今日も今日とて
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ワタシは数年前に独立するまで、タマリンの興した会社で働いていたのですが。(タマリンはもう隠居してしまいましたが) タマリンとは前回の日記にも出てくるB社で知り合い、一緒に働いていた仲でございました。
そしてもうひとり、やはりB社に勤めていたK原さんという男性がいたのですが。 タマリンがひとりで仕事を始めてすぐに一緒に始めた相棒で、一時は恋人同士でもありました。 K原さんはワタシより4つ年上で、穏やかでおっとりしたおぼっちゃん風の人。 人柄はいいんですが、仕事ぶりが、その、ええと、いいかげん。 それでもタマリンにお尻を叩かれながら、ワタシ(や他の女性スタッフ)にお尻をぬぐってもらいながら勤めておりました。 ただ彼、ビジネスセンスとか勘とか感性はとても良かったので、仕事ができないというわけではなかったんですが。 「嫌なことができない」という欠点はあったんですよねえ。 でも何か憎めないのです。
で、そのK原さん、タマリンが辞めたときに、自分も辞めちゃおうかなーという感じだったんですが、 タマリンにきっぱりと 「あんた他のところでやっていけると思うの? ここでがんばんなよ」 と言われ、勤め続けておりました。 で、ワタシも彼とは最初の職場以来のつきあいですし「困ったナー」と思うところもあれど、やさしい人ですし、うまいこと一緒に組んで仕事をしていたのですが。
3月の半ば頃に、その会社のメインPCがぶっ飛んでしまったのでした。 パソコンのことがほとんどわからないK原さんはワタシに「どうしよう」と電話をしてきまして。 ワタシにわかることは教え、修復ソフトも貸し出したりしたのですが、結局ダメで、修理に出したら「HDD丸とっかえ」というご臨終宣言。
そ・し・て。
ワタシが退職するときに「他のことは何もしなくてもいいから、バックアップだけはマメに取って置いてくださいね!」と厳重に言い渡しておいたのですが、全然取っていなかったらしくてですね。
要するに、ワタシが辞めて、ワタシの後任の女の子が辞めて、その後3年間くらいのすべてのデータがなくなってしまったのでありました。 今までの仕事も、ワタシが在籍中にコツコツ作った売上管理と顧客管理と下請け管理がいっぺんにできるデータベースも、とにかくすべてがパア。
3月の終わり頃にK原さんと打ち合わせしたときに「パソコン、直りました?」と訊ねましたら 「ああ。もうちょっとかかるみたい」とほほえんでいたんですけど。
その5日後くらいにその会社のやり手の女性営業社員Aさんから 「じょりぃさんところに××××のデータってありますか?」と電話がかかってきましてね。 「それはK原さんが自分でやってた仕事ですから、ウチにはないですよー。K原さんに聞いてみてください」 「K原、辞めちゃったんです」
え!Σ(゚ロ゚ノ)ノ
「な、なんで?」とワタシ。ビックリ仰天。全然そんな話聞いてなかったし。 「わからないんです。失踪しちゃったんです」
なんだかホントに連絡取れなくなってしまったらしく。 辞表だけは社長の机の上に置いてあったらしいんですが。
「もしかして、パソコン壊れちゃったから?」とワタシ。 「たぶん」とAさん。
唖然。
確かにK原さんには荷が重すぎるトラブルだったかもしれないけど。 そこまで根性がなかったとは。もう!ボクちゃんは!
しかし、仕事に厳しいAさんも、「K原さん、やさしすぎるから誰にもNoと言えずに、だいぶ苦労してたんですよねえ。かわいそうだったかも」と。
そう。確かに彼はそういう人。
しかしワタシは知っている。 彼は「No」と言わないだけで、やりたくないことはやらないのであった。(そしてそれはワタシも同じ) だからこそ今まであの会社に勤めてこられたとも言えるんですが。
で、それからはもう、その会社から電話の嵐ですよ! 「じょりぃさん、△△のデータあります?」 「××の内容知ってます?」 「○○はどこの下請けさんに頼んでましたかね?」
ワタシ、辞めてもう何年も経ってるんですけど・・・。
ということをお伝えし。 ワタシに聞かれてもあまり役に立てないですよーとお話しましたら。
「でも、社内の誰に聞いてもどこの下請けさんに聞いても、じょりぃさんに聞けばわかるよって言われるんです・・・」
野郎ども。押しつけやがったな。ヽ(`Д´)ノ
隣ではなっちゃんが 「情に流されて巻き込まれすぎないでね。ちゃんと請求書の出せることだけしてね」という内容のことを、やさしーーくにこやかーーにワタシに釘を刺します。 ワタシだってただでさえ忙しいのに困ります。 しかもデータみんななくなってしまったので、焼き直せばいいだけの仕事も、全部一からやり直しなのです。 それがウチに来るのです。 なーんだ儲かるじゃん☆と言えるほど請求できません。お世話になった会社ですし、今もお世話になってます。
で、ワタシとしてもパニクっていたわけです。
が、4月の二週目に入って、新人さんが入ってきました。女の子です。 これからはワタシがK原さんの代わりにてんてこ舞いしている仕事を、新人さんがやってくれるのです。
でも新卒ですし、しーばーらーくーは使えないでしょう。
でも相手は女の子だったもんですから。ワタシも(´∀`)こんな顔になったんですが。 電話だけのやりとりを何度かしたのですが、新卒の若い女の子とは思えないほど応対もしっかりして賢そうな娘さんで。 お!これはあの会社、当たりを引いたな!と喜んでおりました。 声の感じと落ち着き具合から察するに、ちょっと地味目な、でも清潔感のある背の低い小太りな女の子、という感じかなー、いい子だなー、なんて思って、電話でもファックスでも、ワタシはかなりやさしく親しく接しておりました。 これからこの子と組んで仕事をしていくのです。 公私ともに仲良くなって信頼関係を作らないと、ちょっと難しい仕事なんですよねえ。
そして昨日。 資料の受け渡しのために、ワタシはその新人さんと初めて会う段取りに。
待ち合わせ場所に先に着き、どんな人かなーなんて思いながら入り口をぼーっと見ておりましたら。
おや? 好みの女性ハケーン!(・∀・)
長くて栗色のウェーブのかかった髪。上から下まで白で統一した、カッチリ系のフェミニンな服装。 膝より上の丈のスカート。そして足にはピンヒール。スタイル抜群。
でれーーーーーー(´∀`)
「じょりぃさんですか?」
は! そのフェミニンさんがワタシに声を! しかも、顔もすげーーーーかわいいよこの人!!!!!
「も、もしかして、Sさんですか?!」 うわずりまくるじょりぃ。 「はい(にこっ)。いつもお世話になります。はじめまして」 「は、は、はじめまして!(でれー)」
ふたりして恥ずかしがりながらぺこぺこと。
なんてことだ! 神様ありがとおおおおおおお!!!
そしてK原さん、失踪してくれてありがとう。(ひどいなワタシ)
つい先日までは「辞めた人間にいちいち聞いてくるんじゃねえよ!」とキレそうだったワタシなんですが。 昨日からワタシは変わりました。
Sさん。 何でも聞いてね☆ そして、仲良くなりましょうね、ワタシたち。できるだけ深く。
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そうそう。ついでに。 尋ね人広告を出させていただきます。
--------------------------------------- K原。もう何も心配ない。連絡請う。 ---------------------------------------
生きてるのかしらー。 絶対生きてると思うけど。 最後に会社で呟いた言葉が「さすらいたい」だったらしいから、きっと今頃バッグパッカー。
みやげ話をツマミに、また飲もうね、K原さん。 ふたりとも大好きなモルツスーパープレミアム生ビールがいいな。<おごってもらう気満々じょりぃ 早く帰ってきて。怒らないから。たぶん。
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