今日も今日とて
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ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜どろどろどろどろどろ〜〜〜〜〜〜。
あ。 ひとだま。
というわけでですね、本日の日記は「怖い話」でございます。 苦手な方は読まないほうがよろしいかもしれません。 これを読んだ後トイレに行くと、便器から手が出てきてお尻を拭いてくれちゃったりという、サービス精神旺盛な霊と遭遇してしまうかもしれないからです。
ウソです。 そんなに怖くないとは思うんですけど。 接待先でおもしろい話(と言っても怖い話なんですが)を聞いてきたので、誰かに話したくてですね。 きょんは怖がりなので聞いてくれないし、ナナも同様。 なのでこちらで発散させていただきます。
本日、夜になってから宮司様に呼び出されまして。 「ちょっと出てきてよ。お寿司だよー。お寿司」 「今日、だるいんですよワタシ」 「接待要員が足りないんだよー。男ふたりで飲んでてもさー」 「実はワタシも男なんですー」 「Eも来るから、じょりぃさんも来なさい」
不思議ちゃんEさんも呼び出された様子。 これでワタシが行かなければ、Eさんひとりか。気の毒だな。
というわけで、イヤイヤ顔を出したじょりぃ。
途中まではそれはもうつまらなくて居眠りこきそうになったじょりぃだったのですが、お客様がおもしろい話題を振ってくれまして。
「あの、除霊とかもなさるんですよね、宮司」と。
「しますよー。あはははは」 気の抜けた宮司でございますね。 でもこの人、ホントに祓っちゃうんですよ。
「『除霊』ってことばは私は使わないんですけどね。な?E」 「使いませんね」と、巫女でもある不思議ちゃんEさん。
宮司曰く。
霊は除けないのだそうです。 いるもんはどかせないよー。と。 ただ、存在を認めて、慰めて、納得させることはできるそうで。
ここから先の「祓い方」の実践的な話はひょっとしたら企業秘密かもしれませんので控えますが、ワタシとしては大いに納得できる話でございました。 とにかく、今のところこの宮司は100%の確立で祓っちゃってるのです。
ていうか「ずるい」と思ったのですが 「行ってみて、話聞いてみて、『こりゃオレじゃダメだ』と思うものは断る」そうで。 「自分がヤバイもんね。オレじゃ無理そうなのに引き受けちゃったら」なんですって。 もちろん、祓う力がその宮司より強い人なら祓えるそうなんですが。
で、怖い話というのはこれじゃないんです。 この話から、宮司が若い頃に体験した「怖い話」に移っていったわけなのですが。 この宮司、話が上手で臨場感たっぷりに話してくださったので、ワタシもお伝えしやすいです。 以下、その怖い話。
宮司が神道関係の大学に通っていた頃。 入学し、弓道部に入った宮司は先輩から「一年4人!今日の夜中に○○まで車で行って来い!」と命令を受けたそうです。 ○○というのは、山奥の一本道のつきあたりで、車がやっと一台通れるような道だそうで。 つきあたりまで行ってしまうと、鬼のように切り返しをしないと戻って来れない場所だそうなのですが。
体育会系ですからね、先輩の命令は絶対でございます。 「はい! 行ってまいります!」と元気に返事をした4人の1年生に、先輩、にやりと笑って「出るかもしれないけどな」と。
でもまあ、元気でやんちゃな18歳でございますから。 「オバケ見られるかもなー」なんてうきうきしながら4人で夜中に山道をぶぶーーんと車で出掛けたわけです。 しばらく走って、問題の「つきあたり」に到着。
「あれ? あんなところに車があるぜ」 ということで、車に近寄って行ってみる4人。 途中の山道も、この崖っぷちの「つきあたり」も、もちろん灯なんてまったくなくて真っ暗闇。 自分たちの乗ってきた車のヘッドライトで照らして見ていたらしいんですが。 それはアメ車のような大きく青い車で、タイヤは全部パンクし、窓はがっしゃがしゃに割れており、車はぼこぼこ。 ひどい事故に遭ったようで、ボンネットは潰れちゃってるし、なにしろまあぼろんぼろんな車でございまして。
「ひでえなこりゃ」 「その車の先、崖なんだろ? あんまり崖の方行かない方がいいぜ」 「事故車かな? 中の人は無事だったのかな」 なんて話をして。
「まあ、先輩の言ったことは済ませたわけだし、帰ろうか」 ということで、鬼のように切り返しをして元の真っ暗な山道を引き返した4人。 戻ってから先輩に「行ってきました」と報告しましたら。
「そうか。何か出たか?」 「いや、何も出なかったです」 「何かなかったか?」 「車がありました。青いポンコツのアメ車っぽいのが」 「そうか。 おまえら、明日の昼間、もう一度そこに行ってきてみろ」
翌日昼間、先輩の命令どおり、「つきあたり」までふたたび車を走らせた4人。 昨夜と同じ場所に行ってみたら。
青い車なんてなかったのです。 そこはただの、何もない、崖っぷちのつきあたり。
「車がないぜ」 「JAFでも来て、持って行っちゃったのかな」 「パンクしてたから、あの車じゃ動けないもんな」
なんて話をして、またまた先輩のところへ「行ってきました!」。
「で、 車はあったか?」 「いや、なかったです」 「そうか。 おまえら、今晩、もう一回同じところに行ってこい」
ご苦労なことに、ふたたび真っ暗な山道を走る4人。
つきあたりまで来て、ヘッドライトに照らされた崖の方を見ると。
「おい! あれ・・・・」
そうです。
青い車がいるのです。 昨日と同じ、ポンコツぼろぼろの、青い大きなアメ車が。
ぎゃあああああああああああと、今度はパニックになる4人。 このときは車を降りて確かめる余裕などなく、狂ったように切り返しをして(この時間が長くて怖かったそうでございます)、一目散に真っ暗な山道を走り下りまして。
4人の様子を見て先輩が「車があったのか」と。 「ありました! なんですかあれは!」 「そうなんだよ。 わからないんだよな。 でも、やっぱりまだいたのか」
宮司たちも、もう二度と行く気になれなくて、それっきりなのだそうですが。 どうやら先輩たちもみな同じ思いをして、自分たちで行くのはもうこりごりなので、新入生が入るたびに確認に行かせていたらしいのです。
「たぶん、自殺したか事故かなにかで、あの崖から車ごと落ちたんだろうなあ」と、しみじみ語る宮司。 「宮司、話つくってません? なんか出来過ぎですよその話」 ワタシも相当失礼ですが。 「つくってないよ。本当の話だよ。今でも怖いよ、あれは。思い出すと」
というわけでですね。
たぶん今もいるんでしょうね。その車。 「つきあたり」にひとりぼっちで。 さすがのJAFも、運べないでしょうしねえ。
暗闇の中、春に3度だけ訪れる某大学弓道部の新入生を待っているのでしょう。
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