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| 2007年04月20日(金) |
二番目に長い片想いの話・その7 |
遊び合宿からしばらく経って、ユーコがワタシの家に泊まりにきたことがありました。 どういうなりゆきでそうなったのかはもう覚えていないんですが。 たぶんまた何かのきっかけめいたことがあって、お互いよくわからないまま気持ちが重なって、盛り上がって、って感じなんでしょうけど。 で、この年頃の、お互い気になっている者同士が一緒のおふとんに寝たんですから、まあ、それなりのそれなりがそれなりだったんですけれども。 そしてなんだかうまいこと話ができず、かといって寝てしまうのも惜しくて、一晩中「寝た?」「寝てない」なんてやりとりをしてた気がします。よくあることとはいえ、微笑ましいですね!
季節がいつ頃だったのかも思い出せないんですが、翌日、日曜の朝からの部活に出たことを覚えているので、まだ部活をやっていた頃です。3年の始め頃でしょうか。
翌日の部活中に「寝てないからキツイね」「大丈夫?」なんてこそこそ声を掛け合っていたのは覚えております。 高校生らしい淫靡さがあって良いですね( ^ ∀ ^ ) ていうか、奥手で清純そのものだった、走って逃げたあの女の子はどこへ。
で。
ユーコって、ワタシがつきあった女の子(つきあったって言えないのかしら…)の中で、唯一唇の薄い子なんですが。ホントに薄いんです。見事に薄い。 そしてワタシはぷっくり唇。 薄くて大きい口 vs 厚くて小さい口。 なんだかバランスが悪いです。
そのせいか、キスしたときに他の人とは違う、不思議な感触がしたのを覚えております。
そしてそのことを、ユーコにも伝えまして。 さすがに「他の人と感触が違うんだよね」という乱暴なことはアホなワタシも言いませんでしたが。
「あのさ、ワタシとユーコって、唇の厚さって全然違うじゃん?」 「うん」 「キスしてる感じって、一緒なのかな?」 「は?(笑) 考えたことなかった」 「だってさ、単純に考えて、唇の面積が違うじゃん?」 「うん」 「で、キスってなんか、気持ちいいじゃん?」 「はは」 「そーするとさ、ワタシのほうがより気持ちいいってことになっちゃわない?」 「(笑)ならいーじゃん」 「よくないよ。 同じくらいがいいじゃん、そういうのって」 ワタシってばかわいい☆ 「・・・よくわからないけど、同じくらいなんじゃない?」 「どして?」 「じょりぃの唇はじょりぃのもので、あたしの唇はあたしのものだから」 それもよくわからんが。 「そうだけどさ。こう、唇の表面にある神経の数がさ、こう、感覚のツブツブが並んでいるとして…(延々と続く」 「・・・・・(笑)」<どうでもいいよという笑顔
適当にあしらわれました。 真剣に考え込んでいたというのに。
まあワタシもワタシですが。 状況は全然違いますが、10年ほど前にタマリンと仕事のつきあいで飲んで一緒に泊まることになったときも、タマリンを相手に
「宇宙というのはさ、ワタシが考えるにさー、 うっすーーーいパラレルな層による次元で構成されていると思うんだ。 層といっても、それは厚みとか物理的なものが存在するんではなくてさ。 物理的な話ではなくて、こう、時空的というか存在する瞬間の空間の層というか、まあそういうことでさ、 具体的に例を挙げてみると・・・」
と、ホテルの部屋でなぜか自前の宇宙論を延々と説明し続け(酔っぱらっていたんです)、つきあいのいいタマリンは熱心にふんふんと聞いてくれた後に
「なるほど。すごいね。 ・・・・ところで、あなたいつもそんなこと考えてるの? 大丈夫?」
と真顔で心配されまして、そのときに ふっ と思い出したのが、上記のキスと唇の厚さの関係の話をしていたときのユーコの顔だった、ということがありました。
脱線しました。頭が大丈夫でないワタシなので許してください。
とまあ、お互いのキスの感触についてという、かわいらしくもディープな会話をしつつも、その泊まった晩もお互いに好きとかそういう話はしなかったんですよね。 なんか、高校生っぽくないなーワタシたち。 「じょりぃには○○ちゃんがいるじゃん」めいたことも言ったことなかったんですよね、ユーコ。
で、インターハイ予選が終わり、決勝で敗れた私たちの部活生活は終わりまして。 進学組は勉強で忙しくなりましたし、仲がよいとはいえ、さすがの私たちも少しずつバラバラの行動になっていき。 ユーコの家は親の目がうるさかったので、電話とかも滅多にできなかったこともあり(できてもかろうじて用件だけ5分とか)、 ユーコとは部活終了をきっかけに、なんだかうやむやになりまして。
で、高校卒業。
それっきりほとんど会わなくなったんですが。 しかし、高校卒業後、今度はりっちゃんに熱を上げたじょりぃだったわけですが、りっちゃんとユーコが同じ学校に通っていたために、会うことはたまに会ったりしていました。 が、お互いホントに友だちとして。みんなと一緒に。 ワタシは実はまだ、ユーコに未練たらたら…というほどでもないですが、まだそのまま好きだったので、なんとなくもう別の世界というか、女子高という特別な世界から抜けて「いわゆる普通の」世界になじんでいっているユーコにさびしさを感じておりました。 それに何か、始まっていなかったせいか「終わった」感じも持てなかったんです。 ユーコがワタシに対してどう思っていたかは相変わらずわからないんですが、ワタシがりっちゃんに熱を上げているのはユーコは気付いていたはずです。 そのへんもどう思っていたのやら。じょりぃ相変わらずだと思っただけかしら。
そして、20歳の冬。 早いものですね。14歳でユーコと知り合って、もう20歳。6年経過です。 しかしこう考えてみると、当時の6年と今の6年て、スピードというか重さが全然違う気がします。 何か、高校のときの1年て、今の3年分くらいの濃さがあるように思います。 なぜなんでしょうか。それが若さというものなんでしょうかね。
で、20歳の冬ですよ。 久しぶりにソフト部の連中で集まりまして。 当時一人暮らしをしていた友の家に泊まり、飲んで話しまくっておりました。 ユーコも来ておりまして。ほとんど全員集合だったのではないかしら。
盛り上がっている会話の中で。 ワタシは居心地の悪い思いを感じておりました。 なぜなら、みんなの会話の中身の95%が「男」の話だったからです。 そのうちの70%が露骨なセックスの話でございました。
ワタシはその手の露骨な話が苦手です。 みんなの話なら、なおさら聞きたくないです。なんだか生々しくて。 それに「じょりぃはどうなの?」と聞かれます。 当時つきあっていた男の子もいましたが、そんな話したくありませんし。
さらに。
みんなの会話の中で「結局男って、バカな女ほどかわいいんだよねー」という盛り上がりがあり。 もっぱら聞き役に徹していたワタシだったんですが、そこでは耐えられずに「それはないだろう」と主張。 「なんだかんだ言って、結局そういうものなんだよ」とみんな。じょりぃ、わかってないなー、みたいな。 「そうじゃない。バカな女がいいなんて男は結局バカなんだよ」とワタシ。 「そうじゃなくて、自分よりバカなほうが男は安心するってことだよ」 「そこがおかしいよ。自分より賢い女性を求める男だってたくさんいると思うし、 バカで安心する男なんてバカだ。そういう男で満足する女もバカだしな(冷笑」
「どういう意味だよ」 とみんな。そりゃ険悪にもなりますよね。
ここで、いつもは主張というものをしないユーコが 「あたしも女は男より賢くあったほうがいいと思う。ていうか、そのほうがうまくいくんじゃないかと思うなー」と。おずおずと。 「おまえみたいなバカが言うな」 ユーコ、ひどい言われようです。 「ひどーーーい」とユーコ。 「ユーコはいつもはバカだが、今の発言は賢いと思う」とワタシ。 「バカって言うなバカ!」とユーコ。 「おまえら男をわかってないよ」と言われるユーコとワタシ。
おもしろくなーーーーーーーいヽ(`Д´)ノ
が、しかし。 ここまでほとんど会話をしていなかったワタシとユーコだったんですが。 ここで一気に仲間意識が。
「ちぇ。おもしろくないの。酔いざましにジュース買ってくる」とワタシ。「ユーコも行かない?」 「行く」 「あ、行くならタバコ買ってきて」とみんな。
ふたりして抜け出しまして。 寒い寒いと言いながら、真っ暗な道を歩きまして。(見事に真っ暗でした) 自販機までは遠いのです。かなり歩きます。 ていうかワタシ、自販機がどこにあるかわからずに出てきた気がします(°▽°)よくやっちゃうんです。 とにかく、しばらく先の国道に出るまではたんぼ道、なんて場所だったんです。今思うと危ないですね!
まあとにかく、国道目指してふたりで寒い寒いと歩いておりました。
「ユーコがあんな風に考えてるとは思わなかった」と、寒さで歯をガチガチ言わせながらワタシ。 「ていうか、なんでみんながあんな風に考えるのかがわからない」ワタシより寒がりなユーコもガチガチ言わせながら。
寒いのでくっつきながら歩きまして。 いつの間にかユーコがワタシの腕を組んできまして。 腕組んでくっついて笑いながら歩いているうちに。
いつの間にかキスしちゃってました。
・・・・・・・・。
何をやっているのかワタシたちは。
不思議なものだなーと思ったのが。
昔と同じようにキスしているはずなのに、昔のキスより、ふたりともオトナなキスでありまして。 何が違うのかはよくわからない。 わからないけど違う。 わからないけどなんだかエロい。
そしてなんだか楽しい。 高校のときの、いけないことしているようなギリギリな気持ちのような感じではなくて。(それはそれで良いものですが) キスしちゃー笑って。笑ってまたキスして。 そしてそのキスは昔よりエロい。
寒空の下、そんなことしてまして。 真冬の真夜中です。本当に寒かった。
「寒い(笑)」 「寒いね(笑)」 「でも戻りたくないなあ」 「うん。とりあえず、ジュースもタバコも買いに行きたくなくなった(笑)」 「このままどっか行っちゃおうか」 「足がないよ」 「・・・じゃあ戻ろうか」 「・・・寒いしね」
寒さに負けました。 部屋に戻ると、タバコを期待されていた連中に悪態つかれまして。
「タバコ買わないでだらだら何してたんだよおまえら」 「セックスしてたんじゃねえの?(笑)こいつら前からあやしいし」
ユーコとワタシは元の席に離れて座って、素知らぬ顔をして。
そしてまたそのまま会わなくなりました。
次でラストです。
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