三十一文字
ナオコ



 笑うことは正しいのか


空気がきしんでいて、肌を刺すような気がします


耳鳴りがひどくなりました
特定の場所に行くと、あるいは特定のものを見ると
浅い呼吸しか出来なくなり、その場所にいられません
駅のホームに立つ度に、次の電車で飛び込むことを考えています
毎日吐きつづけています


それでも、あなたの前では笑うことが
正しいことなのか、そろそろわかりません


笑うのを止めたらあなたを失うような気がして
だけど、たまにあなたと一緒にいると暗い森の中にひとりでいるような
静かな怖さに襲われます
こんなにたくさんの一緒に時間を過ごしているのに
何も話せないし何もわかって貰えない
笑うわたしを信じるあなたの存在が
双眼鏡を逆から覗いたように遠く感じられる


あなたが見ているわたしなんて
とっくにどこにもいないって
種明かしすれば、虚像ごとわたしを捨てますか
だけど、わたし、本当はあなたにも少し荷物を背負って欲しかった


いいところだけ撫でるように付き合い続けて
ずいぶんボロボロになりました




2007年03月12日(月)
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