へい太の日記

2005年06月15日(水) 鬼門の桃太郎鬼籍に入る

弓削の河川敷で水遊びに興じる家族連れを
眺めたあと
坂根の堰から桃に入ったまんま
下へと滑り落ちた
声がして
引き寄せられかけたけれども
そのとき出ていくつもりは
さらさら無く
苔に覆われ
ずるんと滑るような丸石の川底があちらこちらに広がって
ごつりごつりと尻を当てながら
下っていった
誰かに救い出してほしい
と思っていたわけではなかった
カワウに見送られて
ボラに出迎えられて
鴨越(かもごし)の堰を流れ落ちた頃には
潮の香りが漂ってきた
仲間を引き寄せるため
団子が欲しいとも思わなかった
児島湾からさらには瀬戸内の流れへ
身をまかせ
漂って行く
退治しに行く気にもならず
ありきたりな名誉や
財産や
愛さえも必要ではなかった
そんな思いを抱いた赤子たちの入った大きな桃たちが
流れ着く島があった
やがてこの島に
日本一の旗掲げて
仲間と共に攻め入る輩が現れた
勝ったのは桃太郎じゃない
負けたのが桃太郎
負けたのは鬼じゃない
勝ったのも鬼だから
勝ったのは桃太郎じゃない
負けたのは桃太郎
負けたのは鬼じゃない
勝ったのが鬼だから


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