今日も今日とて
INDEX|過去|未来
みなさんこんばんは。 連日良いお天気ですね。 幸せにお洗濯できてますか?
ワタシはできておりません。 ぷ〜ん。(ニオイの音) ぶ〜ん。(ハエが飛ぶ音)
なんて不潔めいた描写はこのくらいにしまして。
まずは伏線です。 我が友、タマリンの子供時代の話です。
それは新聞配達の来るような時間、早朝のまだ薄暗いころ。 タマリンの住む、閑静な住宅街にももうすぐ朝が。なーんて時間。
小学生だったタマリンは「こけーーーーーーーっ」という雄叫びで目を覚ましました。
はっと上半身を起こすと、部屋の中には羽根を逆立てたにわとりが。
にわとりですよ。みなさん。
タマリンの家が農家だ、とか、畑の中にあるとか、まあ、にわとりが家の中になぜか侵入してしまう理由というのは、考える気になればいくつか挙がるものですが(挙がるのだろうか)、ここは街の住宅街。 しかも、両親は旅行で留守のタマリン宅。カギもしっかりかけたであろうに。
にわとりですよ。みなさん。部屋の中に。
動物ギライのタマリンですから 「ぎゃああああああああああおねえちゃああああああん」と絶叫し、姉に助けを求めました。
タマリンは3人姉妹の末っ子。いちばん上のお姉さんとは6つ違い、真ん中とは確か3つ違い。
「どうしたの!タマちゃん!」お姉さんズ登場。 「ぎゃああああああああああ」お姉さんズ絶叫。
「にわとりっ にわとりっ にわとりっ にわとりっ」 いちばん上の姉ちゃん、パニックになっております。二番目は最初は驚いたものの、いちばん上のあまりにもな狼狽ぶりに冷ややかな視線。
とにかく、部屋の中ににわとりといるタマリンですから「にわとりどかしてよーーー!」とじたばた(することもできず)。
お姉さんたちは「どうしようどうしよう。だいたいなんでにわとりが家の中にいるのよ」としばらくは慌てふためいておりましたが、いつも張り切り親分系のいちばん上が「タマ!待ってな!お姉ちゃんが助けてやるから!」と言って、いったん部屋から離れまして。
戻ってきたときには、手に竹ぼうきを勇ましく握りしめておりました。
しかし、にわとりにむかって竹ぼうきを「しっしっ」とするのは、案外勇気がいるものらしく(そもそもなぜにわとりが・・・と、何度でも考えてしまいますが)、握りしめたまま、しばらく逡巡。
が、長女魂発揮、声にならない声を発しつつ、にわとりを外に追いやることに成功。
したとたん。
いちばん上の姉、気絶。
マンガじゃないんですから。にわとりだの気絶だの、いいかげんにしてほしいです、友として。
知らぬ間にベッドの下で猫に出産されてしまったり、タマリンの家もなぜそのようにわらわらと動物が不法侵入できるのか、というナゾに満ちているわけですが。 しかもにわとりですよにわとり。 しかも気絶ですよ気絶。
ここまで、伏線です。 もう終わりにしてもいいよとどなたか言いましたね?
いやです。 ここからが我が家の話なんですから。
今日の朝。 いくら良い天気でさわやかとは言え、ワタシの朝は、最高に不機嫌。 ていうか、起きてても起きてないですし。ぐうぐう。
しかし今日は午前中にアポが何件か入ってるし、ようしやるぞーと気合いを入れて、目覚めのシャワーを。 これでだいぶ目が覚めるんですが、シャワー後、脱衣所でバスローブ着たまま横になってぐうぐう、ということもままあります。 が、今日はちゃっちゃちゃっちゃとね。
着替えをし、パソコンの電源を入れ、コーヒーを入れて・・・・っと、今日はきょんがお休みだから、きょんも飲むか訊いてあげましょう。
「きょん、コーヒー飲むー?」 「あ、うん・・・・・・ねえ、にわとりがいるんだけど」 「は?」 「にわとりが、うちのすぐ前のドブ川にはまって、動けなくなってるんだよ。じょりぃ、どうやって助けたらいい?」
みるみる不機嫌に戻るじょりぃ。 だいたい、なんでいつもそーゆーことでワタシをあてにするの! 少しは自分で考えたの? しかも助けた後、アナタまた「飼いたい」とか言い出すんじゃないの?
イライライライライライライライライライラ。
ドブ川は、人間の背丈より深いので(水はあまりないのですけど)、救出は困難そうです。 しかも、向こう岸だし。
「・・・・どうしてワタシが救出できると思うわけ?」 「このあいだ、バスケットボール落としたの拾ったって、自慢してたじゃん」 「ボールは生きてないモン。それだって難しかったよ」 「・・・・・じゃああたしひとりでやるからいい」 「いいよ、一緒にやるから。ただ今日、忙しいんだよね。少しは自分で、もの考えてくれないかなあ」
さーーーすーーーーがーーーーじょりぃ。 言葉の暴力炸裂。
「何その言い方。 失礼ね」 きょんも怒りました。
言い争いはめんどくさいので、とっとと外に出て、にわとりを確認に行くじょりぃ。 助けないもんね。 いつもいつもやってらんないよ。 にわとりの1羽や2羽、見殺しにするくらい、じょりぃ屁とも思いませんから。
ずんずんずんずんずん。 あ、いた。
なんか かわいそう。 さむそう。
「いつ見つけたの?」後を追ってきたきょんに尋ねるじょりぃ。 「今朝の犬の散歩のとき」 「一晩過ごしちゃったのかな。水の上で」 「わかんないけど」 「むむむ。 保護した後、どうしたらいいんだろう」 「保護してくれるの?」キラキラッ。ときょん。 「むむむ」 「まずはどうしたらいい?」 「ダメもとで、消防署に電話をしてみましょう」
来てくれました。気持ちよく。 しかもなぜかサイレンを鳴らしながら。ビビリました。 隊員さん、張り切って来てくれたのね。ありがとう! 隣の奥さんが「何かあったの?!」と尋ねてましたが、そりゃそうですよね。 「ボヤ出しちゃって」と気のきいた冗談でも言おうかなと思ったのですが、なんだか今日ってすごく風が強かったので、シャレにならないなと思いやめておきまして。
さすがプロ。あっというまに解決。 って、にわとり救助のプロなわけではないですが。彼らは火消しです。あくまでも。街の英雄です。 仕事が終わってから無線で「えー、にわとり救助、完了。にわとり救助、完了」と真顔で報告していた横顔がステキでした。
が、しかし。
引き取り手のいないにわとり。 隊員さん曰く「誰も飼い主がいないんじゃ、保健所に連れていくことになりますけど・・・」と。
え? 保健所?
ケンタッキーじゃなくて?
というのは冗談ですが。 保健所行きということは、殺されるということですよねきっと。
「あ、じゃあいいです。いったんウチで引き取ります」思わずじょりぃったら。 「え? いいの?」きょんびっくり。 「もらってくれるところもあるだろうから、とにかく『いったん』ね」 「ありがとう」キラキラキラッ。<きょん喜びの音。 「非常食にもなるし。とりあえず名前は『焼き鳥』にしておこうっと」 「・・・・・・・・」
この救出劇の後、タマリンの会社へ打ち合わせにむかうじょりぃ。 ひととおり話が済んだ後 「野にわとりを保護したんだけどさ、飼える人知らない?」とタマリンに尋ねてみました。 「野・・・・・・あん? なに?」 「野にわとり」 「はあ?」 「ウチのまえのドブ川に落ちてたんだよ」 「いったいどうしてにわとりなんかが出現したわけ? どうなってるの?お宅って。あははははははは」
キミにだけは言われたくなかったよタマリン。
午後、きょんの勤める動物病院へ、念のため診察に連れていきましたら、無事に里子先も決まりました。 ありがとうございます先生。 「焼き鳥」は、馬の牧場でのびのびと暮らすことになりそうです。 ああ、よかった。うちで飼うことにならなくて。
でもまだもう少し、健康が回復するまでは我が家で面倒みるので、なんだかすごく家の中が臭いです。まいったな。 なんて言いつつ、ちょこちょこと「焼き鳥」の顔を見に2階まで足を運ぶじょりぃなんですが。 生き物ってかわいいですね。 もう、ホント、食べちゃいたいくらい。
 死にそうに見えたのに、実はとっても元気だった「焼き鳥」さん。 調べてみたら、どうやら「桂ちゃぼ」というちゃぼみたいです。
|