チェック・アウトまでに余裕があったので、ホテルから歩いて行ける公園まで散歩した。ブランコや滑り台がある一画があり、緑が豊かな市民の憩いの場のようだった。

　ミラノ・ロドレーゴ駅を発車すると、すぐにロンバルディア州の田舎の風景になった。ピアチェンツァですぐに乗り継ぐこともできたのだが、町を見て回ることにした。小規模なイタリアの田舎の町だった。
　パルマではまずピロッタ宮殿の国立絵画館を見学した。ここでも聖母子などの宗教画が続いた。順路が途中で行き止まりになり、元来た道を戻った。パルミジャニーノの絵は順路の最後の方にあった。ここのドゥオーモもやはり荘厳で、クーポラの丸天井に描かれた「聖母被昇天」はほんとに空を見ているようだった。食料品店ものぞいてみたが、お土産に買えるようなものはなく、ミラノのスーパーで３色の家の形のパスタを買った。
　夕食は昨日と同じ店で、モッツァレッラとゴルゴンゾーラのピザを食べた。

　「最後の晩餐」は思ったより高い位置に描かれていた。反対側の壁にはイエスの磔刑の絵が描かれていた。
　ドゥオーモの入場券はあまり待たずに買えたが、セキュリティー・チェックが厳重だった。金属探知機はもちろん、かばんはすべて開けさせていた。ここはステンド・グラスがすばらしく、「荘厳」という言葉がぴったりで、キリスト教の大聖堂だなと思った。
　ブレラ絵画館の展示は、これでもかというぐらい、聖母子・受胎告知・磔刑の絵で、宗教画しかかかなかった時代の雰囲気はどんなだったんだろうと思った。
　夕食は、ブレラ絵画館の近くのレストラン街の１軒で食べた。店の人が気さくで料理もおいしいので、あしたも地下鉄に乗って食べに来ようかと思った。

　クールからサン・モリッツまでの区間はグレッシャー・エクスプレスの中でいちばん景色を楽しめる区間だ。ランドバッサー橋は車中からは形がよくわからない。
　サン・モリッツは人が少ない静かな町だ。高級ホテルが存在感を放っていた。これからスイスを20日間旅行するという日本人の夫婦に駅で会った。
　スイスでの最後の買い物でスイス・フランのコイン数枚しか残らなかった。持って来た600フランをきれいに使い切ったわけだ。
　ベルニナ線は確かに見所が多い。ブルージオの先のオープンループ橋がいちばんよかった。
　ミラノのレストランはスイスよりは安いが、やはりそれなりの値段なので、今夜はマクドナルドで食べた。

　ルツェルンからオルテンまでの列車の中でスイス人のおじいさんに話しかけられ、景色の話などをした。
　ブリーク駅の売店で昼食のパンを買ったあと、もう一軒の店を見たら、そちらのサンドイッチのほうがおいしそうだった。
　グレッシャー・エクスプレスはお土産の販売などもあって観光列車という雰囲気だが、乗務員が料理を持って狭い通路を行ったり来たりするため、あまり落ち着かない。けっこう込んでいて、圧迫感があるため、ゆっくり景色を楽しむには普通列車のほうがいいかな。
　クールは山に囲まれた小さな町で、観光客がほとんどいない。夕食はミグロのカフェテリアで食べたが、手頃な値段でたっぷり食べられた。

　朝は肌寒かった。ピラトゥスのシルバー・ラウンド・トリップ・チケットは予想より安かった。
　ピラトゥスはユングフラウヨッホよりよかったかもしれない。登山鉄道、頂上から見える景色、ロープウェイ。全体が巨大なアトラクションのようだった。ロープウェイの途中の乗り換え地点にもフィールド・アスレチックのような施設があった。
　思ったより早くルツェルンに戻って来られたので、フィアバルトシュテッター湖の遊覧船に少しだけ乗った。
　ライオン記念碑の所にタイ人の僧侶がたくさんいた。観光に来ているようだった。
　お土産のお菓子はミグロで買った。
　今日は歩きにくい道もけっこう歩いたので、足が痛くなった。

　シュピーツの駅に降り立つと、スイスに来たんだなという実感がして、わくわくした。Spiez は「シュピエツ」と発音するようだ。
　トゥーン湖の遊覧船は思ったより華やかな雰囲気だ。
　ベルンを訪問するのは25年ぶりだが、街はほとんど変わっていなかった。だが、今日は観光客の姿が多く見られた。ニーデック橋の辺りの景色は前回はほんとに美しいと感じたが、今回はやはり自分の感覚が慣れてしまったようだ。
　スイスでドイツ語を使うのは今回が初めてだが、勉強しておいてよかったと感じた。
　インターラーケン・オストからルツェルンまでの区間は今回初めて乗ったが、ほとんど寝てしまって、景色を覚えていない。
　夕食はファスト・フードにしたが、量は多かった。

　京急蒲田で京急線に乗って来た外国人がイタリア人みたいだと思っていたら、実際ミラノまで同じ飛行機に乗って来た。
　飛行機の中でたっぷり時間があったので、映画を３本見たが、どれも途中で寝てしまった。Money Monster だけはもう一度ちゃんと見たい。
　ヨーロッパの街に慣れてしまったせいか、ミラノ中央駅の前を歩いても、ほとんど感激しなかった。