろんな角度からヒメシャラを眺め、バランスのチェック。 これからもっと葉が茂ってくれば、もう少しカッコ良くなるかな? うーん・・・でもどうも、何か今ひとつ、しっくり来ない。 「これでよし!」って思えない。
迷った末に残しておいた、きょんは「切っちゃってもいいように思うけど」と言った、大きめの枝に目をやりまして。 これ、切った方がいいのかな。 でも、すぱーーーーんっ てやって、このたびの元凶(失礼)を作った人のセンスを信じてしまって良いのだろうか。 いつもより弱気になっているせいか、さくさくと判断ができない上に、やはり弱気なせいでワタシの気持ち的には「残しておいた方が・・・」と、ついちまちまと考えてしまうのです。 きょんへの不信もあります。
しかしなぜか。
ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ ぎーこ
その枝をノコギリで落としました。 考えるのをやめて、我がフォースときょんのセンスに従ってみたのでした。
らば。
うん! これはいい!
ヒメシャラや、おまえさん、またステキになったよ! いや、以前と比べると寸づまりで気の毒感は否めないけど。 でも、うん、良くなった。 またきっと美人さんになれるよ(*´∀`*)
家の中からきょんを無言で、しかし満面の笑みで引っぱり出しまして。 ヒメシャラの前に連れていきまして。
「きょんが切ったほうがいいって言った枝、切ったらほら、すごく良くなったよ!」と。 「あーホントだ。良くなったね」 「(にこにこにこにこにこにこ)」 「あーよかった。これでもう、じょりぃに怒られなくて済む」 「ワタシ怒らなかったじゃないのー」 「まあ、確かに怒らなかったけどさー(笑)」
怒らなかったけど、不満のオーラはひしひしと出ていたのねきっと(°▽°) ごめんよ、きょん。
葉っぱが大きくなってきて、最近はまた一段と美人になってまいりました、ヒメシャラ。 とはいえ今でも実はえらく不格好ですが、それでもヒメシャラを見るたびに「ああ・・・(つд-。)」と憂鬱になることはなくなりました。 さらに言えば、きょんがすぱーーーーんっとやっちゃう前よりも、今のほうがよっぽどヒメシャラに愛情を注げているじょりぃであります。
という、結果オーライでめでたしめでたしな今日の日記なんですが。
実は、すぱーーーーーーんっ に気づいてすぐに書いて途中になっていた日記の下書きを見つけたのがきっかけで、今日の日記を書いたんですけどね? その下書き
きょんへの悪口雑言だらけでした。
きょんに言えずにいた分だけ、テキスト上で怒りが爆発していたようです。
アップしなくてよかった。
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