今日も今日とて
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2003年07月31日(木) そんなことしてるから、怖い夢見るんだよ

久しぶりに、きょんと軽くケンカ。 しかも朝から。
今になって思えば、たぶん朝から体調が悪かったワタシでございます。そのせいだと思うんですが。
ただ、今日は朝からやることが山ほどあったので、ハイテンションがワタシに体調を自覚させてくれなかったんですね。

歯を磨いていたら、事務所の電話が鳴りまして。

きょんが「出た方がいい?」と訊いてくれたので
「おえあいいあう(お願いします)」と、ぺこり。

歯磨き中だし、当然「折り返し」で段取りしてくれるだろう、と思いこんでいたら
「少々お待ちください。     はい。○○社長から」
と受話器を渡されまして。

なんだかイライラしていたワタシは「折り返しにしてよ」と言い放ち、口を濯ぎに。

その後○○社長に電話をしたら、先方もなんだかイライラしていたらしく、ねちねちと朝からいやらしくいじめられまして。

ワタシのイライラに拍車がかかり、なぜかきょんにやつあたり。

「あのさ。 さっき、どういうつもりで受話器を渡したわけ?」

すんごいイヤミっぽい、イヂワルなこの言い方。
「ああいうときは折り返しにしてね」と言えば済むことなのに。

「は?」
「そもそも電話に出られないから、きょんにお願いしたわけじゃない? 受話器渡すの、無意味じゃない?」
「あたしとしては、そもそも、なんで電話が鳴った時点で、すぐに口を濯がないわけ?と思うけど」
「(ムッ)」
「(プン)」

朝から超険悪ムード。
「行ってきます」も言わずに、ドアをバタンと閉めて打ち合わせに向かってしまったワタシ。

なっちゃんが来るまでの午前中いっぱいクルクルと働きまして。

なっちゃんが来て、打ち合わせして、一件集金に出掛けて、帰ってきたら、なんだか非常に体調が悪いことに気付いたじょりぃ。
アタマの中が気持ち悪い。 なんだかスカスカした感じ。
おまけに手先や足先から、エネルギーやら魂やらがすううううっと抜け出ていってしまっているような。

しばらく頑張ってみたものの、やっぱ、ダメだこりゃ。

「なっちゃん」
「ん?」
「ちょっと横になりたいの」
「うん。寝た方がいいみたいね。顔色悪いよ」
「なっちゃんだけに仕事させちゃうね」
「そんなこと気にしてるとなおさら具合が悪くなるから、とっとと寝ろー」

なっちゃんはいつでもやさしい。
というところに甘えて、横になるじょりぃ。

アタマが気持ち悪い。 眠りたいのに眠れない。 でも起きることもできない。 アタマが枕に吸い込まれてめり込んでいくような、イヤな感じ。
まさに「ううん、ううん」という状態で、寝ているような寝ていないような状態でまどろむワタシ。
なんかつらい。 きょんの呪いか。 てなわけはないんですけど。

うとうとしたと思ったら。


なんとナナが死ぬ夢を見てしまいまして。

夢の中で「じょりぃちゃん、ママ、死んじゃった」 と、長女ちゃんから電話。


え。


悲しみは咄嗟に襲ってこなかったのですが。


これからどうやって生きていけばいいのか、まったくわからなくなりまして。

「ナナはもう、この世に存在しないのか」と思って、アタマの中が、まさにショートしました。



あんな感覚は初めてです。


長女ちゃんの電話が来てから目が覚めるまで、夢の中の時間で正味3秒くらいだったのですが、
アタマの中も体の中も真っ白になって、「ワタシという自意識の死」を体験しました。
夢の中でですけど。
完全にショートしきってしまう寸前に目が覚めたのですが、あれ、夢の中でとはいえ完全にショートしてしまったら、現実で元に戻れるんでしょうかね。
なんだか「マトリックス」みたいな話ですけど。

「きょんがワタシより先に死んじゃったらどうしよう」と、不安に感じることはよくあるんですが。
生活を共にしているわけですし、死ぬまでいかなくても、そばにいなくなってしまったら、すごくさびしいだろうな、と。

でも、ナナに関しては、「たまに会うくらいだし、いなくなっても生活に差し障りがあるわけでないし、もし自分の目の前からいなくなってしまったとしても、案外ダメージないのかもしれないな。要は自分が彼女を好きっていうだけの、ひとりよがりな関係だし」なんて思っていたのです。

が、夢とはいえ、「ナナの死」を体験してみましたら、やはりワタシの存在が消えてなくなってしまうほどのショックでした。
言葉にしようとすると、どうしても陳腐で軽薄な感じになってしまってうまく伝えられないのですが、「ナナが存在しなくなる」というだけで、あれだけの「完全なる絶望」がワタシを襲うとは思ってもみなかったのす。
「悲しい」とか「ショックだ」とかいう、感情的な感情(変な言葉ですけど)以前に、「あ、終わっちゃった」という、真っ白なんだか真っ黒なんだかの、とても単純でとても深い絶望感。
そこには「だんだん悲しみが襲ってきた」というような、段階的な感情も波動もなくて、ワタシの全てが「すぱん」と切り落とされてしまったような、「喪失感」というよりは「断絶感」と言ったほうが近いような、そんな感じ。

「起こるか起こらないかわからない先のこと考えて、不安になってたってムダだよね」という考え方が、きょんの影響で身についてきて、人生が非常に楽チンになったじょりぃだったのですが、久しぶりに「考えてもしょうがない、不吉なこと」=「ナナが死んじゃったらどうしよう」ということを考えてしまい、とにかく不安になりまして。


夜になって、ナナに電話しました。

「どうしたの?」
「あー。うん。   月曜日に出掛ける行き先を考えなきゃと思って」
「そっか」
なんて話始めまして。

「今日、実は後半体調崩して寝込んじゃってね」
「疲れてるんだよ」
「そうなのかな。 で、怖い夢みちゃってさ」
「うん」
「実はそれで、心細くなっちゃって、電話したんだ」
「(笑) そうなんだ。 よく怖い夢見るね」
「うん」
「体調悪かったからだね」
「うん」
「どんな夢だったの?」

ナナが死んだ夢、 なんてそのまま言うと、この人はけっこう気にしてしまうので

「もう会えなくなっちゃうっていう夢」
「はははは。 誰と?」
「キミ」
「(笑) そんな夢が怖いの?」
「うん。 すごくショックだった。こんなにショックなんだって、ビックリしちゃってさ」
「なんで会えなくなっちゃうの?」
「あー・・・・なんでだったかな」
「死んじゃったの?」
「覚えてないけど。 そうだったのかな」
「夢なんてあたし見ないけどな」

このへんで話をはぐらかすナナ。

ちょっとさびしいな、と思ったんですけど、まあ、そんなもんかな、とも。

もうちょっとやさしい言葉を期待していたんですが、相手にしてみれば、ワタシの体験した感情なんてわからないわけですし、ナナ的にあまり突っ込みたくない話だったのかもしれませんしね。
ワタシがナナを好きだ、というような、込み入った話になるのを避けたかったんでしょう。たぶん。

話さなきゃよかったな、なんて思ったりして。
彼女はいつもそう思わせる。
なのに「何も話してくれない」と怒ったり。
もう知らないもんね。 ていうか、もっとちゃんとかまってくれ、ナナ。たまには。弱ってるときくらいは。
と、ちゃんと伝えないワタシも悪いんですけど。

「体調が悪いと、きょんさんとケンカになったりしない?」
「実は今朝やっちゃった」と、成り行きを話すじょりぃ。
「かわいそーーーーーー」とナナ。
「誰が?」
「きょんさんに決まってるじゃん(笑)」
「そうか。そうだよね」
「じょりぃさ、気が利かないとかきょんさんのこと言うけどね、そういうきょんさんだから、じょりぃと一緒に生活できるんだと思うよ」
「ワタシもそれはそう思うけど」
「あたしなら、そんな、今朝のようなことを言われたら」
「言われたら?」
「とっとと出て行くね。 一緒にいたくないね」

気持ちが弱ってるときに、意地が悪いなこいつ。

「じゃあ一緒に生活できないね」 
「できない。 きょんさんくらいじゃない?じょりぃと一緒にいられるのは」

できないとかハッキリ言うな。言わなくても知ってるから。

「そうかもしれないね」
「つまらないことで腹立てたりしないでさ、大事にした方がいいよ」
「うん」
「そんなことしてるから、怖い夢見るんだよ」
「・・・・・・・」
「どうせなら、楽しい夢見れば?」
「どうせ人の夢に出てくるんなら、楽しい夢にしてくれればいいのに」
「知るかいそんなの(笑)」

なんだか・・・・・・なんだろな。  いいんですけど。

とにかく、夢のことは話さなければよかった。
バカだな自分。



ナナとの電話の前、録画しておいた「大奥/怪談篇」をきょんと見てたのですが。

レズレズしい話でしたね。
夜8時のゴールデンタイムに、こんな内容を流してくれる世の中になってきたのですね。
この調子で世間様もとっとと「フツウのこと」と認識していってほしいものでございます。

で、その大奥、「好きだったのに、お嫁に行くなんて言うから・・・」ということで、縫子の女中が、恋していた先輩の縫子女中を殺してしまったという内容だったのですが。

「好きが高じて殺してしまうって、ワタシにはよくわからない感情だな。例えかわいさ余って憎さ百倍になったとしても、ワタシには好きな人は殺せない」
と、ワタシがきょんに言いましたら、きょん
「んーーー・・・。でもあたしは殺しちゃうかも」と。
「え!」
「よくも〜〜〜、って感じというよりはさ、ケンカしてるうちにカッとなって、気がついたら殺してた、みたいな」
「ああ・・・・・やりそう、あにゃた」

きょんはカッとなって見境なくなると、暴力人間に変貌してしまうのです。
めったにないんですけどね。
そこに至るまで、言葉の暴力を乱用するワタシがいけなかったりするんですが。

「きょんがカッとならないように、気をつけなくちゃ」
「そうだよ。マジで。 殺されないようにしてね」 にっこり。
「う、うん」

「きょんやナナが死んじゃったらどうしよう」なんて考えてるうちに、うっかり自分が殺されてしまったらシャレになりませんからね。
ケンカも考えながらやらないと、イヤな夢見たり、ヘタすると殺されてしまうよという、大変教訓の含まれた本日のお話でした。


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