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2007年04月21日(土) 二番目に長い片想いの話・〆

学校を卒業したあと、田舎を嫌がっていたユーコは東京に出まして。
ワタシは学生時代をモラトリアムに過ごしたあと、地元に就職。
今までよりさらにユーコとは縁遠くなりました。

東京に出たユーコはハジけまして、部活仲間のスウやミアとつるんで(このふたりは大学も東京でした)、「男の子」との遊びをずいぶん謳歌していたみたいです。
それを聞いて「ふん」と思うワタシ。
ワタシに対してどういう気持ちだったのかはわかりませんが、ユーコはもともとはすごく「上級の普通」を愛する娘で、「かわいいお嫁さん」になるのが夢ー、なんて女の子でしたから。
そもそも居場所が違うのは昔からわかってはいたのです。
ワタシもユーコを熱烈に思い詰めているような状況ではなくなっていたので、それはそれ、と割り切って考えておりました。
そもそもこのころって、「ワタシとずっと一緒にいたいと思ってくれる女の子なんているはずがない」と思っておりましたし。
ユーコのような態度が、ワタシまわりのセオリーなんだろうと思っていました。
そんなこともあり、ワタシにとって恋愛というのは、常に刹那なものであったのです。
当たり前のように好きになって、当たり前のように一生の約束ができるヘテロ社会をもっとも憎んでいたのもこのころでした。
まだネットもやっておらず、セクシャリティ的に孤独感が強かったワタシには、世の中に対して、逆恨み的な敵意と防衛心しかなかったのであります。
世の中に存在するであろうレズビアンたちですら、ワタシにとっては別の世界の人間で仲間だなんてとても思えませんでした。
唯一、バイセクシャルという存在だけは、なんだか親近感が持てておりましたが。
セクのことをちゃんとわかっていなかった頃から、バイの持つ「くくりのなさ」が感覚的に居心地が良かったのでありました。って、話それてますね。

とまあ、それらに加えてワタシもまだ若くて未熟だったし、ワタシにとって世の中には敵か味方しかいなくて、そして自らの敵意ゆえ、世の中は敵ばかりでございました。
その「敵」となじみまくって浮かれているユーコが憎たらしくもありました。

就職して最初のお正月休み。
細かいことは覚えていないのですが、ワタシはユーコとふたりで会うことになりまして。
そして会ったら会ったで、なんだかまた「そんなようなこと」になりまして。
なんなんだろうなーと思いつつも、まあこれはこれでいいか、とも思ったりもして。
東京で男の子と遊びまくってるユーコが、まだワタシに会ってもそういう気持ちになるということが、ワタシにとっては自信を回復させるような劣等感を刺激されるような、アンビバレンスなフクザツな気持ちではありましたが。

フクザツではありましたが。
昔遠くから憧れていた女の子と、今でもこうしてたまに会って、「なんとなく特別な関係のふたり」というスタンスって割といいんじゃないの?と思うようになっていたのです。
お互いがお互いに都合がいいというか。自由ですし。縛られませんし。
無責任にドキドキできる時間が持てるのは、何にせよ楽しいですし。

ユーコにしてみたら、たぶん、ワタシといると「特別扱いされる自分」が確認できる嬉しさがあったんじゃないかなーと思います。
日常で、「あたしってつまんないヤツだ」と思うこともあったでしょうし(そういう自信のなさはいつもある子でした)、周りの人間の中で埋もれてしまう平凡な自分にイラついてもいたでしょうし。自信はなくても自意識は強い子でしたから。

そんな中で、ユーコから見ればワタシという存在は「たくさんいる中から自分を見つけて声をかけてきてくれた人」であり、「ずっと好きで特別扱いしてくれる人」であり、「求めればいつでも受け入れてくれる人」であったわけです。
ワタシといると自信が回復できたり、庶民から姫に変われるような満足感があったのではないかと。

それにしても。
かつてもじもじと文通を申し込んだ、そしてそれにビックリして走って逃げたあのピュアなふたりはどこへ(°▽°)クドイケド


そうこうしているうちに、ワタシはきょんとつきあうことになります。
きょんは今までつきあった女の子たちと違って「いつかは離れなきゃならない」という考えではなく、
「お互い好きでいる限り、一緒にい続けるのはあたりまえ」と、何の気負いもなく思ってくれた初めての人でした。
ワタシはそれを知ったときはまずビックリし、そして感激し、「もう浮気なんてしない」と心に決めました。
というか、フラフラする必要がなくなったのです。
さびしくならないように、常に「でもこの人がいるもんね」と思うために「他の人」を追いかけていなくていいのです。
ひとりぼっちと思うのが怖いからとか、自分が傷つかないようにするためにという理由で、見当違いの復讐をするような気持ちで誰かを傷つけなくても良くなったのです。
ワタシは何かの呪縛から解放されました。

・・・・あんたそれ実行できてないじゃん!と怒られそうですが!
でも、それ以前とそれ以降では、ワタシ全然違うんですよ!
昔は「好み!」「好き!」と思った相手は、自分に恋人がいようが相手に恋人がいようがなんだろうが、誰も彼も自分に振り向かせて「(ひとりよがりな)自分のもの」(この「自分のもの」という考えがそもそも歪んでます)という風にしなければ気が済まなかったワタシだったんですが、もう不用意にきょんのことも違う相手のことも傷つけるような行動はすまい、と心に決め、そしてそれは割と守られていると思います。
他人の判断でなく、ワタシの判断によるものなので、点は甘いかもしれませんがー(°▽°)

あ。ナナのことは(もごもご・・・


で、そんな心持ちになって間もないじょりぃの元に。
「帰省してるから会わない? 初詣行きたいから連れてって」と、ユーコから連絡が来ました。

当時ワタシは一人暮らしをしておりまして。お正月休みだったのでヒマを持て余しておりました。
「いいよ」と返事をし、初詣行ったりドライブしたあとにワタシの部屋でお茶しまして。

一緒にテレビ見たりビデオ見たりして。
「今、この人とつきあってるんだー」と、きょんの写真を見せたりして。
へー、そうなんだー、と、ユーコもなんでもない感じで適当に相手をしてくれ。

しばらくだらだらと時間を過ごしまして。

そうしたらユーコが

「今日は何もなし?」と。

なんのことやら、という感じですが、なんのことかはすぐわかりまして。

「そういうの、もうやめるんだ」とワタシ。
「・・・・」
「ユーコに対する気持ちが変わったわけじゃないんだけど。
 でも、きょんに後ろめたいこと、したくないんだ」
「そっか」
「ユーコはワタシのこと好きなわけじゃないでしょ?」
「・・・よくわかんない」
「そうか」
「うん」

気まずい空気。

でもお互い気にしてないことにして、「じゃあね」「またね」と普通に解散して。


それが、ワタシが個人的にユーコに会った最後になります。
その1〜2年後に、他の友だちも交えて20分ほど会ったことがありましたが、ほとんど話をしませんでした。
そしてそれ以降はまったく会っておりません。
ユーコは現在、部活仲間の誰ともコンタクトを取っていません。(ワタシのせいではありませんよ)
上記以来、電話ですら話していないワタシとユーコですが、5年くらい前にちょっとした用事でメールが来て、そのときに2往復ほどメールのやりとりをしました。
世間話程度の軽いやりとりですが。
今は年に数回、ワタシがハガキを出し、ユーコから年賀状が返ってくるだけのつきあいです。

最後までユーコがワタシのことをどう思っていたのかよくわかりません。
たぶん、「愛情」と確かに言い切れるものはなかったんだろうな。とワタシは思っています。
思っていますが、10年ほどのあいだに、確かに気持ちが重なっていると感じた瞬間はたくさんあったんですよね。
向こうもそう思っていたから、会ったときは気持ちを確認するようなことしてたのかもしれませんし。
「気持ちはさておき、とにかくカラダ的にいちゃいちゃするのが好き」というふたりではありませんでしたから、会ってなんとなくフラフラといちゃついて、ということではなかったと思います。思いたい。


ユーコは結婚して、既に小学生の子がいます。
夫婦仲はとても良いようです。
年賀状でしか様子を知ることはできないのですが。

そして、実は以前書いたこの話の相手はユーコだったのでした。


と、長くなりましたが、約10年続いたワタシの「二番目に長い片想いの話」はこれでおしまいです。
ちなみに今はユーコに対しては友情以外の気持ちはないです。


クリスマスのときにもらった歌に返歌していなかったので、ユーコへ、というか、当時の私たちへ歌を返しておきます。
それっ。

のんきな曲調と、なんだかいつもより拙い草野クンの歌い方がしっくり来るであります。


またひとつ、ワタシから秘密が減ってしまいました(°▽°)語り好きー
リアルでは誰にも話さないことをべらべらと語らせてしまうネットのおそろしさよ。(ワタシが無防備なだけか)








ついでに。

今読み直してみて、ユーコとのことってナナがきっかけで始まって、きょんで終わってるんだなーと気付きました。
だから何ってわけではないんですが。
自分的に「へー」と思ったりしただけです。


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