へい太の日記

2005年06月17日(金) 鬼門の桃太郎鬼籍に入る

弓削の河川敷で水遊びに興じる家族連れを眺めたあと
声がして
引き寄せられかけたけれども
出ていくつもりは
さらさら無くて
坂根の堰から桃に入ったまんま
下へと滑り落ちた
救い出してほしいと思っていたわけじゃあなかった
苔に覆われずるんと滑るような丸石の川底があちらこちらに広がる瀬を
ごつりごつりと
尻を当てながら下っていった
仲間を引き寄せるため
団子欲しいとも思わなかった
カワウに見送られて ボラに出迎えられて
鴨越(かもごし)の堰を流れ落ちた頃には
潮の香りがほのかに漂ってきた
退治をしに行くような気分にはなれず
児島湾からさらには瀬戸内の流れへ
ありきたりな名誉とか財産にも興味がなく
身をまかせて 漂って
愛さえも必要じゃなかったのかも
そんな思いを抱いた赤子たちの入った大きな桃どもが
流れ着く島がある
やがてこの島へと
日本一の旗を掲げて
仲間と共に攻め入る輩が現れる
勝ったのは桃太郎じゃない
負けた鬼だって元はといえば桃太郎
負けたのは鬼じゃない
勝った桃太郎も鬼のようなもんだよ
勝ったのは桃太郎じゃない
負けた鬼は桃太郎
負けたのは鬼じゃない
勝った桃太郎が鬼なんだから


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