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2007年12月10日(月) |
悪いことをしてしまった |
ほとんどどうでもよい思い出なのに、折につけ思い出すことってありませんか。 ということを今日また思い出してしまったので、どうでもよい思い出でスミマセンが遠い目をして語らせていただこうと思います。
あれはワタシが確か、小学校3年生のとき。 今の末子ちゃんと同い年ですか。まだ小さいですね。 当時は一人前なつもりだったんですが。
母の幼なじみで、ずっと友だちであるところのサエコおばさんのところへ遊びに行ったのです。 母とふたりで。 あのときなぜ妹が一緒でなかったのかよく覚えていないんですが。 とにかく、母とふたりでサエコおばさんの家へ遊びに行きました。夜でした。 今考えると、何か用事があっておじゃましたのかもしれません。それこそどうでもいい話ですが。
サエコおばさんと母は幼なじみではあるんですが、母はサエコおぼさんをあまりよく思っていないところもあったりしました。 ということは、割と大人になってから知ったんですが。 どういうところが好きでなかったのかというと
「サエコちゃんは、いつも文句ばっかり言ってる」
というところらしいです。 夫の文句を言い、息子の文句を言い、親の文句を言い、周りの人の文句をいい、自分は見た目だけにこだわって整形を繰り返している、と。 整形については個人の自由なんじゃないかと口を挟んでみましたら
「そりゃ、お金があるならね」と。
どうも、借金したり、離婚後につきあっているいろんな男性にお金を出させたりしてお直しをしていたらしく。 そういうところもイヤ、とまあ、そーゆーことには潔癖性な母らしい意見であります。
サエコおばさんはサエコおばさんで「さっちゃん(母です)気取ってていけすかない」と思っていたらしく。 なぜ知っているかと言えば、やはり割と大人になってから、サエコおばさんが自分でワタシにそう教えてくれたからです。 その話をしてくれたときに 「気取ってない?」と娘のワタシに素直に聞いてくるので 「気取ってますよね」とワタシも素直に答えておきました。
ちなみにナナの子どもたちは、ワタシの母を「さっちゃん」と呼びます。 どうでもいいですかそうですか。でもかわいいでしょ(*´∀`*)メローン
サエコおばさんは「さっちゃんは自分がしあわせだから、不幸な人間の気持ちがわからない」って言ってました。 さっちゃんには確かにそういうところがあるかもしれません。 しかしサエコおばさんが母と同じ立場でも、やっぱりきっちり文句を言っていたであろうことは確実です。 とりあえず、娘がレズだって知ったら、自分の知り合い全部に愚痴って、ワタシったらものすごいカムアウト状態になっていたでしょう。
このように、問題はいろいろある人ですが、ワタシはサエコおばさん、けっこう好きなんです。 トラブルメーカーで話題に事欠きませんし、思ってることを口にそのまま出しては失敗し、安易に行動しては失敗し、人生の失敗がそのまま刻まれた顔は、もともとキレイだった顔立ちにさらに若々しく手を加えたとしても隠すことはできず、そういう愚かなところがなんだかかわいらしい人なのであります。 人の人生なのに失敗失敗と連呼して失礼な話ですが。
まあ、自分の友だちにって考えると、ちょっと、その、アレですが。 でももしそうなったとしたら、母のように「まったくサエコちゃんは!」って言いながらも放っておけなくて面倒見ちゃうんでしょうけど。 そんな具合に、得してるんだか損してるんだかよくわからないキャラのサエコおばさん。
サエコおばさんの説明で字数を稼いでしまいました。 もっともっと話したい、ネタは尽きない、それがサエコおばさんの魅力であります。 でもホント、美人なんですよ。スタイルも良かった。(だから好きなのかしらワタシ)
で、サエコおばさんの家におじゃました、小学校3年のときの話に戻ります。 この日はサエコおばさんひとりで家におりまして、リビングに通され、お茶やお茶菓子などをいただきまして。 夕飯後にうかがったので、お腹がすいていなかったワタシはお菓子には手をつけず、お茶飲んでいてもつまらないし、大人の話はもう少し長引きそう。 話をしているのに「テレビつけていーい?」なんて言えば、気取ったさっちゃんに怒られます。 いえ、気取ってるから怒るわけではないんですが。母はテレビが好きではありません。
「眠くなっちゃった」と言ってみました。 「もうちょっとだから待ってて」と母。
途中、母がトイレに立ちまして。 サエコおばさんとふたりきりに。
「じょりぃちゃん、相変わらず勉強好きなの?」とサエコおばさん。 「うん、好き」 ああ、ワタシったらずっとそのままでいてくれればよかったのに。 「最近何覚えた?」 「あのね、冷たい水で顔を洗うと、目が覚めるんだって」
ちょっと見当違いな返事をする9歳のじょりぃ。 眠かったのでそれに関連したことになったんじゃないかと思うんですが。 でもこれを母から教わったばかりなのは本当でした。 教わるってほどのものでもありませんが、ワタシにとっては今までの体験と理屈が一体化したのがすごくうれしかったので印象に残っていたのです。
で、ワタシはというか子どもってそんなもんだと思いますが、勝手に理屈をつなげたりするではないですか。 自分の知っている知識だけを関連づけて。 マシマロで書きましたが、はつかねずみの「はつか」が「白い」って意味だと勝手に考えたように、「冷たい水で顔を洗うと目が覚める」と教えてもらったときも、勝手に関連づけて考えていたことがあって、それをサエコおばさんに得意気に披露しました。
「だからね、熱いお湯で顔を洗うと、眠くなるんだよ(・∀・)」
冷たい=目が覚める、であるならば、熱い=眠くなる だと解釈したのであります。勝手に。
「そんなはずあるわけないでしょ(笑)」 「あるもん」 「誰に教わったの?」 「おかあさん」
母から教わったのは「冷たい水で顔を洗うと…」だけだったはずなんですが、ついつい「おかあさん」と言ってしまったじょりぃ9歳。
そこへ母がトイレから戻ってきまして。
「さっちゃん、あんた子どもに随分いい加減なこと教えるんだねー」と、サエコおばさん。 「え?」
ここでサエコおばさんが話の流れを再現。さらに「ウソ教えちゃダメじゃん(笑)」と。 小さなじょりぃは「どうしよう、おかあさんにうそつきって思われちゃう。おかあさんに恥をかかせちゃう」と、おどおどべそべそした気持ちに。
しかし話を聞いた母は 「あははははは。なるほどね。じょりぃらしいね。今度眠くないときにお湯で試してみようね」と言ってくれまして。
ものすごくホッしたと同時に、子どもの身勝手さにじょりぃの身勝手さが加わり、なんだか自分と母をバカにした(ように感じた)サエコおばさんが憎らしくなってしまいまして。 「もう帰ろうよー」と母に小さく駄々。 「もうちょっとだから、待ってね」と母。 「じゃあ、てっちゃんの部屋見てみていーい?」とサエコおばさんに。 「いいよ」とサエコおばさん。
てっちゃんというのは、ワタシより4つ年上・中1の、サエコおばさんの一人息子です。 てっちゃんはこの日、塾だか遊びに行ってるかで家におりませんでした。 ワタシは子どもの頃から男の子の好きなモノたちが好きだったので、男の子の部屋に遊びに行くのが大好きでした。 たいていワタシの欲しいモノたちが、ぞんざいに置いてあるからです。
てっちゃんの部屋に入り、ぐるりと部屋を見回してみましたが、てっちゃんは几帳面な性格らしく、無駄なものは置いておらず殺風景でございました。 鉄砲とかロボットとかが落ちているのを期待していたワタシは「つまんないのー」と思い、てっちゃんの机の上の本棚を眺めまして。 本が大好きだったワタシは、大人の話が済むまで何か読んでいよー、と思ったのでした。 何借りようかなーと背表紙を見ておりましたら。
おや。
ひとつだけ、真っ白な背表紙の本が。 なんだろーこれ。ナゾっぽーい。わくわく。 と、その本を取り出しましたら、なんのこたーない、本のカバーが裏返しになっていただけでした。
変わったことするなーと思いつつ、中を見てみたらマンガでした。 わーいマンガだー、ということで、こいつを読むことに決め、ゴキゲンに読み進めましたら。
なんか、おもしろくない。 よく、意味がわかんない。 でもなんか、ミョーな気持ち。ヤな気分。 これ、見てていいのかな。
大人なみなさまは「カバーを裏返してある本」と聞いただけで「まあ!それはそっとしておいてあげなさいな」と察しがついたことと思いますが。 ええ、エロマンガだったんです。 でもワタシは当時小学3年生。 エロのエの字もわかりません。 エロと言ったら「ま●こ」「ち●こ」と口に出してはしゃぐ男子、という程度のものです。 それらはもう「うんこ」とも同列という程度のソレであります。
♪ウルトラマンのこーどーもー こーどーもー こーどーもー ♪ウルトラマンのこーどーもー ウールトーラま●こー (ロンドン橋のメロディで)
なんて替え歌がエロの頂点、という、そんなエロ度。 アルゼンチンのこどもバージョンもありました。 なんなんですかねアルゼンチンのこどもって。意味不明。 最後が「ちん」ならなんでもよかったんでしょうけど。
「こんち たれおし って逆さから言ってみな?!」
なんて問答がエロのチョモランマ。 そんなエロ度。 そしてこれもまったくの意味不明。たれおし ってなんですか。 このへんでやめないと、懐かしい「こどもエロ」話がキリなく出てきちゃうのでそろそろやめますが。
で、何もわからないながらも「これはワタシが読んではいけない本なのでは」と思ったじょりぃ9歳。 不思議なもので、子どもって割とそういう禁忌に敏感ではないですか? なんだか気持ち悪い。もやもやする。怖い。 これはきっと、いけないものだ。 そして、カバーを裏返しにしていたということは、てっちゃんもそれを知ってるんだ。 知ってて読んでるんだ。
と幼い頭でいっしょーけんめー考えたじょりぃ。
で、幼いとはいえ、いつものじょりぃなら「ならばヒミツにしておこーっと。あとでてっちゃんに教えてもらうんだー」で済ませるスマートさは持ち合わせていたんですが。
ワタシはわだかまっていたのです。 さきほど、サエコおばさんにイジワルされたことに。 サエコおばさんはイジワルしたつもりはなかったんでしょうけど、ワタシは母に恥をかかせてしまったことや、ワタシ自身が恥をかかされたことに対して(勝手にそう思っただけなんですが)わだかまっていたのであります。
このヒミツをサエコおばさんが知ったら、どう思うんだろう。 もしかして、さっきのおかあさんより恥ずかしい思いをするんではなかろうか。(母は別に恥ずかしくも何ともなかったというのに)
復讐。 それは幼いじょりぃの復讐でありましたよ。 目には目をの、恐るべし幼じょりぃ。
しかし、そこにてっちゃんの顔がよぎる。 てっちゃん、後で怒られたりするんだろうか。 ヒミツにしていたのに、それをバラしちゃっていいんだろうか。 どうしよう。
が、ここで自分に都合良く、てっちゃんにイジワルされたときのこととか必死に思い出してみたりして「ま、いっか」と思うおそるべし幼じょりぃ。 ちっちゃな頃から悪ガキで15で不良と呼ばれたりはしませんが、まあ、ちっちゃな頃からたちが悪かったんですね! とにかくそのときは、サエコおばさんの鼻をあかしてやりたくてたまらなかったんですよ。
で、母とサエコおばさんが話しているところへてこてこと歩いていきました。 白い背表紙のマンガ持って。
「ねえ、これ、何の本ー?」
サエコおばさんに差し出すじょりぃ。悪魔です。ごめん、てっちゃん。
「ん?」と何の疑問もなく受け取ってくれるサエコおばさん。しめしめ。
笑顔でぱらぱらと本をめくるサエコおばさんの顔色が変わりました。 そりゃあもう、急変。
「・・・これ、どこにあったの?」 「てっちゃんの机の本棚」 「・・・・・・」
この時点で、こりゃヤバイことしたかも!と後悔し始めるじょりぃ。 だってサエコおばさんの顔、すごく怖い!
若い人にはピンと来ないかもしれませんが。 今と違って、世の中に流れる情報というのはものすごく限られたものでして。 特に性に関しては非常に閉ざされておりました。たぶん。当時ワタシもちっちゃかったからアレですけども。 エロ本の類を買うには、本屋さんの前に設置されている、それ専用の自販機くらいしか手段がなかったんですよ。たぶん。 本屋さんの中にも売っていたとは思いますが。 しかも当時「白いポスト」とか設置されてましてね。たぶん。 その手の本やマンガは撤廃しよう!みたいな感じで、そこに入れるように、みたいな風潮もあったりして。たぶん。 要するに、その手のマンガを、中学1年生が持っているというのは、こりゃーもーありえない!という感じだったんですよ。 そんな中、小3のじょりぃの手により、中1の息子のエロエロしいマンガが母親に手渡されてしまったわけです。
サエコおばさんは、マンガを読みながら無言。顔は怒ってます。
「何の本?」と母がサエコおばさんに質問。 当然です。 「そういう本だよ!」とサエコおばさん。 「ちょっと見せて」 「見なくたってわかるでしょ。こんなのテツが読んでるなんて、見せたくないし」 「でもじょりぃが読んじゃったなら、何読んだのか知っておかないと」 「・・・・・・・」
黙って母にマンガを手渡すサエコおばさん。 母、ぱらぱらとめくって、「ああ」 そして沈黙。
こ、こ、これは。 ワタシったら、ホントにまずいことをしてしまったのかも。 既に後悔。 しかしもう遅い。
場の空気が悪くなったので、用事も済んだらしい母とワタシはおいとますることに。 なんだかよくわからないけど、幼じょりぃ、罪悪感。 てっちゃん、ひどく怒られるんだろうか・・・。
帰りの車の中で。 「あれって何の本?」とワタシ。 「子どもは読んじゃいけない本だったね」 「てっちゃん怒られるの?」 「たぶんねー」 「どうしよう」 「今度から、本人がいないときは、勝手に部屋のものいじらないようにしようね」 「うん」 「あれ、どれくらい読んだの?」 「ちょっとだけ。途中で意味がわからないから持って行ったの」 「そう」
それからしばらくして、サエコおばさんが家に遊びに来まして。 母が「あのあとどうなった?」みたいなことを聞きましたら
「おとうさんに話したら激怒して、ものすごい暴力沙汰になった」と。
((((;゚Д゚)))ど、どうしよう・・・・
えらい乱闘騒ぎになって、そのあとてっちゃんは家を飛び出して帰ってこなかったそうです。プチ☆家出。 もともとてっちゃんのお父さんは、すぐに暴力を振るう人だったんですが。(サエコおばさんもよく顔に痣をこしらえてました)
ワタシ、大変なことをしてしまった。
怖くて、その後、てっちゃんには会えませんでした。 ワタシはてっちゃんに対して二重にいけないことをしてしまったんですもの。 まず、勝手に部屋のものをいじって、本を読んでしまった。(しかもいちばん見られたくなかった本だ) そして「怒られるだろうな」とわかっていながら、サエコおばさんに言いつけてしまった。
許してもらえるはずがありません。 と思いました。当時。 実際はどうだったかわかりませんけども。
とまあ、てっちゃんにとっては割と一大事ではありつつも、ワタシにとってはどちらかというとどうでもいい話(っていったらあんまりですが)なんですが、冷たい水で顔を洗ったときなどにたまに
「ああ、あのときは悪いことをしてしまった・・・」
と思い出したりしてしまうわけです。 ホントにごめんね、てっちゃん。 そして、サエコおばさん。
ちなみに、お湯で顔を洗っても眠くはならない、ということはその後すぐに学習しました。
さらにちなみに、てっちゃんは今ではヤクザになってます(・∀・) ドウシヨー
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