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2007年06月14日(木) アフリカと鼻毛の幸せの関係

夕方の5時頃だったでしょうか。
きょんとなっちゃんと3人して、庭に犬を放して雑談をしていたら、家の前を怪しげな男性がうろうろと。

この日はその前にものすごーーーーーーく怪しい自称「NGO団体の者」が、アフリカの恵まれない子供のためにコーヒー買ってください、と訪ねてきたところだったので、「さっき既に仲間のかたが来ましたよ」と声をかけようと思いましたら。

・・・と、その男性の話の前に、その「NGO団体の者」の話をさせてくださいよ!

玄関チャイムが鳴ったので出てみましたら、お風呂に入っていなそうな、不潔っぽい女性が立っておりまして。
まずまっ先に目がいってしまったのが、彼女の鼻毛でした。
束になって立派な長さで鼻から突き出ていたんですよ。
で、何か自分でももぞもぞするらしく、しきりにくしゃみしながらもぞもぞの元を断つべく鼻をこすっているんですがね。

「いや、原因は鼻毛ですから、こすったくらいではとても。すごい量ですし」

って言って上げるのが親切なのかどうなのか、割とマジメに悩みました。
それくらいすごかったんです。
例えばどこかでトイレに入ったときにふと目の前の鏡を視線がよぎった、ってくらいでも「あらあたしったら!」と十分気付ける立派なものだったんです。
朝晩の歯磨きしてたって気付くと思います。
「あれ?・・・もしかして・・・」って域ではないんですよ全然。
自分でも「うぉ!」と小声で叫んでびっくりするくらいの、それはもう立派な量の鼻毛。
「鼻から小枝が?!」というくらい。大袈裟じゃないんですってば。

なのに本人が気付いていないということは、この人は鏡をまったく見ないで生活している人なんだな、と思いまして。
鏡をまったく見ないって、割と難しいと思うんです。普通に生活していれば。

その時点で、かなりその人が怖くなったんですわワタシ。

あるいは鏡を見て、束になって突き出ている鼻毛を見ても気にしないのかもしれませんが。
それもまた違う意味でかなり怖いですし。

で、さらに上に視線を上げてその人の目を見てみましたら、より一層の恐怖に陥るワタシ。

だって、どこも見てない。
ワタシを見つめてはいるんですが、それでもどこも見ていないんです。
そしてどこも見ていないのに、何か、熱に浮かれたような、憑かれたような目をしているんです。
なのに生気はまるで感じられず。

そしてべらべらと喋ってます。
「アフリカの恵まれない子供たちのために、学べる環境を作るために働いているNGOです」だそうです。
「これが証明書です」と、そのNGOのIDみたいなものを見せてくれたんですが。その人の顔写真入りの。

その写真見たら、普通 というか、割ときれいな人だったんです。
このときはよれっよれのシャツ(しかも洗ってなさそう)着てたんですが、IDの写真のその人は、スッとした黒のタートルネックのセーターを着て、シンプルなお化粧をして、知的なまっすぐな目でカメラを見つめております。

・・・このNGOの実態・本体が何なのかワタシにはわかりませんが、活動を通じてこの人が壊れていったんだろうなというのはひしひしと伝わってきましてね。(勝手にストーリーを展開中のワタシの脳内)
あるいは単に、もともとの資質による、精神病疾患とかかもしれませんが。
とにかく怖い。

で、そのアフリカやらにお金を送るために、コーヒー豆を売って歩いているらしいんですよ。
なんかヘンーなパッケージに入った、味見をするまでもなくまずそうなコーヒーを、人道的見地に立って、ワタシに買えと言っています。

もうワタシ、怖いもんだから早く帰って欲しくてですね。
買えば帰ってくれるなら買っちゃいますよとも思ったんですが、
でもこのコーヒーは飲みたくないんですよ。
コーヒーは大好きなんですけどね。
こういう思いこみでモノ言ってはいけないというのはわかっているんですが、実際、コーヒー豆の他に何が入っているかわかったもんじゃないって思っちゃったわけですよこの人の目と鼻毛を見て。

でもまあ、アフリカの子どもたちの役に立つのであれば、お金の援助をするのはやぶさかではありません。
ホントにアフリカにお金が渡るのか、なんともギモンというかあからさまに怪しいですが、まあ、それならそれでいいやという程度の寄付をしてもう帰っていただきたいと。
この人から発せられる禍々しい気から解放されたい。
いくら払えばいいのかなーなんて考えていたら、事務所の電話が鳴りまして。

ここまででかーなーりー話し込まれてしまっていたので、なっちゃんが気を利かせて、自分の携帯から事務所に電話して、リンリンと音を鳴らしてくれたのであります。
それを察知したじょりぃは

「あ、電話鳴ってるんで、すみませんが」
と鼻毛さんに言いましたら
「はい」
と答えるだけで、動こうとしません。
「いやあの、電話出なきゃならないんで、また」 となおもじょりぃ。
「はい、どうぞ」 <笑顔ではなく、無表情に。そして不動。

( ・o・;)

なんてやってるうちに留守電に切り替わっちゃいましてね。
留守電に切り替わった途端、また話し始める鼻毛。

怖いよう(´;ω;)

お金。
とにかく寄付しちゃって、帰ってもらおう。そしてコーヒーは断ろう。
アフリカの子どもたちよ、じょりたんキミたちにお金送るからね!

「あー、で、そのコーヒーっていくらなんですか?」

まあしょせん、たかがコーヒー代ですからね。買うよ!お金ないけど!

「はい。このサンプルで、1クラス40名がうんたらかんたらで(略)1万2千円です」
「買えません」
 即答。何その大金。

「そうですか?」と鼻毛。
「無理です。もっと小口の何かはないんですか?」
「はい。この小さい一箱でしたら、3人がうんたらで千円です」

千円なら鼻毛のお祓い賃と思えば安いやと考えて「あー、じゃあ・・・」と言いかけたところでまた電話がリンリンリン。
しかしまだ動かぬ鼻毛。

そうしましたらなっちゃんが「電話です。お願いします」と。またもや助け船。

「あの、ホントに電話出なきゃならないんで。仕事中なんですよ」とワタシ。
「そうですか」しかしまだ動かぬ鼻毛。
「それ、買えません。ごめんなさい。それじゃ」
「そうですか。では」

ばたん。

・・・・・・・・・・・。

「行った?」と小声でなっちゃん。
「どうかな・・・」と小声でワタシ。

応接室の窓からこっそり玄関をうかがうと。

玄関の前で立って待ってる!!!Σ (゚Д゚;)

怖いーーーーーー・゜・(ノД`)・゜・。

「や、ヤバイよ!待ってるよ!」と小声でワタシ。
「あー、もう、あたしが出てって、いらないから帰ってくださいって言ってあげる」
「ダメ。それはダメ。なっちゃんは出ちゃダメ」
「大丈夫だよー」
「いや、あの人の気に当たらないほうがいいよマジで」
「そうなの?」
「うん。ヘンだもんあの人。だって、鼻毛がさー」

と、小声で鼻毛を図解するじょりぃ。

「それは確かにヘンだ」と、鼻毛の図解を見て、鼻毛の説得をあきらめてくれたなっちゃん。

しばらくしたら鼻毛さんはいなくなったんですが、窓から見えないようにしゃがんで隠れて待っていたりしたらどうしようかと、本気で怖かったです。
何か奇妙な姿勢と珍妙な歩き方で、わが家の前をてっとろてっとろと歩いて次の狩り場へ移動したようです。

本当にアフリカに渡るはずだったのなら、千円ごめんよ、アフリカの子どもたち。
別の機会に送るから、許しておくれ。
怪しいコーヒー飲んだせいで、うつろな瞳で鼻毛をのばすわけには、まだいかないんだワタシ。

あら。
肝心な怪しい男性の話をする前に、鼻毛さんの話で日記一日分終わってしまいました。スミマセン。


かつての鼻毛さんの、タートルネックの知的な表情が頭に焼き付いております。
今の鼻毛不潔うつろ顔も、ニースの浜辺でコパトーン塗ってがっつり焼いたみたいに焼きついているわけですが。

今のワタシには、地球規模の問題であるアフリカの子どもたちのことよりも、鼻毛とタートルネックの間に横たわる、深くて暗い闇の力のほうが気になっているのであります。
明日にはアフリカのほうが大事になってると思いますが。

鼻毛さん。
アフリカの子どもたちを幸せにしたいのならば、まずはあなたから幸せになるべきだと思うですよ。
瞳に生気を取り戻すのだ。そして鏡を見るのだ。
今のままでは、コーヒーは、まず売れん。


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