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転校してしまったから、学校に行ってもミヨはいないんだなー。 もう学校なんて行きたくない。
・・・とは思わず、あたりまえのように学校に通うじょりぃだったんですが。 ミヨのいないさびしさというのはとてつもないものがあったんですが、子どもの持つたくましいサバイブ能力により、それはそれこれはこれで「ミヨのいない学校生活」にすぐに馴染みました。 まわりの友人に恵まれていたのと、ワタシの無神経な無邪気さにより、「ミヨが転校したせいで、しばらくひとりぼっちでした」という涙を誘うようなエピソードもなく。 そしてこのころから、「誰とでも仲良くするけど、特定の相手と契りを交わしたようにべったり」なつきあい、というのはワタシはしなくなりました。 ミヨで懲りちゃったから、ってことではなくて、ミヨのように仲良くしたい相手がいなかったからだと思います。
さて。 どこに行っちゃったかわからないミヨでしたが、ミヨが転校してすぐに、ワタシは
「絶対ミヨを捜して、ミヨにまた会う」
と心に決めておりました。 この時点では「どんなに長い年月がかかろうとも!」なんて気負いはもちろんあるはずもなく、すぐに見つけてすぐに会いに行って、「これからも仲良くしようね!」と約束したい、という、ただそれだけでありましたが。
で、ミヨとワタシが別れの挨拶も交わせなかったことにちょびっと責任を感じていた上に、ワタシの「ミヨはどこに越したの?」のしつこすぎる攻撃に遭っていた母は、ミヨの住んでいた町が自分の生家に近かったコネを活用して(たぶん)、ミヨの引っ越し先をおぼろげにですが入手してまいりまして。
「ミヨのお母さんの故郷はヒロ○○なんだって。遠いねえ」と母。
なんで伏せ字になっているかというと、情報を伏せたいわけではなくて、忘れてしまったからなんです。 なにしろほら、ワタシったら子どもだったでしょ?ていうかバカでしょ? 聞いてすぐは「ふーん。ヒロ○○かー」と頭に刻んだつもりだったんですが、数ヶ月したら忘れてしまったんですよ!
数年後に母に「ミヨの引っ越し先ってどこだったっけ?」とたずねてみたのですが、母もアホで
「あれ? 忘れちゃった」
もうこの親子どうにかして。
このように数年経ってから母に「ミヨの引っ越し先ってどこだったっけ?」とたずねることになった理由は、ミヨを捜す機会を得たからでした。 小学校4年生になり、ガールスカウトだったじょりぃは、連盟の主催するキャンプに参加できることになりまして。 そのキャンプは県内のガールスカウトが集まって行うのですが、小4のワタシにとって「県内の見ず知らずの仲間がみんな集まる」というのは、とてつもなくグローバルめいたことだったのです。 ワタシが幼かったということに加え、情報網も交通網も発達していなかった当時は、今よりもずっと日本は大きく広かったように思います。
で、「そんなにいろいろなところから人が集まれば、ミヨのことを知っている人に会えるかもしれない!」と、ワタシの期待は高まったのでした。 そして母に「どこだったっけ?」と聞いてみたら「忘れた」と。
( ´_ゝ`)
でもワタシ「ヒロ」が頭につくことは覚えておったのであります。 遠くで「ヒロ」ってことは、広島県に違いない! と思いこんだ ァ'`,、('∀`) 今考えれば、都市名かもしれないんですよ。弘前かもしれませんし、広瀬市かもしれませんし、なんつーか、「ヒロ」が頭につく地名なんて、町名も加えちゃえば束ねて売るほど数があると思います。 しかし4年生な上にアホだったので「ヒロと言えば広島県」だったんですナ。
ということで、キャンプに行ってからは、話す人話す人に「広島に知り合いいないー?」と聞きまくるじょりぃ。 さらに「ミヨって知り合いいないー?」と。下の名前だけで。苗字がわからないですから。 でもミヨの名前って、すごくよくある名前なので、これはホントにアテにならない。 「いるけど・・・でも転校してきた子じゃないよー」という返事がほとんど。 それでも、いったい何人に聞いて回ったろう。すごく変な子だったと思いますワタシ。
で、そのキャンプの収穫というのは、結局「飯ごう炊飯習得」「キャンプファイヤーってすごい!」「トイレのないところでのトイレの作り方と用の足し方」「道しるべの作り方」程度という、ガールスカウト的には成功でもミヨ的には収穫ゼロというものでした。
家に帰って、キャンプの報告と一緒に、母に「ミヨを知ってる人に会えなかった・・・(´・ω・`)」と話しましたら、
「おかあさん、一つ思い出したんだけどさ、ミヨのお母さんの旧姓、□□って聞いたよ。もしかしたら今その苗字かも」と母。
すーごーいー情ーーーーー報ーーーーー!
手がかりが増えた! もしかして再婚してたら苗字変わってるけど・・・と母が念を押しましたが、今まで「ヒロ」と「ミヨ」しか手がかりがなかったのですから、これは大きい情報で、ワタシは小躍りいたしました。
しかしまた、この苗字がありふれてましてね( ´_ゝ`) そして余談ですが、ナナの結婚後の苗字がこの□□で、知ったときは「すごい偶然!」となんだか嬉しくなったりしました。 ロマンチッ子じょりぃはこーゆー偶然が大好きなんです。
苗字がわかって喜んだものの(それも現在本当にソレなのか怪しいものでしたが)、ガールスカウトのキャンプで収穫がゼロだったというのは、子どもじょりぃにはかなりションボリな出来事でありました。 子供な上に単純バカでしたから、「キャンプに行けば誰か一人くらいはミヨを知っている人に会えるだろう(・∀・)」と思いこんでいたのでありますよ。
そんなわけで、「もしかしたら、ミヨにはもう会えないのかもな・・・」なんてことも思い始めた夏休みのある日。 ワタシは「アリの巣の終点を見つける」という目標を達成すべく、その日は午後からずっと庭に穴を掘りまくっておりました。 女王アリというのを見てみたい。アリの巣の終点を見てみたい。というわけわからない衝動に駆られ、小さいシャベルでザクザクと庭を穴だらけにしておりまして。 でも、夕方になっても終点は見つからず。(何をもって終点だと思っていたのかワタシは) アリの卵がたっぷり貯蔵してあるところは見つけて、もう少しかもーと掘ってみるものの、卵をつぶすのがなんだかしのびなくなってきましてね。気持ちが折れた。 終点、見つからないのかー。 女王アリも見つけられなかった・・・。 と思ったら、見つけられないミヨのことも思い出してしまって、夏の夕暮れにさびしさもひとしおです。
ふと顔を上げましたら、隣家との境の垣根の隅に、白い大きな朝顔が咲いてましてね。 毎年咲いていたはずなんですが、子どもって花にはあまり興味なくないですか。ていうか、ワタシ、虫ばかり見ていたもので。 で、なんで朝顔なのに、この時間に咲いてるんだろー?と思ったんですよ。 白くてとてもキレイに咲いていたんです。
で、母親をつかまえて、「これ、朝顔なのに夕方咲くの?」と聞いてみましたら 「夕顔って言うんだよ。これは夕方咲いて、朝にはしぼんじゃうの」と。
それ聞いて、なぜなのかワタシったら、無性にさびしくなっちゃいましてね。 今ならそれはそれで「なんだかロマンチック☆」なんて思いそうなもんですが。 そのときはさびしくなっちゃったんです。夕方咲いて、朝しぼむ、というのが。
ワタシがこのときに見た夕顔は、やけに大きかったように思います。 そして、大きいせいなのか、少し下を向いて咲いていました。 それが転校の日のミヨの姿に重なりました。
ミヨの70%の笑顔よりも、だんだん転校のときの下を向いたミヨの顔の印象の方が強くなってきていたこのころのワタシでありました。 もう一度、ミヨの笑顔が見たい。 会って、話をしたい。
そしてワタシは「やっぱり絶対ミヨを捜そう」と思い直したのでした。単純。
ちなみに、今調べてみたら、ここで言っている夕顔、正確には「ヨルガオ」みたいですね。 一般にはヨルガオも夕顔と呼ばれているらしいですが。
そしてそれからは、ワタシのしつこさが何年にも渡って発揮されたわけです。 とにかく、誰かと知り合いになれば「こういう、ミヨって子知らない?」と聞くわけですよ。 あとは「広島に親戚か知り合いいない?」とかですね。たいてい「なんで?」とビックリされましたが。
そして、ミヨのその後を知っている、という人には会えないまま、ワタシは中学生に。
中学に入って1年の夏過ぎあたりから、ワタシはナナに夢中になりましてね。 それまでにも、幼いながらも恋のようなことはしたことがありましたが、ナナに対するそれは全然違うものだったので、その気持ちに夢中になり、ミヨへの執着心はだいぶ薄れてきました。 それでも、部活で県大会、なんてときには、他チームの人と話す機会があって、その人が気さくな人ならば「ミヨって子・・・」とやらかしておりました。 高校進学も、ワタシにとってはミヨに関する情報を得る楽しみでもありました。 が、もう昔のように無邪気にアホのように聞くことはできず。 それでも聞けそうな人には聞いてましたけど。
不思議なのは、ミヨがいた当時の同級生たちに、ワタシはこのようにミヨを捜し続けている、ということをなんとなく話せずにいることです。 今でも濃いつきあいを続けている高校ソフト部の仲間の中に、当時の同級生もいるんですが、ワタシがこんなにミヨに執着していることは知らないはずです。 てか、ミヨのことを覚えていることすらないかもです。 ミヨが転校してすぐのときも、ワタシはあまりさびしそうにはせず、ミヨの話題もほとんど出しませんでした。 今思うと「なんでかな?」と不思議なのですが、よくわからないなりに、傷ついていたのかもしれません。 傷ついたので、かえって平気なフリをしたのかもしれません。子どもなりに。
そして大人になる頃には「もう会えないんだろうな」と思うようになり、ミヨの存在はワタシの中で薄くなっていきました。 捜そうにも手がかりがありませんし。 ということもわかるようになってしまいました。 で、実際、つい最近まで、もうほとんどミヨのことを考えることはなくなっていたのです。
が。
先日調べ物をしておりましたら、偶然夕顔を見つけましてね。 で、「ああ、ワタシ、中途半端なままにしちゃってることがあったっけなー」と思い出してしまったのでした。 ミヨはしあわせにしているのだろうか。 ワタシのことなんて忘れちゃってるのかなあ。 ワタシはいつから、ミヨを捜すのをあきらめちゃったんだろう。
なんか、このまま終わりにしたくないな、と思いました。 会えなくてもいいや。 ワタシ、ずっとこれからも捜そう。 捜していれば、会いたいと思っていれば、いつかは会えるかも。 ていうか、思わなくなったら会えないやー。
例えば道でバッタリミヨと会う偶然に恵まれても、小学校2年生のときの顔なんて今と全然違いますから、きっとお互いわからないです。 そしてワタシには「ミヨ」という名前とかつてあの町に住んでいたということ、正しいかどうかもわからないミヨのお母さんの旧姓、それと「ヒロ」のつく地名しか手がかりがありません。 なんか、全然会える気しないんですけど。捜しようがあるのかしら。 そしてミヨはワタシのことなんて、もうすっかり忘れている可能性が大ですが。 向こうがワタシに会いたければ比較的簡単にコンタクトが取れるはずですが、今までそれがないということは、ミヨは特別ワタシに会いたいとは思ってないってことですよねぇ。
それでもワタシはやっぱりミヨに会いたいやー。 会ってどうするわけでもありませんが。 できればまた友情を復活させたい。
しあわせでいてくれるといいなあ。 ワタシのこと覚えていてくれてるとうれしいなあ。
という、またひとつ、「じょりぃってホントストーカーっぽくて執念深くて気味悪い」という、長いお話でありました。
まあ、理想としては、うまいこと再会したみたらミヨも実はレズで(ホントにしょーもない妄想なので以下略
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