今日も今日とて
INDEX過去未来


2007年04月17日(火) 二番目に長い片想いの話・その4

ユーコはトロくさいのでいじられキャラでございました。
部活内では特によくいじられ、いじめられておりました。愛あるいじめですが。本人も楽しそうでしたが。
楽しそうだったので、ワタシもいじめました。
ところが。

ワタシがいじめると、ワタシがいじると、ワタシがからかうと、みんなと同じことをしているのに、ワタシには怒るのであります。

こんなことがありました。
ある日を境に、みんなが「ユーコ」でなくて「サキハラ」と苗字を呼び捨てにするようになったんです。
それに対して、ユーコは「ユーコって呼んで☆」とかわいらしく反抗していたんですが。
あるときワタシも皆と同じように「サキハラ」と呼びましたら、えっらく怒りまして。
「サキハラって呼ぶな!」と。
「みんな呼んでるし・・・」
「じょりぃは呼んじゃダメ!」
「なんだそりゃ(笑)」
「今度サキハラって言ったら、あたしも○○(苗字)って呼ぶからね」
「別にかまわないけど?(笑)」へらへら
「へらへらするなバカ!」
「おまえさー」
「おまえっていうのもやめて!」

なんなの一体。
部活仲間はみんな二人称は「おまえ」という荒々しさだというのに。

後で気付いたのですが、ユーコというヤツは相当な内弁慶だったのであります。
要するに「みんながあたしをいじるのはいい。でも、じょりぃはそれしちゃダメ!」てことだったのであります。
ということは。
ワタシ内側の人間てことじゃん。

「キミさー、それって、ワタシのこと特別扱いしてるってことになるんじゃないの?」 (・∀・)ニヤニヤ
「違うよ。じょりぃに偉そうにされると腹が立つだけ」
「前みたいにもじもじしてほしいわけ?」
「いっそそうしてもらいたいくらい」

何それ!ヽ(`Д´)ノ


と、いばられたり文句言われたりしつつもワタシはユーコの尻を追いかけておりました。
が、「好き」という言葉はもうユーコには使わなくなっておりました。
だって言わなくてもわかるくらいの態度でおりますし。
言ったところで、あたしはじょりぃのこと好きじゃないしーというリアクションしか望めませんし。
なのでただひたすら、ワタシはユーコをからかったりちょっかい出したりいじめたりして(そういうのをやめてほしかったユーコだというのに)、ワタシの好意を伝えておりました。
好きな子はいじめちゃう、ってヤツですね。幼稚です。
ユーコがワタシをどう思っていたのかはよくわかりませんが、「嫌い」はしょっちゅう言われておりました。
ちなみに「好き」というのはまったく言われませんでした。


そんな日々が続く中。
11月頃だったでしょうか、「寒いねー」という言葉が口からぽろぽろ出てくるような時期でございます。
いつも通り部活を終えて、みんなで連なって自転車を漕いでいた帰り道。
たいてい2列になって、隣の子とおしゃべりしつつ帰るのですが。
その日、ワタシはユーコと並んで自転車を漕いでおりまして。
そして、みんなから少し遅れて走っておりました。
なんで遅れちゃっていたかというと、ユーコの切替の調子がおかしくて、あまりスピードが出なかったのです。

その日は月がすごーーーーくきれいな夜でして。
細い三日月だったんですが、白くて光っていて、大きく見えて。
で、思わずワタシが

「月」

と呟きましたら、ユーコが「え!」と。

「え!」 突然え!って言われて驚いたワタシもえ!と。
「あー・・・今なんて言ったの?」
「うん? ほら、月がキレイ」
「あ、ホントだ」
「どしたの?(笑)」
「ううん。 何て言ったかわからなかっただけ(笑)」

道が分かれるところで、じゃあねばいばーいと帰りまして。

翌日。
ユーコから「はい。これあげる」と手紙を渡されました。
なんだろな、ユーコから手紙なんて久しぶりだし、と思いつつその場で手紙を開こうと思ったら
「人のいないところで読んで」と。

何そのドキドキ感!

昼休みに部室で読みました。

昨日、じょりぃが『月』って言ったとき、私慌てちゃってたでしょ?
あれ、『好き』って聞こえちゃったんだ。


わはははははは。なんだ、そんなことだったのかー。バカだなー。

でもその後、カン違いだってわかって、なーんだってちょっとさびしかった。


え (・_・)


マジーーーーーーーーーー!?


あとね、じょりぃ、腹巻き欲しがってたでしょ?
私で良ければ編んであげる。



じょりぃ、卒倒。 してませんけど。それくらいビックリ。
ていうか、高校生のくせに腹巻きを欲しがっていたワタシったらババ臭くてイヤになりますが。

で、手紙読んで嬉しくて嬉しくてですね。
嬉しかったせいなのか、とんでもないことをやらかしまして。

その日の部活が終わって。
ユーコに手紙読んだよ、と伝えようと思いましたら気付きました。

手紙がない。

ヤバイ。どうしよう。
拾って誰かに読まれでもしたら一大事です。
この手のことはあっという間に校内ゴシップです。
女子高って、ちょっとしたことで女の子同士のことが当たり前のようにゴシップになるのであります。(うちの高校だけなのかしら)(ていうか、これって共学でもゴシップ?)
とにかくなくしたことがバレたらユーコに怒られます。どうしよう。
でも黙っているわけにもいかないので、ユーコに打ち明けることに。

「あの、手紙なんだけど」
「あ・・・」 もじもじするユーコ。
「いやあの、あー、まずはありがとう。 あの、 腹巻き」
「あははは」
「で、 えー、 手紙をなくしちゃった」
「え?」
「あの手紙が見つからないんだ。どこかに落としちゃったのかも」
「ウソ!」
「・・・ホント」
「バカ!」

返す言葉もありません。

「誰かに読まれたらどーするの!」
「どうしよう」
「探してよー」
「探すよ・・・」
「ホント困るよ。ヤバイよ」

そ、そんなに重大な手紙だったのか。
てことは、アレってすごい本気な手紙?

ということを、今の事態をわきまえず口にした愚かなじょりぃ。

「違うよ。せっかく書いてもなくすからもう手紙なんてあげない。大っキライ」

振り出しに戻るというより、すごく後ろに下がってしまいました。

もう部室閉めるよ!と部長に怒られ追い出され。
手紙は見つからないまま。

しかし、翌朝早く来て探したら(必死だったんです)、部室の中の、人には見つからないようなところに落ちてました。
(・∀・)-3あーよかった。

それを伝えても、まーーーだ怒ってるユーコ。当然なんでしょうか。当然ですね。

それからのユーコの意地の悪さったら。
あのおどおどおとなしそうだったキミはどこへ行ってしまったんだい?
とまたワタシが余計なことを言うもんだから火に油を注ぎます。
とにかくつんけんしちゃってまして。
そのうちワタシも無理に話しかけたりすることをやめまして。
せっかく良いー感じの手紙をもらったというのに、ふたりの距離は開いていってしまいました。

が。

もうすぐソフト部のみんなでクリスマス会、という頃になって、ワタシはユーコから
「これ」と、手紙と包みをもらったのでした。


まだ続いちゃう


じょりぃ |HomePage